[出典] "Whole genome CRISPR screening strategy to identify genes contributing to SARS-CoV-2 spike and VSV-G mediated entry" Hossain MS, Kerkvliet JG, Hoppe AD. J Med Virol. 2023-09-14. https://doi.org/10.1002/jmv.29087 [著者所属] South Dakota State U.
ウイルスの侵入を促進・阻害する宿主細胞因子を理解することは、ウイルス対策を特定する上で重要である。CRISPRを用いた全ゲノムスクリーニングは、ウイルス侵入に寄与する宿主因子やウイルス侵入を阻害する宿主因子を迅速に発見することができる。しかし、生きたウイルスと細胞致死によるスクリーンの場合、これらのスクリーニングは、ウイルス感染サイクルの段階に対する特異性を欠いたまま、圧倒的な多数の遺伝子に埋もれてしまうことになる。
ウイルス感染の特定の段階に寄与する宿主の機構を同定するためには、新たなスクリーニング法が必要である。サウス・ダコタ州立大学の研究チームは、サーズウイルス2 (SARS-CoV-2) のスパイクと、水疱性口内炎ウイルスの糖タンパク質 (VSV-G)を介した侵入に特異的な遺伝子の同定を可能にする、偽 (pseudo) ウイルス・プラットフォームに基づくCRISPR全ゲノムスクリーニングとカウンタースクリーニング戦略を開発した。
第一に、SARS-CoV-2スパイクとVSV-Gを同じレンチウイルスをベースにした偽ウイルス上でスクリーニングすることにより、レンチウイルス偽ウイルスからのレトロトランススクリプション (リバーストランスクリプション/逆転写)、インテグレーション、およびレポーター発現に関連する遺伝子群に対して、、侵入過程に特異的な遺伝子を同定することが可能になる。
第二に、偽ウイルスにパッケージされたCre-Gag融合タンパク質を用いて、侵入時にフロックス蛍光タンパク質レポーターを直接活性化することで、レトロトランススクリプションとインテグレーションをバイパスすることで、侵入過程関与に関する偽陽性遺伝子を排除することで総ヒット遺伝子数を減らし、ウイルス侵入過程に対する特異性を高めた。
このアプローチにより、サーズウイルス2とVSV-GのレセプターACE2と低比重リポ蛋白質レセプターをそれぞれ正しく同定し、レトロウイルスレポーター発現に関連する遺伝子とエンベロープを介した侵入を識別した。
さらに、CRE-Gag融合/floxレポーターによって、ウイルス侵入関連遺伝子のスクリーニング特異性が高まることを確認した。
全体として、このアプローチは、ウイルスの病原性と複製のあらゆる側面に関連する長い遺伝子リストを産生するライブウイルススクリーンの複雑さに惑わされることなく、ウイルスの侵入に影響する宿主遺伝子を同定する新しい戦略を提供する。
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