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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

1.Floxマウスの効率的作出

[出典] Horii T, Morita S, Kimura M, Terawaki N, Shibutani M, Hatada I.

Efficient generation of conditional knockout mice via sequential introduction of lox sites.” Sci Rep. 2017 Aug 11;7(1):7891.

  • Cre/loxを利用した条件付きノックアウトマウス(floxマウス)は、遺伝子機能解析に欠かせない研究資源である.CRISPR/Cas9を利用すると、2種類のgRNAsと一本鎖オリゴヌクレオチド(ssODN)により、ノックアウト標的遺伝子のエクソンの両側2箇所に同時にlox配列を挿入し(以下、同時法)、標的遺伝子の条件付きノックアウトが可能になる(挿入図 Figure 1-a).しかしこの同時法では、同一染色体の2箇所で発生するdsDNA切断(DSB)が染色体欠失を誘発し、結果的にfloxマウス作成成功率が著しく低くなる.Flox mouse 1
  • 今回、群馬大学生体調節研究所ゲノム科学リソース分野の研究チーム(堀居拓郎、森田純代、木村美香、寺脇直美、澁谷海大、畑田出穂)は、CRISPR/Cas9によりlox挿入を2箇所へ、1細胞期と2細胞期に順次挿入する手法(挿入図 Fgiure 1-b;以下、順次法)を発想し、CRISPR/Cas9システムのマイクロインジェクションとエレクトロポレーションによる最適化を試みた.
  • その結果、エレクトロポレーションを利用する順次法により、2種類の遺伝子座(Mecp2/Tet3)を標的とする実験で、floxマウス出現確率がそれぞれ同時法の〜3倍/7.3倍となり、また、染色体欠失率がそれぞれ4分の1/7分の1となる結果を得た
  • さらに、Creを形質導入したマウス受精卵にエレクトロポレーション順次法を適用し、胚移植を介して、受精卵から直接Floxマウスを作出することに成功した(挿入図 Figure 2-aFlox mouse 2
  • 順次法は、必要な部品(Cas9gRNAssODNなど)は全て購入可能、エレクトロポーレションはスケーラブル、および交配を介さずflox化可能というメリットがあり、ラット、ブタ、ウサギなどに展開可能であり、さらに、FLP/FRTを含む他の部位特異的組換えシステムにも拡張可能である.

2.RCas9/TVA-CRISPR/Cas9複合システムによる遺伝子編集で、精密な腫瘍モデルを構築

[出典] Oldrini B et al. “Somatic genome editing with the RCas9/TVA-CRISPR/Cas9 system for precision tumor modeling.” bioRxiv Posted August 14, 2017.

RCas9/TVA-CRISPR/Cas99複合システムにより、神経幹細胞に腫瘍抑制因子(Trp53; Cdkn2a; Pten)欠失とドライバーオンコジーン発現を導入し、高悪性度グリオーマ形成;さらに、gRNAsペアを利用することで染色体領域欠失と染色体転位を導入し、in vitroin vivoで形質転換能を確認;また、グリオーマの様々なサブタイプで高頻度で存在するBraf V600E変異を、HDRを介して構築.

[] RCas9/TVAThe RCas9 System (Hughes Lab Web site/NCI)

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