(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/02/06

  • Corresponding author: 胡桃坂仁志 (早稲田大学)
  • 紫外線によって隣り合うピリミジン塩基が架橋すると、CPD(cyclobutane pyrimidine dimer)と6-4PPs (pyrimidine-pyrimidone (6-4) photoproduct) と呼ばれるDNA障害に至る.この障害を修復するのがヌクレオチド除去修復(Nucleotide excision repair: NER)である.
  • 哺乳類NERのサブパスウエイにおいて光障害を認識するタンパク質として、UV損傷DNA結合タンパク質(UV-DDB;DDB1-DDB2 (XPE))と、XPC複合体(XPCタンパク質-RAD23-centrin2 ヘテロ三量体)が知られている.XPCは6-4PPを含む損傷によって歪んだヘリックスを広汎に認識するが、その構造基盤が明らかにされている.一方で、UV-DDBは紫外線損傷を特異的に認識し、XPCを損傷部位へリクルートする.今回その構造基盤を明らかにした.
  • 対称的な位置2カ所にCPDが存在するdsDNAを合成し、CPDヌクレオソームをin vitro 再構成し、X線結晶構造解析を行った.
  • CPDの場合は6-4PPと異なり、損傷を受けた塩基がdsDNA内に収まっており、XPCが認識可能なDNA骨格の歪みが損傷部位周辺に発生していなかった.
  • 損傷を受けたチミン塩基の一つは損傷を受けなかったアデニン塩基から3.0Å以内に位置し、ヌクレオソーム内で部分的なワトソン・クリック型の水素結合が維持されていることが示唆した.
  • NERパスウエイが活性化する初期段階でCPDに結合するUV-DDBが、ヌクレオソーム中のCPDに特異的に結合することを確認した.