[注] 単一粒子プロファイラー: single-particle profiler (SPP)
[出典] Brief Communication "High-throughput measurement of the content and properties of nano-sized bioparticles with single-particle profiler" Sych T [..] Sezgin E. Nat Biotechnol. 2023-06-10. https://doi.org/10.1038/s41587-023-01825-5 [著者所属] Karolinska Institutet, U Applied Sciences Upper Austria, Institute of Medical Chemistry (Vienna), LBG Ludwig Boltzmann Institute for Traumatology, Uppsala U, Imperial College London.
[背景]
人体内には多様なナノメータのサイズの粒子 (生体粒子) が存在して、生理的な機能を担っている。例えば、リポタンパク質 (5-80 nm) は脂質を輸送して細胞代謝を維持し、細胞外小胞 (EV <200 nm) は免疫応答、細胞間コミュニケーション、シグナル伝達に関与し、また、感染した平均サイズ100-200 nmのウイルス粒子は様々な病気を引き起こす。さらに、合成リポソームや脂質ナノ粒子 (LNP) は、薬物送達やワクチンに広く用いられている。
リポソームのコンテンツや生物物理学的特性を分析することで、健常な状態および疾病におけるリポソームの構造、機能、挙動を解明することができる。生体粒子を解析する既存の方法のほとんどは、生化学的分析、質量分析、全反射蛍光顕微鏡、フローサイトメトリーに依存している。生化学的手法と質量分析法はバルク法であり、単一粒子の分解能は得られない。全反射蛍光顕微鏡法は、真に単一粒子の方法でS/N比に優れているが、生体粒子を表面に固定する必要があり、スループットが低い。一方、フローサイトメトリーはハイスループットな方法であるが、通常、細胞のサイズが対象とされてきた。最近では、フローサイトメトリーによる EV の分析が試みられ、マイクロ流体装置に依存する「ナノフロー」装置の開発も進んできたが、対象が平均粒子径が200nm以上に限られており、また、専用の高価な装置を必要とすることが多い。
[成果]
カロリンスカ研究所を主とするスエーデン、オーストリア、ドイツおよび英国の研究チームが今回、市販の共焦点顕微鏡をベースとして、サイズが5-200 nmの何千もの生体粒子のコンテンツと生物物理学的特性に関する単一粒子レベルの情報を提供する手法、単一粒子プロファイラー (SPP) を開発した。続いて、SPPを用いて、脂質ナノ粒子のmRNAカプセル化効率、異なるナノボディのウイルス結合効率、リポソーム、リポタンパク質、エクソソーム、およびウイルスの生物物理学的不均一性の測定を、実証した。
SPPは、
溶液中で拡散する数千個の生体粒子の蛍光揺らぎの解析に基づている [Figure 1引用右図 a 参照]。すなわち、蛍光で標識した粒子が回折限界内の観察空間を拡散し、そこで複数のチャンネルからの蛍光発光を連続的にモニターする。これは、蛍光相互相関分光法と同様であるが、すべての揺らぎを単一の曲線に還元する蛍光相互相関分光法とは異なり、複数チャンネルの強度揺らぎの個々のピークを、Pythonスクリプトで解析・特定する [右図 b 参照]。その上で、複数のチャンネルにおける個々のピークの強度に基づき、密度プロット [挿入図 c 参照] と各チャンネルのヒストグラム [挿入図 d 参照] を構築する。このSPPによって、200 nmより小さいナノサイズの単一生体粒子の蛍光強度を測定可能になった。
溶液中で拡散する数千個の生体粒子の蛍光揺らぎの解析に基づている [Figure 1引用右図 a 参照]。すなわち、蛍光で標識した粒子が回折限界内の観察空間を拡散し、そこで複数のチャンネルからの蛍光発光を連続的にモニターする。これは、蛍光相互相関分光法と同様であるが、すべての揺らぎを単一の曲線に還元する蛍光相互相関分光法とは異なり、複数チャンネルの強度揺らぎの個々のピークを、Pythonスクリプトで解析・特定する [右図 b 参照]。その上で、複数のチャンネルにおける個々のピークの強度に基づき、密度プロット [挿入図 c 参照] と各チャンネルのヒストグラム [挿入図 d 参照] を構築する。このSPPによって、200 nmより小さいナノサイズの単一生体粒子の蛍光強度を測定可能になった。 SPPを利用することで、ナノサイズの生体粒子のコンテンツと生物物理学的特性を、
バルクとしてではなく単一粒子で、ハイスループットで解析可能なこと、統計解析を用いて生体粒子集団内の不均一性を同定可能なこと、クラスタリング解析のために複数のパラメータ (拡散や流動性など) を取得できることを示した [Fig. 2引用右図参照]。
バルクとしてではなく単一粒子で、ハイスループットで解析可能なこと、統計解析を用いて生体粒子集団内の不均一性を同定可能なこと、クラスタリング解析のために複数のパラメータ (拡散や流動性など) を取得できることを示した [Fig. 2引用右図参照]。 SPPは共焦点顕微鏡に依存し、専用の装置を必要とせず、また、検出器の特徴からスペクトル領域が固定されない利点も備えている。
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