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[注] ST15(Sequence Type 15);KPC(Klebsiella pneumoniae carbapenemase/肺炎桿菌カルバペネマーゼ)
[出典] "A Novel Anti-CRISPR AcrIE9.2 Is Associated with Dissemination of bla<KPC> Plasmids in Klebsiella pneumoniae Sequence Type 15" Wang C, Sun Z [..] Wang M. Antimicrobial Agents and Chemotherapy 2023-03-28. https://doi.org/10.1128/aac.01547-22  [著者所属] Fudan U
 肺炎桿菌 ST15は、通常I-E*型CRISPR-Casが存在するカルバペネム耐性Klebsiella pneumoniae の新興クローンであり、CRISPR-Casシステムはbla<KPC>プラスミドの伝達を阻止できない可能性を示している。本研究の目的は、K. pneumoniae ST15におけるbla<KPC>プラスミドの拡散のメカニズムとした。
  • K. pneumoniae ST15株(臨床分離株88株、NCBIデータベース524株)の非重複株612株の98.0%にI-E*型CRISPR-Casシステムが存在した.
  • 12株のST15臨床分離株の完全ゲノム配列が決定され、11株でAATのPAMに挟まれたbla<KPC>プラスミド上に自己標的型プロトスペーサーが確認された。
  • 臨床分離株からI-E*型CRISPR-Casシステムをクローニングし、大腸菌BL21(DE3)で発現させた。CRISPRシステムを帯びたBL21(DE3)では、AATのPAMを持つプロトスペーサー搭載プラスミドの形質転換効率が、空ベクターに比べて96.2%減少し、I-E*型CRISPR-CASシステムがbla<KPC>プラスミドの伝達を阻害することが示された。
  • 既知の抗CRISPR(Acr)タンパク質配列とのBLASTにより、AcrIE9と40.5〜44.6%の配列同一性を有する新規AcrIE9様タンパク質(AcrIE9.2)を発見し、これが、bla<KPC>とCRISPR-Casシステムの両方を有するST15株中90.1%(162株の146株)に存在していた。
  • AcrIE9.2をクローニングし、ST15臨床分離株で発現させたところ、CRISPR標的のbla<KPC>プラスミドの結合頻度が、AcrIE9.2不在株と比較して3.96 × 10<-6>から 2.01 × 10<-4>へと増加した。
 以上のことから、AcrIE9.2はCRISPR-Cas活性を抑制することにより、ST15におけるbla<KPC>の拡散に関与している可能性がある。
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