2024-07-20
 7月の1~7日と8~14日の間のCOVID-19「1機関あたりの感染者数の週平均」の全国マップを並べてみたところ、2桁の所が、沖縄県、九州各県、山口県、千葉県に、新たに、愛媛県、香川県、徳島県、岐阜県、愛知県、茨城県が加わっていた。次回の集計までにピークを超えているかどうか。マスク、換気、手洗いで自衛に努めよう。

2024-07-19
 国内の感染拡大状況は、全国図NHKが定点観測の結果をまとめた図 (右図に引用)を見ると、すべての都道府県で前週に比べて増加している。沖縄 (29.92)を筆頭に、九州、四国の南側2県高知県、千葉県が2桁に達している。これらの自治体に共通する行動様式、気候風土、あるいは防衛策があるのだろうか。千葉県は、学校でマスクを外させることに一際熱を入れていたことを記憶しているのだが。

 米国でも感染拡大が認められている。
[出典] "A Summer Covid-19 Wave" Jetelina K. SUBTRACK 2024-07-18.

現状認識:感染の波の真っ只中にいる
 感染状況を見るに良い指標である下水レベル下水中のSARS-CoV-2ウイルスの濃度からみると、全国的に蔓延が高いレベルに達している [著者が作成した図を右図に引用]。もし体調を崩しているとしたら、それはCOVID-19である可能性が高いということだ (熱中症の可能性もあるにはあるが)。また、COVID-19になりたくなければ、屋内での換気とマスク着用に努めるべき 。感染拡大は西部で最も進んでおり、そのレベルは昨夏のピークを上回っているが、西部がピークに達しているかどうかを判断するのは難しい。ハワイはすでに感染のピークを迎えているが、カリフォルニアとオレゴンはかなり増え続けている段階である。他の地域もそれに続いている。実際、26の州でCOVID-19のレベルが「高い」か「非常に高い」。重症者も増加しているが、レベルはまだ低い。集団免疫の増強のおかげで、昨年の夏(あるいは一昨年の夏)のピークほどにはなっていない。

感染の波が毎夏来る理由
  • 人々の行動変容:暑さゆえエアコンが効く屋内にとどまるようになり、一方で、ほとんどの感染拡大は屋内で発生する。
  • SARS-CoV-2ウイルスは短期間で変異する (インフルエンザウイルスの2倍の速度):最新の変異株であるKP.3、特にその子孫であるKP.3.1.1は既存の中和抗体を回避する能力が増している。
  • 免疫の低下: (米国では) 昨冬、COVID-19に感染したのは人口の20〜30%であり、ウイルスにとって蔓延するチャンスが広がっている。昨冬感染が緩やかであったハワイやオレゴンで今夏の感染レベルが非常に高くなっている。
 夏ごとに感染の波が小さくなることを期待していたが、COVID-19はその期待を裏切っている。

高齢者がブースター・ワクチンを接種するのは今か、秋になってからか?
 全体として重症化は抑えられているが、高齢者や基礎疾患のある人々については依然として重症化に警戒が必要である。今春ワクチンを接種していなかった高齢者は今、そうで無い場合は、秋に接種するのが良いだろう (昨冬の感染拡大は11月から始まった)。

CDCの最新のガイドライン (2024年3月)CDC

 [CDCの図解を右図に引用] 
  • 予防には、ワクチン接種、換気、ならびにマスク着用を推奨
  • 感染した場合は、24時間は自宅にて、症状の改善と(解熱剤を使用しない状態で) 平熱になるのを待つ
  • 次の5日間は、感染予防措置をとること。
2024-07-13
 林官房長官は、新型コロナウイルス感染症の分類が5類に移行してから1年経過した2024年5月8日の記者会見で「次の感染症に万全期す」と述べていたが、この7月12日になって「(新型コロナの感染者)夏には一定の感染拡大の可能性」と感染対策を呼びかけた [TBS NEWS DIG 2024-07-12 20:03. https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1292668] 

 感染対策は自己責任となり、抗原検査やPCR検査も自己負担である。信頼性が高いPCR検査は、「心配だから」「念の為」ということだと自由診療ということで2〜3万円程度 (医療機関次第) になるようだが、何らかの症状があって医師が必要と判断して行なった場合は保険適用になるそうだ。感染していても無症状でかつその間感染力があるとされる新型コロナウイルスであるのだが。

 ところで、東京大学医科学研究所のプレス発表によると、世界各地で流行が拡大しつつあるオミクロンJN.1株系統のKP.3, LB.1およびKP.2.3株は、親のJN.1株よりは、中和抗体に対して高い逃避能と、JN.1株やKP.2株よりも高い伝搬力を、帯びている [2024年7月1日 https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/jp/about/press/page_00289.html]スクリーンショット 2024-07-13 5.23.01したがって、ワクチンのブースター接種をするとしても、どの株を想定して開発されたワクチンか、気になるところだ。

 なお、7月11日時点の東京都のデータでは、右図のようにKP.3株が81.1% (JN.1系統全体で97.3%)を占めるに至っていた。

2024-07-10 一週間あまり前のグラフと比べてみると感染拡大が加速しているようだ。推計(オレンジ色)では、7月以後感染者数が5万人を超え、陽性率が40%を超える。予防対策をしないと、感染についても、発症についても、後遺症についても、”ロシアンルーレット"で当たってしまう確率が高くなる:
スクリーンショット 2024-07-10 14.19.13  スクリーンショット 2024-07-10 14.19.25

2024-07-02 新型コロナウイルス感染症は,後遺症のリスクもあり, 5類感染症に移行しても, 感染しないに越したことはないModerna社提供のWebサイトから新型コロナの患者数推移と陽性率推移を下図左右に引用:
スクリーンショット 2024-07-02 10.47.30   スクリーンショット 2024-07-02 10.48.03
 患者数の推移も陽性者の推移も、ちょうど1年前の頃の「雰囲気」に似ている。
[注]推計値はJAMDAS(Japan Medical Data Survey:日本臨床実態調査)のデータに基づいている。公表値は厚生労働省のオープンデータから引用されている。いずれも、7日間移動平均が表示されている。

2024-01-28 データからみた新型コロナの今
[出典]  "Covid-19 research roundup: Jan 11" Dr. Katelyn Jetelina, M.P.H. Ph.D (疫学者; 米国CDCを含む各種機関の上級科学コンサルタント) Substack 2024-01-11. https://yourlocalepidemiologist.substack.com/p/covid-19-research-roundup-jan-11

1. 2023年秋のワクチンは有効

 新型コロナワクチンの最新版について、臨床試験に続いて、実社会での接種の結果に関するデータが蓄積され始めた。

1.1 入院に対して70%の有効性 (オランダの60歳以上2,050人の入院患者を対象とする解析)
[出典] "Early COVID-19 vaccine effectiveness of XBB.1.5 vaccine against hospitalization and ICU admission, the Netherlands, 9 October - 5 December 2023" medRxiv 2023-12-13 (プレプリント). 

1.2 救急外来の利用、外来患者の利用、入院に対して、少なくとも30日間、有意な予防効果がある (米国の18歳以上を対象とする解析:感染者4,232人/非感染者19,775人)。

2. ワクチンは新型コロナ後遺症 (ロングCOVID) 対する防御として有効
  •  ワクチン接種者299,692人を対象とする解析
  •  ロングCOVIDのリスクが、ワクチン1回接種で21%減少、2回接種で59%減少、3回以上接種で73%減少

3. ワクチンは子どもにも有効

3.1 ワクチンはパンデミックの全期間において、感染と重症化に対して非常に有効であった。
 例えば、北欧4カ国全体では、ワクチンを接種した青少年526,966人の解析から、重症化を防止する効果は73%であった。
[出典] "COVID-19 Vaccine Effectiveness Among Adolescents" Pediatrics.2024-01-10. 

3.2 ワクチンは安全である。
 剖検検査の結果も含む死因のデータ解析から、若者の心臓突然死(Sudden Cardiac Death:SCD) が、パンデミックの間およびワクチン接種開始後に増加した事実は無いと結論。

4. ウイルスの感染リスクは感染者との接触時間とともに高まる

 感染は1時間あたり1%の確率で直線的に増加し、ほとんどの感染は1時間から数日間の接触によるものであり、「感染リスク=時間×感染者との近さ」が成り立つ。例えば、スーパーで感染者とすれ違ったことによる感染リスクは、感染者のいる家に滞在するよりもはるかに低い。

5. JN.1の方がより悪性?

 研究室での実験データではJN.1は他のオミクロン変異系統よりも顕微鏡レベルで重症であることが示唆されている。しかし、このことが実社会において個人レベルで重症化をもたらすことを意味するかどうかは現時点では不明である。また、集団レベルでは、入院患者数が昨年よりも少ないないことから、デルタ株のような重症化はもたらさないように思われる。
[注] いずれにしても、インフルエンザにはない長期的な後遺症のリスクを回避するために、ワクチン接種、マスク着用、密を避けるといった感染予防対策をとる必要がありそうだ。

6. サーズウイル2の量は、症状が出てから何日後にピークに達するのだろうか

 オミクロン変異株が優勢な状況では、ウイルス量は3-4日目にピークに達していた。いわゆる武漢株から始まったパンデミックの初期は、ウイルス量は感染後 1〜2にピークに達するとされていた

 したがって、
迅速抗原検査では、オミクロン変異株は、症状が出てから3日目、4日目、あるいは5日目にならないと確実に陽性と判定されないことがある。このことは、パクスロビド (症状が出てから5日以内に投与する必要がある) の処方や隔離の必要性を判断するために、どのような検査をどのように使用するのが最適かについて、問題を提起することになる。

7. サーズウイル2は季節性ではないのか?

 インフルエンザウイルスなどの他のウイルスは気温に感受性があることで、季節性の特徴を帯びている。最近の動物実験で、サーズウイルス2の感染は気温や湿度の変化には影響されないことが示唆された。すわなち、サーズウイルス2は、様々な温度・湿度条件下でも感染能力を維持していると思われる。

[結論]
 サーズウイルス2/COVID-19 に遭遇してから4年になるが、いまだに、日々学んでいる気がする。科学は、変異し続けるサーズウイルス2に対して、アップデートされた情報に基づくよりより選択を可能にする。

2024-01-26 JN.1株

 
WHOが2023年12月18日付でVOI (Varikants of Interest / 注目すべき変異株) に指定したJN.1株に対する注目が日本でも2024年1月中旬ごろから急速に高まってきたようだ。JN.1は、オミクロン系統の中のBA.2.86変異株から派生したBA.2.86.1.1変異株に相当する。

 東京都健康安全研究センターのWebサイトに、1月26日付で「世界の新型コロナウイルス変異株流行状況 (JN.1が世界の主流株)」という記事が掲載された。その中で、1月18日時点での東京都の変異株サーベイランスの結果 [以下に引用]が紹介されているが、2024年第1週 (1/1-1/7) にゲノム解析されたサーズウイルス2の55.6%と、初めて50%を超えていた [左下図に引用]。また、Outbreak.infoによると全国的にみても、JN.1が優勢になってきたようだ [右下図に引用参]
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 なお、米国では1月19日時点で、JN.1の感染に占める割合が85.7%程度と報道されている [REUTER]

 国立感染症研究所のWebサイトの「新型コロナウイルス感染症サーベイランス速報・週報:発生動向の状況把握」のWebページから閲覧可能なPDFにて、都の報告と同様に2024年第1週 (1月1日~1月7日)の週報が公開されているが、全国でみた定点当たりの報告数が2024年第1週から増加し、また、新規入院患者数が2,336人と前週から394人増加したとされている

2024-01-18 第10波が発生しているらしい
 
モデルナが公開データをもとに作成・公開している「新型コロナ・季節性インフルエンザ・RSウイルス リアルタイム流行・疫学情報」のグラフ [左下図に引用https://moderna-epi-report.jp]や、札幌市が測定・公開している下水中のウイルスRNA濃度の推移グラフ [右下図に引用https://www.city.sapporo.jp/gesui/surveillance.html]など、第10波が来ているように見える。
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愛知県では感染者数が全国平均の二倍近くなったこともあり「第10波宣言」を出したが、他の都道府県と政府はどう判断しているのだろう。車内や屋内で、マスクをしている人は比較的咳をしないが、マスクをしていない人が咳をしていることが多いような気がしないでもない。

2023-10-01 第9波は発生していた

 モデルナの推計グラフによると、スクリーンショット 2023-10-01 8.58.03第9波は発生し、8月22日から数日間のピークを超えて収束に向かい始めたようだ [右図参照]。どうやら、第9波は一部では発生しないまま過ぎ去ったことにされそうだ。新型コロナ後遺症 (ロングCOVID) についてもないことにしたままやり過ごされていくのだろうか。

 米国CDC内の国立保健統計センター(NCHS) の発表によると、ロングCOVIDは、成人の「わずか」約7%の1,790万人、子供の「わずか」1.3%の96.2万人が経験したに過ぎないとされていることもあり [コロナ後遺症, 「成人の約7%が経験」米推計. CNN Japan 2023.09.29 16:07 JST]

 上記の米国の調査では、検査での陽性反応または医師の診断から少なくとも3カ月続いた症状を後遺症と定義したが、後遺症を訴える成人の割合は時がたつにつれ下がっているものの、3ヶ月以上長引く症状に苦しむ患者は少なくない。また、インフルエンザや溶連菌感染症にかかることで、新型コロナの後遺症が発症する例もあるという。さらに、後遺症による身体機能への負担は、心臓病やがんよりも大きいと報告されている。

 米政府は、ロングCOVID対策を調整する「Office of Long COVID Research and Practice」を新設し、また、米国立衛生研究所 (National Institutes of Health: NIH) のRECOVERイニシアティブの枠組みの中で、ロングCOVID患者を対象とする臨床試験を開始する [Biden administration announces launch of HHS office focused on long Covid research. Howard J, Updated 6:25 PM EDT, July 31, 2023]

 ブルッキングス研究所によると、就労が不可能なロングCOVID患者は米国の労働力全体の〜1.8%にあたる200万人から400万人に、経済的な損失は最大で年間2,300億ドル (〜31兆円) に及ぶ。さらに、ロングCOVID患者が毎年10%ずつ増え続けると10年後の経済的損失は~70兆円近くなると分析し、今後、新型コロナの予防や治療、企業の有給休暇を充実させるなど、対策の強化を提言している [新型コロナ後遺症 最大400万人働けず 米・シンクタンクが分析 NHK NEWS WEB 2022-08-27 16:06]

 日本では、オリンピックや万博などのイベントについては、「過小な経費見積もりと過大な経済効果を喧伝する」ことが伝統芸になっている一方で、感染症を含む疾患について、予防に必要な経費見積もりとその経済的効果 [*]、といった議論を目にすることは少ない [* 上記の米国の経済損失の推計に含まれているか確認できていないが、予防による診断・治療に要する医療費を抑制する効果も含む]。
 
2023-09-16 感染爆発
 午後9時近く、X (旧 Twitter) のトレンドに「感染爆発」が上がっており、1万ポスト(ツイート)を超えていた。諸説ポストされていたが、スクリーンショット 2023-09-16 20.52.53ファクトとして、新型コロナによる学級閉鎖が急激に増えているようだ。神奈川県では、9月1日に207クラスであった閉鎖が750クラスを超え、また、北九州市では、9日に合唱などを披露した文化発表会から代休を経た12日になって一気に120人が学校を休み、全てのクラスに陽性者がいる例もあったとのことだ。

 比較的若く既往症がない場合は、サーズウイルス2に感染しても、無症状または軽症で済む確率が高いが、後遺症にかかるリスクからは逃れられない。また、高齢であったり既往症のあるいわゆるハイリスクな場合は、現在流通しているワクチンを接種して、重症化および後遺症のリスクを下げることが賢明であるというのが、米国のCDCおよび感染症の専門家、また、日本の感染症専門家のコンセンサスのようだ [Science 2023-09-09]。

 なお、マスク着用が普及していた昨年同時期に比べて、インフルエンザの感染者数が166倍になったというポスト (ツイート) も見かけた。 

 本日の図として、モデルナ社が更新を続けている国内の新型コロナウイルスの感染状況のグラフに、都医師会、コロナ担当相、官房長官、厚労大臣、尾身(元)分科会会長のお言葉をアレンジしてみた。この間、「メッセージの明確さと一貫性、そして、コミュニケーションを行う人々に対する信頼と信用」が実現されていただろうか。

2023-09-01 
 8月26日に引用した英国王立協会の報告は、感染対策には「メッセージの明確さと一貫性、そして、コミュニケーションを行う人々に対する信頼と信用」が重要としている。ちまたでは、マスクをしている人は少数派になってきたが、8月31日に豊洲市場を訪れた岸田報道記事の写真 [NHK NEWS WEB 2023-08-31 11:43 am]を見ると、関係者全員マスクを着用している。スクリーンショット 2023-09-01 11.17.075類移行以来感染数が増え続け[右図の厚労省資料モデルナ社の推計を参照]、ここ数日学級閉鎖が増加し、過去最多を記録した地域も出たことが報道 [毎日新聞 2023-08-31 17:36更新]されるようになったが、政府からは「マスク着用などの非医薬品による感染抑制行動を促すメッセージ」は発信されていないようだ。また、千葉県は、5月の「教職員が率先してマスクを外そう 千葉県教委員が通知、熊谷知事『同調圧力や惰性で続かないように』」 [東京新聞 2023-05-26]という方針を貫いているのか、感染抑制行動を促すメッセージを発信していないようだ。

 感染初期から言われていたマスク着用に感染拡大を抑制する効果があることは、学校を対象とした米国での調査や、英国の総合的な報告書でも、認められている。また、パンデミック後を憂慮すべきことに、軽症のCOVID患者にも、また、感染していたことを知らずに過ごしていた人々の中にも、脳神経系を含む多臓器においてCOVID後遺症が発症し、そのCOVID後遺症は発症後2年経過しても治癒しない場合があることが報告されている。9月に入っても、非薬品による感染拡大抑制行動をとりたいものである。

 英国の報告書によれば、サーズウイルス2の感染が拡大し始めた際にとられた日本のマスク着用をはじめとする「非薬品よる抑制」策は、当時取り得た唯一の対策であったとされ、その「非薬品よる抑制」策は感染再拡大時にも有効な対策である、とされている。 

2023-08-18 初稿から2ヶ月経過した。8月3日に開催された東京都感染症対策連絡会議の資料を眺めてみた [Webページ 東京都保健医療局 の中の感染症対策の中の東京都感染症対策連絡会議 ]

 右図に引用したように、データ定点医療機関当たり患者報告数, 60歳以上の定点医療機関当たりの患者報告数, 発熱等相談件数, 救急医療の東京ルールの適用件数, 救急医療の東京ルールの適用件数, および入院患者数のいずれも、右肩上がりになっている。興味深いのは、5類感染症への移行は5月8日から始まったのだが、救急医療の東京ルールの適用件数を除いて、3~4月ごろから徐々に上がり始めやや傾きが急になりつつあるように見える点である。
 
 全国の感染状況については、NHKのWebサイトで公開されている「1医療機関あたり平均患者数(全国)」で見ると、5月ごろから徐々に広がり、7月最終週から8月第1週にかけてはほぼ一定となっている [左下図参照]。また、モデルナ社が提供しているWebページで公開されている全国の検査陽性率の推移を見ると、3月22日の8%以後、上昇を続け7月25日以後50%台が続いている [右上図参照]。
NHK   陽性率
 こうしたデータに対して、これまでどのような発言があったか振り返ってみた:
  • 政府分科会尾身会長「第9波が始まっている可能性 [NHK NEWS WEB 2023-06-26]
  • 後藤茂之経済再生担当相 (コロナ担当相) は7日の閣議後記者会見で第9波に入ったという見方を否定、いわく「政府として、今の段階で新しい流行の波が発生しているというふうに認識しているわけではない」「さほど大きな伸びとなっているという認識は持っていない」 [YAHOOニュース (共同通信) 2023-07-07]
  • 西浦博教授は、コロナ第9波に対して「データに乏しく、感染収束見通せず」「今までは地域全体の感染者数を推計し、自然感染やワクチン接種による集団としての免疫も加味した上で、どう増えていくのか推計ができた」「全数報告がないため、どの程度の人が免疫を獲得しているか確実につかめず、いつになれば増加が止まるか分からない。」と述べている [毎日新聞 2023-07-07]
  • 松野官房長官は、記者会見ごとにコロナに対して「先手で対応」と繰り返してきた [例えば、7月22日
 記憶によれば「第9波が来たのか」と問われた政府は「データが不足していてわからない」と答えたことがある [元記事をメモし忘れたため、出典を明記できず]。データが不足する状況を作り出したのは政府なのだが。いずれにしても、もっと急峻にグラフが上昇しないと、「波」と認識できないのかもしれない。

 無症状で医師の診断を受けていない場合はそもそもサーズウイルス2に感染したかどうか分からないわけだが、サーズウイルス2に感染した場合は、たとえ軽症で済んだとしても、一定の割合でロングCOVIDに悩まされることになり、ひいては、医療費が増えていくことになる。ロングCOVIDに対しても「先手」で対応なさっておでなのだろうか。

  東京都の感染症対策会議が8月3日にコメントしているように、「夏休みやお盆に帰省等で高齢の 方と会う場合や大人数で集まる場合は、換気、手洗い、場面に応じ たマスク着用などの感染防止対策を心掛けること」「また、 体調が悪いときは、外出を控えること」、重症化を予防するため、リスク の高い高齢者等は、できるだけ早くワクチンを接種すること」が望まれる。一方で、千葉県では「学校で教職員が率先して外し指導を」[千葉日報 2023-05-22]していたが、今どのような状況なのだろうか。変異株
 
 ところで、新たな変異株「EG.5」(通称エリス) が米国では最も優勢になり、WHOは注目すべき変異株 (VOI)」に位置付けた [Arianna Johnson Forbes JAPAN  2023-08-13]。東京都では、右図にあるように、6月下旬から7月初旬にかけて8.7%から14.8%へと上昇したがその後やや比率が下り、7月第2週は12.0%ととどまっているが、リアルタイムではどうなのだろう。なお、EG.5は感染力が強いが、病原性は強まっていないとされている。
 
2023-06-18 初稿
 2023年5月8日にCOVID-19が第5類感染症に移行した。それに伴い感染者数も全数把握から定点把握に変わったが、そのデータが1ヶ月あまり蓄積されてきた。東京都での定点把握での感染者数は5週連続増加していると報告されているが、2023-06-18 13.11.225月8日以前に遡った定点把握数も公開されている。そこで、2022年10月から5月初旬までの感染者の全数把握数の変動と並べて見た [東京都福祉保健局日本経済新聞のWebサイトから引用した右図参照]。きわめてざっくりとした印象だが、定点把握数の変動は概ね全数把握数の変動を反映しているようだ。
 今後、感染力が強いとされるXBB変異株が主流になっているなかで、感染防止の意識が緩んでいることから、まだまだ、感染が広がっていきそうだ。また、感染者数の実際の増加率は、COVID-19の特徴である感染していても無症状また症状が"風邪のように"軽い場合があることから、検査や検診に行かない感染者が潜在し、かなり高い可能性がある。無症状であっても感染者はリスクの高い家族や知人に感染させる力を備えており、軽症であっても長期間の後遺症に苦しむリスクがある。幸にして、XBB変異株は病原性が強くなっていないが、無症状感染者からの感染も含む感染拡大を経て、重症者や死亡者の絶対数は増えていくことになる。
 2023-06-18 13.11.04東京都のモニタリング会議の報告では、「周囲の状況に応じて、換気、手洗い、場面に応じたマスク着用などの感染防止対策を心がけることが望ましい」としている [東京都福祉保健局 新型コロナ保健医療情報ポータル 最新のモニタリング項目 2023年6月15日発表 ] から引用した右図参照]。この感染防止対策はCOVID-19に対する感染防止の他にも、インフルエンザウイルスをはじめとする感染予防効果があったことが、図らずも、この3年間で実証されている。
 前述の「周囲の状況に応じて、場面に応じて」の典型は医療機関である。New England Journal of Medicine 誌からは2023年6月14日に「医療機関ではマスクの戦略的着用が必要」という主旨の展望記事が刊行されている ("Strategic Masking to Protect Patients from All Respiratory Viral Infections")。