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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] REVIEW "CRISPR-Cas System, a Possible “Savior” of Rice Threatened by Climate Change: An Updated Review" Shaheen N, Ahmad S [..] Shao G. Rice 2023-09-09. https://doi.org/10.1186/s12284-023-00652-1 [著者所属] Seed Center and Plant Genetic Resources Bank, King Saud U, U of the Punjab, U of Agriculture Faisalabad, National Rice Research Institute (China), Zhejiang Lab

 気候変動は農業に大きな影響を及ぼしており、特に世界人口のほぼ半数が食し、世界の食料安全保障に大きく貢献している稲作はその影響を大きく受けている。イネは、干ばつ、暑さ、塩害、重金属、いもち病、細菌性病害など、いくつかの生物的・生物学的ストレスに対して脆弱であり、これらのストレスはイネの莫大な収量損失を引き起こし、世界の食糧安全保障を脅かしている。この危機を回避するために、気候変動に対応できるイネ品種を育成するために、いくつかの植物育種技術やバイオテクノロジー技術が用いられてきた。

 今日では、遺伝子編集 (GE) 技術が作物改良に革命をもたらした。中でも、CRISPR/Casシステムに期待が集まっている。2013年(CRISPR/Cas遺伝子組換えがイネに適用された最初の年でもある)以来、CRISPR/Casベースの遺伝子組換えツールを用いて、いくつかの形質特異的な気候変動に強いイネ系統が開発されてきた。

 それ以前にも、スクリーンショット 2023-09-13 13.48.39イネ改良への遺伝子組換えツールの応用の成功を確認する報告がいくつか発表されていたが、ここでは、特に"CRISPRイネ"を開発するためのCRISPRベースのシステムの応用に関する最近の研究(2020年から現在まで) をレビューする。さらに、CRISPRイネの開発における潜在的な限界と技術的ボトルネック、そして展望についても論じる [右図はFig. 4の"単一、二重、または複数の遺伝子を同時に操作することによる気候変動に強いイネ系統の開発の概念実証と将来の可能性を示す図"から引用]。
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