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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] NEWS "How generative AI is building better antibodies" Callaway E. Nature 2023-05-04. https://doi.org/10.1038/d41586-023-01516-w
 スタンフォード大学の研究チームが、ほぼ1億件のタンパク質配列データの中の"わずか"数千の抗体の配列にて、Meta AIで開発されたタンパク質言語モデルを学習させることで、新型コロナウイルス、エボラウイルス、およびインフルエンザウイルスに対する既知の抗体の標的への結合親和性をブーストすることに成功した [*1]抗体の結合親和性をブーストするに有効な言語モデルが示唆した改変 (変異) の多くが、抗体が結合するタンパク質の標的部位とは異なる部位に位置していた。
 生成系AIを利用してデノボで設計・生成した抗体の性能を実験検証した報告もbioRxiv には投稿されている [*2]。HER2 (ヒト上皮増殖因子受容体2) に結合する抗体を設計・生成し、ハイスループットの実験プラットフォームでスクリーンすることで、トラスツズマブよりもHER2に対する結合親和性が強いHER2バインダーを得た。
 一方で、AIによるデノボでの抗体の設計には、抗体が特定の標的を認識する能力が不定形のループ構造に依存することが課題とする見方もあるが、昨年、ループを介してヘビ毒に高い結合親和性で結合する抗体を生成系AIで開発した報告がbioRxiv に投稿されている [*3]

[*] 引用論文・投稿
  1. "Efficient evolution of human antibodies from general protein language models" Hie BL [..] Kim PS. Nat Biotechnol 2023-04-24. [著者所属] Stanford U School of Medicine, Stanford U, Chan Zuckerberg Biohub;
  2. "Unlocking de novo antibody design with generative artificial intelligence" Shanehsazzadeh A, Bachas S, McPartlon M [..] Meier J. bioRxiv 2023-01-09 [preprint] [著者所属] Absci Corporation.
  3. "Deep Generative Design of Epitope-Specific Binding Proteins by Latent Conformation Optimization" Eguchi RR [..] Huang PS. bioRxiv. 2022-12-23 [preprint] [著者所属] Stanford U, The Scripps Research Institute, Washington U (St Louis), U Pennsylvania.
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