[出典] "Optimized metrics for orthogonal combinatorial CRISPR screens" Cetin R [..] Kaulich M. Sci Rep 2023-05-06. https://doi.org/10.1038/s41598-023-34597-8 [著者所属] Goethe U Frankfurt, Helmholtz-Centre for Infection Research, U Würzburg, Frankfurt Cancer Institute, Cardio-Pulmonary Institute, U Internacional de Catalunya (Barcelona) /兼任
 CRISPR技術は、遺伝子に活性化、抑制あるいはノックアウトといった摂動を加えることで、単一およびコンビナトリアルな遺伝子型と表現型の関係性を偏りなく解析することを可能にする。コンビナトリアルな遺伝子への依存性をゲノムワイドで明らかにするに際しては、効率的でロバストなCRISPR関連(Cas)ヌクレアーゼを選択することが肝要である。
 SpCas9とAsCas12aが、単一、コンビナトリアル、および、オーソゴナルなスクリーニングに広く利用されてきたが、他のオプションと対比した評価は十分ではない。
 ドイツの研究チームは今回、hTERT不死化網膜色素上皮細胞において、SpCas9とenAsCas12a、および、2種類のCasのハイブリッドで構成されるCHyMErA (Cas Hybrid for Multiplexed Editing and screening Applications) [*]を体系的に比較し、コンビナトリアルおよびオーソゴナルCRISPRスクリーニングに重要なパラメータを抽出したCombinatorial CRISPR screen[Figure 1 -a とFigure 3-a を引用した挿入図内の左図を参照] 。
 その結果、SpCas9は、強化型および最適化型のAsCas12aに優り、CHyMErAは今回の実験条件下では、ほとんど不活性であることが判明した。
 AsCas12aはRNAをプロセッシングする活性も帯びているため、AsCas12aおよびCHyMErAアプリケーションを改善するために、デュアルgRNAのアレイを使用した [挿入図内右の図を参照]ところ、CHyMErAの性能が向上した。しかし、デュアルgRNAによる性能向上はAsCas12aに限られた
 効率的なオーソゴナルな遺伝子編集に際しては、ハイブリッドgRNAの使用を避けるために、AsCas12aのRNAプロセッシングを回避する手法として、多重SpCas9-enAsCas12aアプローチ(multiSPAS)を設計した。
 
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