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[出典] "Unidirectional trans-cleaving behavior of CRISPR-Cas12a unlocks for an ultrasensitive assay using hybrid DNA reporters containing a 3′ toehold" Mohammad N, Talton L, Hetzler Z, Gongireddy M, Wei Q. Nucleic Acids Res. 2023-08-31. https://doi.org/10.1093/nar/gkad715 [著者所属] North Carolina State U, Bangladesh U Engineering and Technology (兼任)

 CRISPR-Cas12aは、長くて安定なλDNAを含むdsDNA基質の非特異的トランス切断も誘導することができる。しかし、その分子機序はまだほとんど解明されていなかった。

 ノースカロライナ州立大学の研究チームが今回、Figure 4トランス活性化Cas12aは短い反応時間では平滑末端dsDNAを切断できないが、短いオーバーハングを持つ粘着末端dsDNAレポーターは分解できることを見出した。さらに興味深いことに、Cas12aが3'末端オーバーハングのdsDNA基質を5'末端オーバーハングの基質よりも少なくとも3倍速く優先的にトランス切断することを、発見した [論文Figure 4参照]。このオーバーハング位置のユニークな嗜好性は、RuvCとNucドメインに制御されていると想定されるCas12aの一方向性 (3'→5') のトランス切断挙動に起因する。

 研究チームは、この新しい知見を利用して、Figure 53′末端に短いssDNAオーバーハングを持つdsDNAバックボーンというハイブリッド構造に基づくハイブリッド・レポーターを設計し、裸眼とゲル電気永動による費用対効果の高い (非光学的) 検出を可能にした [右図はFigure 5から引用したハイブリッド・レポーター切断モデル]。

 このハイブリッド・レポーターを利用して、前増幅を必要としない裸眼検出とゲル電気泳動を組み合わせることにより、ssDNAターゲットをサブピコモルレベルまで検出できる高感度CRISPR-Cas12a診断アッセイを構築した。

 最後に、AAVとヒトパピローマウイルス16 (HPV16)をモデルとして、ハイブリッド・レポーターCRISPR-Cas12aアッセイの性能を確認した。

 研究チームが知る限り、本研究はCas12aの一方向のトランス切断挙動と、dsDNA基質のトランス分解において3’末端オーバーハングの重要な役割について記述した最初の報告である。

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