[出典] "Creation of an albino squid line by CRISPR-Cas9 and its application for in vivo functional imaging of neural activity" Ahuja N, Hwaun E, Pungor JR [..] Soltesz I, Albertin CB, Rosenthal JJC. Curr Biol. 2023-06-14/6-20. https://doi.org/10.1016/j.cub.2023.05.066 [著者所属] Marine Biological Laboratory, Stanford U, U Oregon, Columbia U, Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University, U College London, UC Berkeley.
頭足類の新たなモデルのひとつであるEuprymna berryi は、ライフサイクルを通じて簡単に培養できる胚を大量に生産し、ゲノム配列も明らかにされている。
- CRISPR-Cas9技術による頭足類の機能ゲノミクスの概念実証実験として、著者らは、頭足類の眼や色素体に存在する色素であるオモクロームの形成に必要な酵素であるトリプトファン2,3ジオキシゲナーゼ ( tryptophan 2,3 dioxygenase: TDO) 遺伝子を標的とするCRISPR-Cas9をE. berryi に適用した。
- 遺伝子 tdo を標的とするCRISPR-Cas9 RNPを初期胚に注入し、成体まで培養した。予期せぬことに、注入された動物 G0s は、塩基配列決定によって標的部位のインデルが確認されたにもかかわらず、注入された標本は色素沈着していた。
- また、TDOのホモ接合体ノックアウト系統を何世代にもわたって繁殖させたものも色素沈着していた。
- 驚くべきことにE. berryi には、脊椎動物のTDOと同じ反応を触媒する酵素であるインドールアミン2,3,ジオキシゲナーゼ (indoleamine 2,3, dioxygenase: IDO) をコードする遺伝子も存在する。
- 2種類の遺伝子, tdoとido , の双方をCRISPR-Cas9でダブルノックアウトすると、アルビノの表現型が得られた。著者らは、これらのアルビノが、二光子励起顕微鏡を用いた脳内Ca2+シグナル伝達のin vivoイメージングに有用であることを示した。
本研究は、頭足類を対象として、神経活動のライブイメージングに使用できる遺伝子ノックアウト系統を樹立可能なことを実証した。
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