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[出典] "A conditional strategy for cell-type-specific labeling of endogenous excitatory synapses in Drosophila" Parisi MJ, Aimino MA, Mosca TJ. Cell Rep Methods. 2023-05-11.  https://doi.org/10.1016/j.crmeth.2023.100477 [著者所属]  Thomas Jefferson U.
 神経伝達はシナプスと呼ばれる神経細胞の接合部位が形成され、シナプス前細胞から放出される神経伝達物質がシナプス後細胞の受容体と結合することによって進行する。また、シナプスは形成から成熟を経て3次元の神経回路を構成するに至る複雑なプロセスが進行する。こうした分子機構を解明するための手段の一つが、生体内でのシナプス・タンパク質の可視化である。
 これまでに、シナプス前細胞においてリクルートされるタンパク質については可視化が進んできたが、細胞のタイプに特異的な標識が限られていることから、シナプス後細胞においてリクルートされるタンパク質の可視化が遅れていた。米国の研究チームが今回、脊椎動物の興奮性シナプス後肥厚 (postsynaptic density; PSD )に豊富に存在する足場タンパク質PDS-95のショウジョウバエ・オーソログであるdiscs large1 (dlg1) を条件付き可視化するラベル、dlg1[4K]、を作製し、ショウジョウバエにおけるシナプス細胞のタイプに特異的な解析を実現した [グラフィカルアブストラクト参照]。
 マーカーdlg1[4K]は、幼虫と成虫の中枢神経と末梢神経のシナプス後細胞を可視化する 。dlg1[4K]を利用することで、成体神経細胞におけるシナプス後細胞の構成に特有な規則を同定し、複数のバイナリー発現系を利用することで細胞タイプ特異的にシナプス前細胞とシナプス後細胞の同時標識を実現し、神経細胞のDLG1がシナプス前細胞に局在する場合があることを、発見した。
 
[条件付き可視化: Figure 1参照]
  • シナプス後細胞の神経伝達物質受容体は興奮性受容体と抑制性受容体に分類され、その間の重複がないことから、シナプス生物学のツールとして、シナプス後細胞に特異的であり、かつ、興奮性と抑制性の受容体それぞれに特異的な標識が必要である。
  • 関心のあるタイプの細胞特異的な可視化には、FLP/FRT組み換えシステムを利用した。具体的にはCRISPR-Cas9とFRT-STOP-FRT-V5カセットを帯びたdlg1ドナープラスミドを利用したHDRを介して、FLPの有無によるドナープラスミドの発現ON/OFFを実現した。
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