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[出典] "Cas9-targeted Nanopore sequencing rapidly elucidates the transposition preferences and DNA methylation profiles of mobile elements in plants" Merkulov P [..] Kirov I. J Integr Plant Biol. 2023-08-09. https://doi.org/10.1111/jipb.13555 [著者所属] All-Russia Research Institute of Agricultural Biotechnology, Moscow Institute of Physics and Technology, All-Russia Center for Plant Quarantine, N.V. Tsitsin Main Botanical Garden of the Russian Academy of Sciences

 転移因子の挿入 (transposable element insertions: TEIs) は、植物の適応、種分化、新品種の生産に寄与することで、ゲノム・イノベーションの原動力になっている。しかし、植物ゲノムはしばしば巨大で複雑であるため、ショートリードシーケンスからTEIを同定することは困難であり、また、コストもかかる。さらに、モバイローム (mobilome) の動態を反映する稀な体細胞挿入を、ショートリードシーケンスで追跡することも困難である。これらの課題を解決するために、ロシアの研究チームが、CRISPR-Cas9とナノポアシークエンシングからなるロングリード標的シーケンス(Cas9-targeted Nanopore sequencing: CANS) と新規パイプラインであるNanoCasTEを組み合わせて、植物における遺伝的に継承されるTEIと体細胞TEIの両方を追跡した。

 野生型シロイヌナズナのEVADÉ (EVD)レトロトランスポゾンを対象とするCANSを行い、EVD挿入の嗜好性の形成にDNAメチル化が重要な役割を果たしていることが明らかになった。また、ONSENトランスポゾンファミリーの体細胞転移についても解析し、熱ストレス時に発現が低下する遺伝子が、ONSENによって優先的に標的とされることを発見した。さらに、2つのONSENについて、新規体細胞挿入の低メチル化を検出した。

 CANSとNanoCasTEの組み合わせは、T-DNA挿入変異体やトランスジェニック植物のスクリーニングだけでなく、ストレスに応答する植物や異なる遺伝的背景におけるTEIを検出し、モバイロームを探索するための効果的なツールである。
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