[注] CasDinG:タイプIV-A CRISPR-Csf複合体のユニットcsf4
[出典] "Type IV-A CRISPR-Csf complex: Assembly, dsDNA targeting, and CasDinG recruitment" Cui N, Zhang J-T [..] Huang H, Jia N. Mol Cell 2023-06-20. https://doi.org/10.1016/j.molcel.2023.05.036 [著者所属] Southern U Science and Technology (Shenzhen), Shenzhen Institutes of Advanced Technology
CRISPR-Casシステムはこれまでに2つのクラス (1と2) に6種類のタイプ (I-VI) が分類されている。その中で、タイプIVシステムは、他のタイプが宿主ゲノムにコードされファージを標的とするのに対して、主としてプラスミドにコードされ、また、主としてプラスミドを標的とする。中でも、サブタイプIV-Aは、200 kbを超える大きなプラスミドにコードされ、臨床サンプルに見られる多剤耐性菌Klebsiella pneumoniae が帯びている抗生物質耐性遺伝子と有意に相関している。このことは、サブタイプIV-Aが、宿主に侵入するその他のプラスミドを標的としつつ、抗生物質耐性プラスミドの安定化に寄与することを、示唆する。
研究チームは、Pseudomonas aeruginosa PA83のCsfマルチサブユニット複合体 [*1]のさまざまな状態 [*2] における構造をクライオ電顕法で再構成し、CsfとcrRNA複合体の形成、“DWN” [*3]PAMに依存するdsNDAターゲッティング、R-ループ形成、およびCasDinGの動員の分子機構を明らかにした。
[*1] タイプIV-A CRISPR-Csf複合体の遺伝子座の構成は次の通り [Figure 1参照]:
csf4 (castinG) - caf5 (cas6) - cfs1 (cas8) - csf2 (cas7) - csf3 (cas5)- CRISPR array;3,159 bp (SpCas9/4,104 bpより小型)
[*2] サブユニットの一つであるcsf4 (CasDinG [*4]) の存在下と非存在下における標的二本鎖DNA (dsDNA) に結合前と結合後の構造[*3] D (not "c"); W ("a" or "t"); N (any)
CasDinGは、一本鎖DNAによって刺激されるATPを加水分解する活性 (ssDNA-stimulated ATPase activity) と、ATPに依存する5′-3′ ヘリカーゼ活性を帯びているDinGであった。さらに、CasDinGが、標的dsDNAにおけるcrRNAの標的鎖 (target strand: TS) と非標的鎖 (non-target strand: NTS) を巻き戻すことを明らかにした [Figure 7参照]。
本研究により、タイプIV-A CRISPR-Csfの機能の構造基盤が明らかになったことで、Csf複合体をベースとした新たなゲノム工学のツールの開発が可能になった。
[構造情報] (2023-06-25 公開待ち)
- PDB 7XFZ/EMD-33180 : Csf<crRNA-spacer14>-dsDNA ternary complex
- PDB 7XG0/EMD-33181: Csf<crRNA>-dsDNA ternary complex
- PDB 7XG1/EMD-33182: Csf<crRNA> binary complex
- PDB 7XG2/EMD-33183: Csf<crRNA>-dsDNA<NTS-nicked> ternary complex
- PDB 7XG3/EMD-33184: Csf<crRNA>-dsDNA<NTS-nicked>-CasDinG quanternary complex
- PDB 7XG4/EMD-33185: Csf<crRNA>-dsDNA<NTS-nicked>-CasDin<G2nd> quanternary complex
- PDB 7XEX: apoCasDinG
- PDB 7XF1: CasDinG- ssDNA complex
- PDB 7XF0: CasDinG-ATP complex
[関連crisp_bio記事]
- CRISPRメモ_2019/12/11 [第9項] タイプIV-A CRISPR-CasシステムがプラスミドDNAをin vivoで切断することを初めて同定.
- 2021-01-21 タイプIV-A CRISPR-Cas13aにおける自己RNAを保護する構造基盤.
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