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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[注] ARV薬 (anti-retroviral drug)
[出典] REVIEW "Antiretrovirals to CCR5 CRISPR/Cas9 gene editing - A paradigm shift chasing an HIV cure" Khan A, Paneerselvam N, Lawson BR. Clin Immunol 2023-08-21. https://doi.org/10.1016/j.clim.2023.109741 [著者所属] Scintillon Research Institute https://www.scintillon.org

 HIVの抗レトロウイルス療法にとって、HIVの薬剤耐性獲得とリザーバーの存在が重大な課題である。

 CCR5は、HIVが宿主細胞に侵入する際に利用するCD4受容体のコレセプターであり、ホモ接合型32bp遺伝子欠失 (∆32) によってその機能を失う。興味深いことに、HIV陰性∆32ドナーからHIV-1感染レシピエントへの同種他家造血幹細胞移植は、レシピエントの血液細胞をHIV侵入抵抗性にすることで、治癒的 (curative) 効果を示す。

 CRISPR/Cas9のような生体外遺伝子編集ツールは、同種他家∆32造血幹細胞移植を代替する可能性がある同種CCR5 ∆32造血幹細胞移植片を作製する上で非常に有望である。本レビューでは、HIV感染と治療の課題、CCR5遺伝子とその∆32変異、同種∆32幹細胞移植、臨床的成功例、HIV感染者においてこの変異を再現するCRISPR/Cas9遺伝子編集技術の可能性について述べる。
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