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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[注] pAgo (prokaryotic Argonaute); PNAsはpeptide nucleic acids (ペプチド核酸)に由来する用語であり、糖-リン酸骨格をN-2-アミノエチルグリシンの繰り返し単位に置き換えたDNA/RNA類似体である [J Biotechnol 2017-10-10 (PMC)]; 
[出典] "Programmable site-specific DNA double-strand breaks via PNA-assisted prokaryotic Argonautes" Marsic T, Gundra SR, Wang Q, Aman R, Mahas A, Mahfouz MM. Nucleic Acids Res. 2023-08-10. https://doi.org/10.1093/nar/gkad655 [著者所属] King Abdullah University of Science and Technology (KAUST)
 
 2012年2013年Science 論文以来、CRISPR-Casヌクレアーゼを利用したプログラム可能な部位特異的編集技術が、基礎生物学からバイオテクノロジー、また、遺伝子診断や遺伝子治療へと爆発的に利用され始めたが、サウジアラビアの研究チームが今回、アルゴノートを利用した、プログラム可能な部位特異的編集技術の可能性を報告した。
 
 研究チームは、グラフィカルアブストラクトから引用した右図にあるように、スクリーンショット 2023-09-05 9.50.17PNAがDNA二重鎖の意図した部位への侵入と巻き戻しを促進し、原核生物のアルゴノート (pAgo) タンパク質 が露出された一本鎖DNA (ssDNA) に特異的に結合して、標的配列に依存しない部位特異的な二本鎖切断 (DSB) を導入するアプローチを試み、これを、PNA支援pAgo編集 (PNP editing/PNP editor) と命名した。 
  • pAgoとしてClostridium butyricum 由来Ago (CbAgo)とKurthia massiliensis 由来Ago (KmAgo) を使用した。
  • PNAは標的への特異的なDNAの侵入を媒介し、ガイドされたpAgoは、GC含量やDNAが環状か直鎖状かにも依存せず目的とするあらゆるssDNA配列に特異的かつ高効率で結合し、室温で、標的部位にDSBを生成することが示されれた。
  • プログラム可能な部位特異的DSBを効率的に生成するPNPエディターを設計するための重要なパラメーターを決定した。
  • PNPエディターは多重化 (同時に複数のPNPエディターを利用することで、複数の部位特異的DSBを生成) が可能であり、また、ゲノム編集を含むin vitroおよびin vivoでの応用が可能である。
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