[出典] "Self-delivering CRISPR RNAs for AAV Co-delivery and Genome Editing in vivo" Zhang H [..] Sontheimer EJ. bioRxiv 2023-03-20 [preprint]. https://doi.org/10.1101/2023.03.20.533459 [著者所属] U Massachusetts Chan Medical School, Broad Institute of Harvard and MIT, Harvard U
Sontheimerが率いる研究チームは先行論文で、SpyCas9のcrRNAとtracrRNAを徹底的に化学修飾し(heavily and fully chemically modified; 以下、重修飾)、リボ核タンパク質複合体(RNP)の形で培養細胞に送達した場合、ガイドRNAの安定性の向上と活性の維持が可能なことを報告した [*]。今回は、tracrRNAのアンチリピート領域とcrRNAのリピート領域のアニールを介して置換可能な短い完全安定化オリゴヌクレオチド(protecting oligps(保護オリゴ): P.O.s)が、重修飾crRNAの効力と安定性を著しく向上させることを報告した [Figure 2 参照]。
- P.O.sをバイオコンジュゲートと結合させると、Cas9の活性を阻害することなく、crRNAの細胞内への取り込みが促進された。
- P.O.sを結合させた化学修飾crRNAは、Cas9とtracrRNAを安定発現する培養細胞において、脂質ナノ粒子に依存しない受動的な取り込みによる編集を実現した。
- 化学修飾されていないcrRNAをtracrRNAおよびCas9または塩基エディターABEの発現AAVベクターにより同時送達することで、成体マウス生体内でのゲノム編集を実現した。
- AAV/crRNAの同時送達は、オフターゲット抑制効果がある一過性の編集活性、標的の多重化、ガイドの再投与、ベクターの不活性化を実現するアプローチである。
[*] 先行論文紹介crisp_bio記事
- CRISPRメモ_2018/07/07 [第3項] gRNAを徹底的な化学修飾によってSpyCas9によるゲノム編集の効率向上. https://crisp-bio.blog.jp/archives/10408698.html
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