[出典] "Inducible CRISPR-targeted 'knockdown' of human gut Bacteroides in gnotobiotic mice discloses utilization strategies" Beller ZW [..] Gordon JI. Proc Natl Acad Sci U S A. 2023-09-21/09-26. https://doi.org/10.1073/pnas.2311422120 [著者所属] Washington U School of Medicine, MilliporeSigma (Merck), Centre National de la Recherche Scientifique and Aix-Marseille U, Technical U Denmark, King Abdulaziz U, Sanford Burnham Prebys Medical Discovery Institute, UC Davis.
 
 ヒト腸内の多様なバクテリアがどのように競争し、協働して栄養素を代謝しているかを理解することは、より栄養価の高い食品を開発し、より健康的な腸マイクロバイオームを促進するための重要な一歩である。
 
 ヒトの腸内バクテロイデス科 (Bacteroidaceae) バクテリアは、複雑な食物由来多糖類の主要な消費者 (consumers)である。米国にドイツ、フランス、デンマーク、サウジアラニアが加わった研究チームは今回、腸マイクロバイオームにいうて、特定の標的菌種を欠失されるのではなく、存在量を意図的に低減するためのCRISPR遺伝子編集システムによる腸マイクロバイオームにおける微生物間相互作用の解析を試みた。
 
 ノトバイオート・マウス (gnotobiotic animal) に7種の糖分解性バクテロイデス科細菌を含む13種のヒト腸内細菌株をコロニー形成させ、ヒトの食品 (エンドウ豆繊維を添加した西洋食) を与えた。コロニー形成後、誘導可能なCRISPR/Cas9を利用して、B. thetaiotaomicron または、B. cellulosilyticus の絶対量を選択的かつ一時的に10~60分の1へとノックダウンさせた。その結果、他のバクテロイデス科バクテリアの存在量が特異的かつ再現性よく増加し、糖鎖利用に関与する遺伝子の発現がダイナミックに変化することが明らかになった。すなわち、ノックダウンした種を代替する種の発現が亢進し、群集全体の糖分解活性を維持することが明らかになった。
 
 さらに、in vitroで誘導可能な塩基編集 (CBE) を利用して、B. cellulosilyticus ノックダウンに応答する分類群であるPhocaeicola vulgatus において、食餌性多糖類の利用に重要なトランスポーターの翻訳を破壊する実験を行いその応答機構に関する知見を得た。