[出典] "Biomimetic Mineralized CRISPR/Cas RNA Nanoparticles for Efficient Tumor-Specific Multiplex Gene Editing" Liang Y, Zhang J, Xu C [..] Zhang Z, Shi J, Zhang K. ACS Nano 2023-07-23. https://doi.org/10.1021/acsnano.3c04116 [著者所属] Zhengzhou U (鄭州)
CRISPR/Cas9システムによる多重遺伝子座編集は、洗練された遺伝子治療と細胞工学に有望な技術である。しかし、効率的な多重遺伝子編集を達成するには、そのデリバリーシステムには、すべてのCRISPR/Cas9 RNA因子を個々の細胞の細胞質に最適な化学量論比でトランスフェクション可能とする容量が要求される。鄭州大学の研究チームは今回、自然界におけるバイオミネラリゼーション (biomineralization) にヒントを得て、オールインワンのバイオミメティックミネラリゼーションCRISPR/Cas9 RNAデリバリーシステムを開発した。
このシステムは、Cas9 mRNAと複数のsgRNAとの間の共カプセル化 (coencapsulation) 比率を精密に制御することを可能にし、同時に大量のRNAのデリバリーを可能とする。さらに、RNAの4℃での1ヶ月までの保存安定性を高め、RNAナノ粒子のin vivoにおける肝臓以外の部位への正確なターゲティングのために、ナノ粒子の表面を容易に機能化することが可能である。
概念実証実験において、マウスモデルにて、複数の遺伝子において有意な遺伝子編集(Survivin:31.9%、PLK1:24.41%、HPV:23.2%)を達成し、HeLa細胞のアポトーシスを促進し、肝組織においては明らかなオフターゲット効果を示すことなく腫瘍増殖を抑制した。
本システムは、生体内での多成分RNA送達に関連する様々な課題を解決し、RNAベースのCRISPR/Cas9遺伝子編集に革新的な戦略を提供する。
コメント