2023-06-22 NEJM 誌刊行論文をハイライトしたNature 誌の記事の書誌情報を追記:RESEARCH HIGHLIGHT "A CRISPR-based method makes T cells that thwart teens’ cancer" Nature 2023-06-21. https://doi.org/10.1038/d41586-023-01945-7

2023-06-19 NEJM刊行論文に準拠した初稿
[出典] "Base-Edited CAR7 T Cells for Relapsed T-Cell Acute Lymphoblastic Leukemia" Chiesa R, Georgiadis C, Syed F, et al. for Base-Edited CAR T Group
N Engl J Med 2023-06-14. https://doi.org/10.1056/NEJMoa2300709 [著者所属] Great Ormond Street Hospital for Children NHS Trust,  UCL Great Ormond Street Institute of Child Health
[注] 著者所属のGOSH (Great Ormond Street Hospital) は、それまでもGOSHを支援していたJames Matthew Barrierが1929年にピータパンの著作権を寄付した時から、現在では、英国全土からの重篤な児童や若年者が日々~750名ほど治療を受けているに至っている [The history of Peter Pan and Great Ormond Street https://www.gosh.org/about-us/peter-pan/history/]。そのBarrierは1929年のスピーチで"At one time, Peter Pan was an invalid in the Hospital… and it was he who put me up to the little thing I did"と述べた。
[背景] 
 BEsの中でCBEは、Cas9ヌクレアーゼによる遺伝子編集と異なり、DNA二本鎖切断を生じさせることなく、シトシンをチミンへと極めて正確に変換させることができる。このため、転座などの染色体異常を引き起こすことなく、病原性遺伝子を不活性化するツールとして利用可能であり、今回、再発した小児T細胞白血病患者にこの技術を適用するための第1相試験を進めている。
[方法]
 CBEを利用して、患者由来 (自家) ではなく健康なボランディア (他家) 由来のT細胞をベースにユニバーサルなキメラ抗原受容体 (CAR) T細胞を作製した。ドナーのT細胞を、T-ALLで発現するタンパク質CD7 (CAR7) に特異性を持つCARを発現するように、レンチウイルスを用いて形質転換した。
 次に、リンパ球除去血清療法、CAR7 T細胞のフラトリサイド (CD7をもともと発現している正常なT細胞の殺傷性)、移植片対宿主病を回避することを目的として、CBEを利用して、CD52受容体、CD7受容体、およびαβT細胞受容体 (αβTCR) のβ鎖をコードする3つの遺伝子をそれぞれ不活性化し、このCBE編集細胞の安全性について、再発性T-ALLの小児3名を対象に検討した。
[結果]
 最初の患者は、同種幹細胞移植後に再発したT-ALLである13歳の少女で、CBEで編集したCAR7(BE-CAR7)の単回投与後28日以内に分子的寛解が得られた。その後、元のドナーから強度を下げた(骨髄非破壊的前処置の後)同種幹細胞移植を受け、免疫学的再構成に成功し、白血病寛解が継続した。
 同じバンクからのBE-CAR7細胞が、他の2人の患者で強力な活性を示し、1人の患者では致命的な真菌の合併症が発生したが、もう1人の患者は寛解期に同種幹細胞移植を受けることができた。
 重篤な有害事象としては、サイトカイン放出症候群、多系統細胞減少症、日和見感染症が挙げられた。
[結論] 
 この第1相試験の中間結果は、再発性T-ALL患者に対する塩基編集T細胞療法の臨床試験の展開を支持し、また、予想される免疫療法関連の合併症のリスクを示した。
[臨床試験]