[注] PE (prime editorまたはprime editing)
[出典]
[論文] "Genome-wide profiling of prime editor off-target sites in vitro and in vivo using PE-tag" Liang SQ, Liu P [..] Xue W, Wolfe SA. Nat Methods. 2023-05-08. https://doi.org/10.1038/s41592-023-01859-2[著者所属] UMass Chan Medical School, Wyss Institute (HMS), Media Lab (MIT), Duke U.
[著者らによる要約] "Capturing prime editor off-target sites within the genome" Liang S, Wolfe S. Nat Methods 2023-05-08. https://doi.org/10.1038/s41592-023-01860-9 [著者所属] UMass Chan Medical School.
[課題]
PEは、
Cas9nに逆転写酵素 (RT)を融合することで、RNAテンプレートをベースとする配列をゲノムへ導入するツールである。こうして局所的にゲノムを書き換えることを可能にしたPEには、病原性変異を修正する臨床的に有効なツールとしての期待が集まっている。
Cas9nに逆転写酵素 (RT)を融合することで、RNAテンプレートをベースとする配列をゲノムへ導入するツールである。こうして局所的にゲノムを書き換えることを可能にしたPEには、病原性変異を修正する臨床的に有効なツールとしての期待が集まっている。 一方で、ゲノム編集ツールを患者の治療へと展開するには、ゲノム上のオフターゲット部位での意図しない編集を最小限にするゲノムの安全性確保に向けたアセスメントと最適化が必要である。
しかし、現在利用可能なPEの潜在的なオフターゲット部位の同定は、in silico での予測、または、PEに代わるゲノムワイドでのオフターゲット編集のアッセイが確立されたゲノム編集システムに依存しており、偽陽性率が高くなる可能性がある。
[解決]
研究チームは、ゲノムワイドで、特定の標的部位におけるプライム編集の結果を同定するために、PEで編集された部位に増幅用タグを付加する機能を帯びたpegRNA (prime editing guide RNA) を設計した。さらに、PE2 RNPによる編集が進行した部位を、UMI (unique molecular identifier)とi5 Illumina アダプターシーケンスからなるオリゴヌクレオチドを帯びたTn5トランスポザーゼを介してタグメンテーションする。この酵素反応によって、DNAアダプターシーケンスがセミランダムに挿入されゲノムDNAが断片化される。続いて、タグに特異的なプライマーとi5プライマーを利用して、PEによる編集が進行した部位が選択的に増幅され、イルミナによるシーケンシングによって同定される。研究チームはこのアッセイシステムをPE-tagと命名した [著者らによる解説のFig. 1 Schematic overview of in vitro PE-tag 参照]
PE-tagで同定したオフターゲット部位と、Cas9ヌクレアーゼをベースとするオフターゲット編集アッセイ法であるGUIDE-seq、および、ニッカーゼをベースとするオフターゲットアッセイ法であるnDigenome-seqにより同定したオフターゲット部位を比較し、PE-tagが最も効率的にPEに伴うオフターゲット部位を同定することを確認した。また、今回の比較実験によって、同一部位を標的とした場合に、PEによるオフターゲット編集サイトはCasヌクレアーゼによるオフターゲット編集サイトよりも少数であり、PEのほうがより精密な編集を可能にすることが確認された。
[意義]
PEのオリジナル論文やnDigenome-seq論文と同様に、PE-tagによるアッセイでも、PEがCas9ヌクレアーゼよりも高精度なことが明らかになった。PE-tagによるオフターゲット編集アッセイ法は、治験においてPEの効用と安全性を解析するに先立って、PEの特性と標的特異性の最適化を判定するプラットフォームを提供する。
PE-tagにも制限がある:PE-tagのオフターゲット部位に対する感度が、pegRNA内にコードした増幅タグを処理する逆転写酵素に左右される;切断が進行する遺伝子座とpegRNA内のプライマー結合部位 (primer-binding site; PBS) との間のミスマッチが逆転写酵素に干渉し、偽陰性が発生する;PE-tagは生体内でも機能するが、現行のデリバリー法下での編集効率の低さが、オフターゲットの可能性がある部位に対する感受性を損なう。
PE-tagを利用することで、PEによるゲノム編集の正確さに影響するpegRNAの配列の特徴やPEのベースとなるタンパク質の特徴を探ることが可能になる。また、PE-tagは、in vitroでのゲノムDNAに対して適用可能なことから、患者由来のDNA上で直接オフターゲット編集部位を特定することが可能になり、遺伝子治療の個別化にも貢献することになる。
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