[出典] "Targeted editing of multiple homologues of GTR1 and GTR2 genes provides the ideal low-seed, high-leaf glucosinolate oilseed mustard with uncompromised defence and yield" Mann A, Kumari J [..] Bisht NC. Plant Biotechnol J. 2023-08-04. https://doi.org/10.1111/pbi.14121 [著者所属] National Institute of Plant Genome Research (New Delhi), U Delhi South Campus.
二大油糧作物である菜種とマスタードにおけるグルコシノレート (カラシ油配糖体) [*1]含量は、品種改良された菜種であり世界的に認められているキャノーラ (Canola) のレベル(種子乾燥重量で30モル/g未満)まで低減されており、タンパク質が豊富な種子粕は家畜飼料として有用である。しかし、種子以外の部分のグルコシノレート含量が全体的に低いことから、病害虫に対して脆弱になることが、大規模栽培の障害になっている。
[*1] アラブナ目植物に多く含まれる二次代謝産物の一種である。マスタードやワサビなどの辛味は、それらが損傷した際にグルコシレートから生じるカラシ油に由来する [Wikipedia]
グルコシノレートはカラシナの葉とさや壁で合成され、グルコシノレート・トランスポーター (GTR) によって種子中に移行・蓄積される。インド[*2] の研究チームが今回、
CRISPR/Cas9を利用してカラシナ (Brassica juncea : Bju) のGTR ファミリーの遺伝子を編集することで、種子以外の部位のグルコシノレートのレベルを高く維持しながら、種子のグルコシノレート含量 (SGC) を低減した理想的な系統を開発したことを報告した。
CRISPR/Cas9を利用してカラシナ (Brassica juncea : Bju) のGTR ファミリーの遺伝子を編集することで、種子以外の部位のグルコシノレートのレベルを高く維持しながら、種子のグルコシノレート含量 (SGC) を低減した理想的な系統を開発したことを報告した。[*2] カラシナはインド国産の主要な油糧種子である。
- 3種類のgRNAsを利用して、4つのBjuGTR1 ホモログと6つのBjuGTR2ホモログを高効率かつ正確に編集し、種子のSGCを低下させることに成功した (146.09 μmoles/g DWから6.21 μmoles/g DWへ)。
- GTRを編集した系統を詳細に分析した結果、葉面部におけるグルコシノレートの高い蓄積と分布の変化が認められた。
- 菌核病菌 (Sclerotinia sclerotiorum ) および農業害虫ハスモンヨトウ (Spodoptera litura ) への暴露実験で、GTR 編集系統は野生型系統と同等以上の防御応答を示した。また、GTR 編集系統は、様々な種子収量および種子品質形質においても野生型系統と同等であった。
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