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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] "Fast, accurate antibody structure prediction from deep learning on massive set of natural antibodies" Ruffolo JA, Chu LS, Mahajan SP, Gray JJ. Nat Commun. 2023-04-25. https://doi.org/10.1038/s41467-023-38063-x [著者所属] Johns Hopkins U. 
 抗体は、多様な抗原のセットに結合し、治療と診断を左右する分子である。抗体の抗原への結合は、遺伝的組み換えと変異を介して多様性を獲得する6種類の超可変ループで規定される。これらのループの構造決定は、クライオ電顕法が長足の進歩を見せた近年になっても、未だ課題となっている。この背景のもとで、ジョンズ・ホプキンズ大学の研究チームが今回、抗体構造を予測する高速な深層学習の手法を、IgFoldとして発表した。
  • Fig. 1IgFoldは、5億5,800万種類の自然抗体の配列で予め学習させた言語モデル"AntiBERTy"に、バックボーンの原子座標を予測するグラフネットワークを繋ぎ、Rosettaで側鎖を付加する [Fig. 1引用右図参照]。
  • IgFoldは、AlphaFoldを含む既存の手法と同等以上の品質 [Table 1引用左図参照]Table 1の構造を、25秒未満で出力する。この高速・高精度な抗体構造予測は、これまでの手法では実現不可能であった治療と診断へのアプローチをもたらす。
  • IgFoldは、テンプレートになる構造を取り入れることとナノボディーのモデリングも可能である。
  • IgFoldの実証実験では、140万ペアの抗体配列の構造を予測し、実験的に構造が明らかにされた一連の抗体の500倍を超える抗体の構造情報を得ることに成功した。
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