[出典] "Glow-in-the-Dark Infectious Disease Diagnostics Using CRISPR-Cas9-Based Split Luciferase Complementation" van der Veer H [..] Merkx M. ACS Cent Sci. 2023-03-15. https://doi.org/10.1021/acscentsci.2c01467 [著者所属] Eindhoven University of Technology, Rijnstate Hospital, Fontys U Applied Sciences;グラフィカルアブストラクト
Cas12やCas13のコラテラル活性を利用するCRISPRDxのプラットフォームが数多く提案・実現されているが、著者らは今回、一対のdCas9-sgRNAと分割型 (split) NanoLucルシフェラーゼ(small BiT (SB)とlarge BiT (LB))のプローブを介して、標的dsDNAを配列特異的に検出する生物発光核酸センサー(Luminescent Nucleic Acid Sensor: LUNAS)プラットフォームを開発し、(逆転写)リコンビナーゼポリメラーゼ増幅法/(RT-)RPAと組み合わせて、DNA(RNA)をワンポットで迅速かつ高感度で検出可能なプラットフォームを開発した [Figure 1 (RT-)RPA-LUNAS法の模式図 参照 ]。LUNASはまた、シグナルのキャリブレーション用ルシフェラーゼも含むため、レシオメトリックな読み出しが可能であり、さらに、RPA反応をデジタルカメラでリアルタイムにモニタリングすることも可能である。
RPA-LUNAS法では、低濃度のDNA(またはRNA)ターゲットを(RT-)RPAで効率よく増幅し、蓄積されるDNAアンプリコンをテンプレートとして、dCas9-LargeBiTとdCas9-SmallBiTリボ核タンパク質(RNP)を近接させ、明るく青い光を放つナノルックのルシフェラーゼを再構成する。著者らが開発した緑色を発光するmNeonGreenNanoLuc(mNG-NL)を、キャリブレーターとして加えることで、青色と緑色の比重差のある出力が得られる。
また、RPA-LUNASは、RPAプライマーとガイドRNAの設計を調整することで、DNAとRNAの両方の新しいターゲットに容易に適応可能である。なお、RPA-LUNASは、5′-NGG-3′PAMとその逆向き相補鎖5′-CCN-3′が核酸鎖中で互いに27-52 nt以内に存在する場合に利用可能である [Figure 2. LUNAS複合体の模式図と特性 参照]
また、RPA-LUNASは、RPAプライマーとガイドRNAの設計を調整することで、DNAとRNAの両方の新しいターゲットに容易に適応可能である。なお、RPA-LUNASは、5′-NGG-3′PAMとその逆向き相補鎖5′-CCN-3′が核酸鎖中で互いに27-52 nt以内に存在する場合に利用可能である [Figure 2. LUNAS複合体の模式図と特性 参照]
ここでは、唾液、ウイルス輸送用培地(VTM)、アミューズ液体培地(eSwab)中のSARS-CoV-2 RNAを抽出せずに直接検出するRT-RPA-LUNASの性能を、SARS-CoV-2で検証した。その結果、LUNASを介して、ウイルス量が200cp/μLを超えるサンプルについて、RNAを分離することなく、ほとんどが20分以内にCOVID-19陽性例を確実に特定可能なことが実証された。この性能は、ワンポット化蛍光SHERLOCK法(SHINE)など他のSARS-CoV-2 CRISPRDx法と同等である。また、COVID-19患者サンプル中のSARS-CoV-2ウイルスを、通常のデジタルカメラで10~30分以内に検出することも実証し、ポイントオブケアへの応用の可能性を示した。
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