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[出典] "3D chromosomal landscape reveals miR-146a dysfunctional enhancer in lupus and establishes a CRISPR-mediated approach to inhibit the IFN pathway" Zhu X, Zhang Y, Yin Z, Ye Z [..] Guo Y, Hou G, Shen N. Arthritis Rheumatol. 2023-09-20. https://doi.org/10.1002/art.42703 [著者所属] Shanghai Jiao Tong U School of Medicine, Shenzhen Futian Hospital for Rheumatic Diseases, Cincinnati Children's Hospital Medical Center, U Cincinnati;グラフィカルアブストラクト

 全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus: SLE) におけるmiR-146aの発現低下は、インターフェロン経路を異常な活性化をもたらしている。その重要性にもかかわらず、この発現低下を引き起こす根本的なメカニズムは未だ解明されていない。中国の研究チームは今回、miR-146aの発現を調節するSLEのエンハンサーに注目して実験を進めた。
  • 4C-seqとエピゲノムプロファイルを利用して、miR-146aのエンハンサー候補を同定した上で、CRISPRaによる機能的エンハンサーのスクリーニングを試みた。
  • クロマチンアクセシビリティの差分解析により、SLEで制御異常のあるエンハンサーを同定し、転写因子の結合を解析することで、エンハンサーの機能異常をもたらすメカニズムを解析した。
  • さらに、SLE患者のヒト末梢血単核細胞 (PBMC) において、エンハンサーを標的とするCRISPRaを利用して、ループス関連エンハンサーの治療的価値を評価した。
 その結果、異なる免疫細胞に共通なmiR-146aのエンハンサーと細胞特異的エンハンサーを同定することに成功した。miR-146aの下流32.5kbのエンハンサーは、SLEではアクセシビリティが低く、そのクロマチン開口度はSLEの疾患活動性と負の相関があった。さらに、SLE患者において発現低下している転写因子であるC/EBPαは、32.5kbのエンハンサーに結合し、この遺伝子座のエピゲノム変化を誘導していた。さらに、CRISPRを用いたSLE PBMCにおけるこのエンハンサーの活性化は、インターフェロン経路の活性を阻害する可能性が示唆された。
 
 本研究によって、SLEへの介入に有望な標的が定義され、ループス関連エンハンサーを介した調節異常をもたらすメカニズムの解析が可能なことが示された。
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