crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[出典] PERSPECTIVE "Discovery of Diverse CRISPR-Cas Systems and Expansion of the Genome Engineering Toolbox" Koonin EV, Gootenberg JS, Abudayyeh OO. Biochemistry. 2023-05-16. https://doi.org/10.1021/acs.biochem.3c00159 [著者所属] NCBI/NIH, McGovern Institute for Brain Research at MIT;本文 15頁/参考文献 236件 (8頁)
 CRISPR-Casシステムはバクテリアとアーケアに内在し、多様なエフェクターと機序を介してそれらの獲得免疫応答を担っているが、RNAをガイドとして機能を容易にプログラム可能なことから、ヒト疾患の治療と診断に向けた多用途なゲノム工学ツール開発の基盤となっている。
 CRISPR-Casシステムはマルチサブユニットのエフェクター複合体をベースとするクラス1システムと、マルチドメインからなるエフェクタータンパク質をベースとするクラス2システムに分類されている。その中で、比較的コンパクトなクラス2システムが、多用途、特にゲノム編集、に広く利用され、分子生物学やバイオテクノロジーのツールキットを一変させた。
 クラス2のエフェクター酵素は当初Cas9ヌクレアーゼに限られていたが、ゲノムとメタゲノムのin silico 解析を介して著しく拡充され、Cas12とCas13それぞれの多くのバリアントも加わり、多用途で互いに直交した分子ツールの基盤を供するに至った。
 この多彩なCRISPRエフェクターは、標的可能範囲の拡大につながる多様なPAM配列、編集の標的特異性の向上、標的核酸分子のDNAからRNAへの拡大、より小型のcrRNA (ガイドRNA) 、粘着末端と平滑末端の誘導、より小型の酵素、無差別なRNAとDNAの切断、など、Cas9には見られなかった新たな特徴をもたらした。その結果、クラス2タイプVIのエフェクターCas13の無差別RNA切断活性を利用した超高感度な核酸検出法を代表とするCRISPR-Casの新たな応用分野が広がった。
 クラス2システムのエフェクターだけでなく、クラス1システムの大型な複合体エフェクターも、発現とデリバリーの課題を解決しながら、ゲノム編集への利用が広がってきた。
 このように多種多様なCRISPR酵素によって、遺伝子ノックアウト、塩基編集、プライム編集、遺伝子挿入、DNAイメージング、エピゲノム編集、転写調節、および、RNA編集と、ゲノム編集のツールボックスが急速に充実してきた。
 天然のCRISPR-Casシステムの多様性にエフェクタータンパク質とガイドRNAの合理的な設計と作出、不活性化したエフェクターと他の酵素の融合などが加わり、分子生物学とバイオテクノロジーのツールのレパトアの拡充の基盤がますます拡充されていくであろう。

[構成]
・INTRODUCTION
・DIVERSITY, EVOLUTION, AND CLASSIFICATION OF CRISPR SYSTEMS.
・HARNESSING CLASS 2 CRISPR DIVERSITY FOR APPLICATIONS IN GENOME
 ENGINEERING AND BEYOND
 - Tapping into the Diversity of Cas9: A Search for Compact, Highly Efficient Cas9 Variants.
 - Cas12a, the First Class 2 CRISPR Nuclease Substanially Different from Cas9.
 - Engineered Cas12a’s with Enhanced Properties.
 - Reaching Farther into Cas12 Diversity and Beyond.
 - Transposon-Encoded RNA-Guided Nucleases, Ances- tors of Cas9 and Cas12.
 - Harnessing Cas Enzymes for Base Editing, Prime Editing, and Programmable Gene Insertion.
 - RNA Targeting by CRISPR Using Cas13 and Cas7-11.
 - Developing an Expansive Transcriptomic Toolbox with RNA-Targeting CRISPR Effectors
 - Supersensitive Nucleic Acid Detection and Diagnos- tics with Cas13 and Cas12.
・HARNESSING CLASS 1 CRISPR SYSTEMS
・NEXT STEPS FOR CAS ENZYME DISCOVERY
・CONCLUSIONS
 
[図表一覧]
  • Figure 1. CRISPR diversity of class 1
  • Figure 2. CRISPR diversity of class 2
  • Figure 3. Pipeline for the computational discovery of class 2 CRISPR-Cas systems. 
  • Figure 4. Mammalian DNA- and RNA-targeting applications of class 2 Cas programmed nucleases. 
  • Table 1. Single-Protein CRISPR Effectors and Their Application as Molecular Tools
  • Figure 5. Emerging applications of CRISPR nucleases. 
  • Figure 6. Nucleic acid detection using collateral RNase activity of Cas13.
[PRESPECTIVE紹介ツイートを以下に引用]
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