[注] 自己露出型は"self-uncloaking"の仮訳
[出典] "Precise RNA Editing: Cascade Self-Uncloaking Dual-Prodrug Nanoassemblies Based on CRISPR/Cas13a for Pleiotropic Immunotherapy of PD-L1-Resistant Colorectal Cancer" Zhang B [..] Wu Y, Yu Z. Adv Funct Mater. 2023-09-03. https://doi.org/10.1002/adfm.202305630 [著者所属] Southern Medical U.
 
 CRISPR/Cas13aは、プログラム可能なRNA分解活性を備えていることから、現在では標的不可能な癌遺伝子や免疫チェックポイントを標的とする癌療法のツールとして有望である。しかし、バイオセーフティ (生物学的安全性)を確保しながら治療効率を最大化するためのCRISPR/Cas13aの正確な腫瘍内活性化は依然として困難な課題である。
 
 中国の研究チームは、抗腫瘍効果を有する低分子SN38 とCas13a-crRNA RNPからなるデュアル・プロドラッグに基づくナノアッセンブリーを開発し、活性酸素応答性プローブでコーティングしてカプセル化することで、体内の腫瘍微小環境から刺激を受けることで、局所的に単一分子へと分解し、効率的なNIR-IIイメージングを実現する。
 
 SN38による免疫原性細胞死 (ICD)の誘導と、cGAS-STING経路を制御する新規免疫チェックポイントTIM3を標的とするCas13aによるRNA編集とが、大腸癌の免疫抑制性微小環境において並行して進行することで、自然免疫と適応免疫の両方を相乗的に活性化する。
 
 このアプローチにより、腫瘍への効果的な免疫浸潤が誘導され、PD-L1抵抗性の同所移植モデルおよび異種移植モデルにおいて、α-PD-L1の腫瘍退縮が10倍増加した。
 
 これらの結果は、癌治療において、CRISPR/Cas13aが利用可能であり、さらに、大腸癌の免疫療法を強化するためのネオアジュバント戦略として有望なことを示した。

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