2023-09-22 BE SCIDSignal transduction and targeted therapy 誌のハイライト記事の書誌情報と挿入図を以下に引用:"Base editing: a novel cure for severe combined immunodeficiency" Ha TC, Morgan M, Schambach A. Sig Transduct Target Ther. 2023-09-18. https://doi.org/10.1038/s41392-023-01586-2 [著者所属] Hannover Medical School, Boston Children’s Hospital (HMS)
 Grace E McAuleyらがABEを利用して、CD3δ欠損型重症複合免疫不全症 (SCID) の原因となる根本的な遺伝子欠損を修正する有望な遺伝子治療アプローチの原理実証を紹介した [挿入図引用右図参照]。
 
2023-04-20 Nature Biotechnology 誌刊行ハイライト記事の書誌事項を以下に追記:RESEARCH HIGHLIGHT ”Base editor restores CD3δ-dependent SCID mutation" Fudge JB (シニアエディター). Nat Biotechnol. 2023-04-17. https://doi.org/10.1038/s41587-023-01768-x

2023-03-23
Cell 誌刊行論文に準拠した初稿
[出典] "Human T cell generation is restored in CD3δ severe combined immunodeficiency through adenine base editing" McAuley GE, Yiu G, Chang PC [..] Liu DR, Crooks GM, Kohn DB. Cell 2023-03-20. https://doi.org/10.1016/j.cell.2023.02.027 [著者所属] UCLA,  Broad Institute of Harvard and MIT, Harvard U, U Calgary
 CD3δ SCIDは、正常な胸腺形成に必要なCD3/TCR複合体のCD3δ鎖をコードするCD3D  遺伝子の変異によって引き起こされる重篤な先天性免疫異常であり、かなりのリスクを伴う骨髄移植が唯一の療法である。著者らは、アデニン塩基エディター(ABE)により、自己造血幹細胞・前駆細胞(HSPC)におけるCD3δ回復を実現した [グラフィカルアブストラクト 参照]。
  • CD3δ SCID患者のHSPCsに、ABEmax-NRTH [*]をコードするmRNAとガイドRNAを投与したところ、71.2%±7.85%(n = 3)の効率で病原性変異が修正された。
  • 編集したHSPCsから分化させた人工胸腺オルガノイドは、多様なTCRレパートリーとTCRに依存する機能(カルシウムフラックス、サイトカイン産生、および増殖)を帯びた成熟T細胞を産生した。
  • 編集したヒトHSPCを免疫不全マウスに移植後、16週間後のマウス骨髄から分離したヒトCD34+細胞のCD3D   欠損が88%回復し、長期的に再増殖する造血幹細胞が修正されることが示された。
  • scRNA-seqにより、編集されていないCD3δ SCID HSPCsからのT細胞分化は、従来ダブルネガティブ (CD4−CD8−) ステージでブロックされると考えられていたものが、ダブルポジティブ (CD4+CD8+) ステージでブロックされることが明らかになった。
 本成果は、CD3δSCIDの治療に対するHSPCを用いたABEによる前臨床試験の有効性を示すものであり、CD3δSCID患者に対する単回治療法開発の基盤を提供するに至った。

 [*] 
  • ABEは、CRISPRの相同性指向性修復と比較して、T細胞株疾患モデルにおいてCD3/TCRの発現およびシグナル伝達をより効率的に回復させた。CRISPRで処理した細胞ではオンターゲット編集部位に染色体欠失が観察されたが、ABEで処理した細胞では観察されなかった。
  • ABEmax-NRTH, ABE8e-NRTH, ABE8e-NG, ABE8e-VRER,および ABE8e-xCas9(3.7)を比較した結果、安全かつ効率の観点からABEmax-NRTHを選択して、CD3D c.202C>Tの修正に利用した。
 [ABEmax-NRTH関連crisp_bio記事]