[出典]
- SPOTLIGHT "A high-throughput approach of screening nanoparticles for targeted delivery of mRNA" Khirallah J, Xu Q. Cell Rep Methods. 2023-08-22. https://doi.org/10.1016/j.crmeth.2023.100572 [著者所属] Tufts U.
- "Peptide-encoding mRNA barcodes for the high-throughput in vivo screening of libraries of lipid nanoparticles for mRNA delivery" Rhym LH, Manan RS, Koller A, Stephanie G, Anderson DG. Nat Biomed Eng 2023-05-01/July. https://doi.org/10.1038/s41551-023-01030-4 [著者所属] Koch Institute for Integrative Cancer Research (MIT), Department of Chemical Engineering (MIT)
期待が高まっているmRNA医薬 [*]の様々な疾患への適用を展開していくにあったって、解決すべき課題の一つが、その送達技術である。
[*] タンパク質置換療法、COVID-19ワクチン, CRISPR/Cas遺伝子編集
Rhymらは、送達技術を改善する可能を帯びたナノ粒子( NPs)のハイスループット生体内スクリーニング法を、ペプチド・バーコーディングと液体クロマトグラフィー タンデム質量分析法 (LC-MS/MS) をベースとして、開発した。
[*] タンパク質置換療法、COVID-19ワクチン, CRISPR/Cas遺伝子編集
Rhymらは、送達技術を改善する可能を帯びたナノ粒子( NPs)のハイスループット生体内スクリーニング法を、ペプチド・バーコーディングと液体クロマトグラフィー タンデム質量分析法 (LC-MS/MS) をベースとして、開発した。
NPsには、標的の臓器/細胞に特異的な受動的/能動的送達、標的領域でのペイロードの放出制御、および溶解度の向上を介して、潜在的な副作用の低減と、標的領域への効率的なペイロード送達を実現する可能性がある。中でも、脂質ナノ粒子 (LNP) は、ペイロードであるmRNAの保護と標的特異性の性能の観点から、担体として期待されている。
一方で、タンパク質コロナ (protein corona) [Academic Accelerator] の形成などの要因により、ある製剤がなぜ異なる臓器や細胞を効果的に標的とするのかについての正確な理解は限られており、特定の標的に対するNPの合理的設計を困難にしている。
このため、mRNA製剤に向けてNPsの大規模スクリーニングが必要になるが、これまでのスクリーニング法はスループットが十分ではない。また、in vitro モデルでは生体内でのNPs粒子の分布を正確に再現できないことから、生体内でのスクリーニングが望ましいがこれにも、スループットが低いこと、大量の動物そしてまたはトランスジェニックモデルが小型の動物に限られているなどの課題がある。
MITの研究チームが開発しNature Biometical Engineering 誌で発表した手法は、ペプチドにエンコーディングしたmRNAのバーコードと液体クロマトグラフィータンデム質量分析 (LC-MS/MS) を組み合わせることで、組織を標的とするmRNA NP製剤を、ハイスループットかつ生体内でスクリーニング法である。
研究チームは、異なるLNPに異なるペプチドバーコードを紐付けておくことで、同一マウス内で複数のLNPsのスクリーニングを可能にした [Fig. 1 b 参照]。LNPに封入されたmRNAはペプチド・バーコードをコードしており、標的組織の細胞質に送達されたところで発現する。これらのバーコードの設計には、LC-MS/MSで検出するためのタンパク質と、定量化のための短いエピトープタグとの融合が含まれている。これによって、65種類のmRNAバーコードを用いて、384種類のイオン化可能な脂質を含む400種類以上のLNP製剤をスクリーニングを実現した。
この新しいスクリーニング法の特徴は、LNP製剤をスクリーニングするための他の手法で用いられてきたような特定の導入遺伝子を必要とせず、また、特定のモデルの背景に依存しないことである。また、複数のLNPsをスクリーニングを同一個体内で可能にしたことから、使用動物数の抑制や、LNPsの生体内分布の正確な表現などの利点も備えている。
この方法にもまだいくつかの課題が残されている:
- ペプチドバーコードを結合したmRNAの発現が臓器や細胞タイプに依存するか否かを検証する必要がある。
- LC/MSの感度がペプチドコードの依存するか否かを検証する必要がある。
- LNPスクリーニングに必要なペプチドバーコードを持つ個々のmRNAを含むライブラリーの合成に要する時間とコストを圧縮する改善が望まれる。
- この方法が特定の細胞タイプ、特に、組織や臓器において相対的に微量な細胞、を標的とする送達の特異度と効率も検証する必要がある。
これらの課題はあるが、Rhymらによって実証されたアプローチは、より効率的でより機序が理解された送達システムの迅速なスクリーニングと構築を可能にし、mRNA医薬の進歩への道を広げていくことが期待される。
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