2023-06-17 J Exp Med 誌掲載論文を紹介したフォーブス誌の書誌情報などを以下に追記:
"The Road To CRISPR Vision" Haseltine WA (resident of ACCESS Health International  https://accessh.org) Forbes 2023-06-14.  https://www.forbes.com/sites/williamhaseltine/2023/06/14/the-road-to-crispr-vision/;網膜色素変性症の紹介、CRISPR技術の紹介、および、研究成果 (プライム編集 (PESpRY) によるPDE6b遺伝子変異の生体内修復の効果)を紹介
 
2023-05-11 オリジナル論文のハイライト記事書誌情報を追記:"Saving eyesight, one gene at a time" Hołubowicz R, Palczewski K. Trends Mol Med. 2023-05-09. https://doi.org/10.1016/j.molmed.2023.04.008 [著者所属] UC Irvine, Wrocław U Science and Technology (兼任)

2023-03-30 Journal of Experimental Medicine 誌刊行論文に準拠した初稿
[注] 網膜色素変性症(Retinitis pigmentosa: RP)
 
[出典] "Vision rescue via unconstrained in vivo prime editing in degenerating neural retinas" Qin H, Zhang W, Zhang S, Feng Y [..] Yao K. J Exp Med 2023-03-17. https://doi.org/10.1084/jem.20220776 [著者所属] Wuhan U Science and Technology 
 RPは、網膜光受容体の進行性かつ不可逆的な消失を引き起こす遺伝性網膜ジストロフィーである。著者らは、PEの汎用性とSpCas9バリアント(SpRY)のPAMの制約を受けないことを特徴とするゲノム編集ツール(PESpRY(PE<SpRY>) と称する)を開発した。
 Pde6b 関連RPマウスの網膜を、PE<SpRY>をパッケージングしたデュアルAAVシステムで形質転換し、非NGG PAM(GTG)を用いた生体内ゲノム編集を行った。この編集によって変異(C-to-T)が修正されると、進行していた細胞損失は逆転し、視細胞の大幅な救済と機能的なPDE6β(野生型の活性の〜80%のレベルが継続)の産生を達成した。
 治療されたマウスは、網膜電図に有意な反応を示し、受動的回避テストと能動的回避テストの両方で良好な成績を示した。さらに、視覚刺激による視運動反応にも明らかな改善が見られ、視覚誘導による水迷路試験も効率的にこなした。また、こうした改善が、治療を加えなかったマウスよりも高齢まで維持された。
 本研究は、RP関連遺伝子の変異による視力低下を、変性した網膜におけるPAMの制約を受けない生体内PEによって予防可能なことを示した。