2024-03-08 Science 誌刊行論文の書誌情報を追記し、アブストラクトを以下に追加:

 深層学習の手法はタンパク質の構造予測と設計に革命をもたらしたところで、David Bakerの研究チームは今回、タンパク質以外の分子にも適用可能なRoseTTAFold All-Atom (RFAA)を開発した。

 RFAAによって、アミノ酸とDNA塩基の残基ベースの表現と、他の全てのグループの原子表現を組み合わせ、配列と化学構造が与えられたタンパク質、核酸、低分子、金属、共有結合修飾を含む集合体のモデル構築を実現された。

 さらに、ノイズ除去タスクを微調整したRFdiffusionAAによって、低分子の周りにタンパク質構造を構築することも実現された。標的低分子を取り囲むアミノ酸残基のランダム分布から出発して、心疾患治療薬ジゴキシゲニン、酵素補酵素ヘム、および光捕集分子ビリンと結合するタンパク質を設計し、結晶学と結合測定を通して実験的に検証した。

2023-10-15 bioRxiv 投稿に準拠した初稿
[出典] "Generalized Biomolecular Modeling and Design with RoseTTAFold All-Atom" Krishna R, Wang H, Ahern W [..] Baker D. bioRxiv 2023-10-09 [preprint]; Science 2024-03-07. https://doi.org/10.1126/science.adl2528 [著者所属] U Washington (Seattle), U Sheffield, Seoul National U.2024-03-07。

 AlphaFold2 (以下, AF2)とRoseTTAFold (以下, RF) は、高精度なタンパク質構造モデリングを実現し、構造生物学を一変させたが、共有結合修飾や、生体機能において重要な役割を果たす低分子や他の非タンパク質分子との相互作用をモデル化には及んでいなかった。

 David Bakerが率いる研究チームは今回、タンパク質、核酸、低分子、金属、共有結合修飾を含む完全な生物学的集合体を、高分子の配列と低分子および共有結合修飾の原子結合形状からモデル化できるディープネットワーク、RoseTTAFold All-Atom (RFAA)を、bioRxivに投稿した。

 タンパク質データバンク(PDB)にある完全な生物学的集合体の構造で学習させた結果、RFAAのタンパク質構造予測精度はAF2に匹敵し、CAMEOで評価した柔軟な骨格を持つ低分子化合物のドッキングでも優れた性能を発揮した。さらに、タンパク質の共有結合修飾や、複数の核酸鎖や低分子を持つタンパク質の集合体では妥当な予測精度を示したが、この同時モデリングは、研究チームが知る限り、初のことである。
 
 研究チームはさらに、ノイズを除去する拡散モデルを微調整することで、RFdiffusion All-Atom (RFdiffusionAA)を開発した。このRFdiffusionAAは、低分子や他の非タンパク質分子の周囲にタンパク質構造を直接構築することで結合ポケットを生成する。標的低分子を取り囲むアミノ酸残基のランダムな分布から出発して、心疾患治療薬ジゴキシゲニン、酵素補酵素ヘム、光合成で捕捉される波長範囲を拡大する可能性のある光学活性ビリン分子と結合するタンパク質を設計し、実験的に検証した。
 
 複雑な生体分子系のモデリングと設計に、RFAAとRFdiffusionAAが貢献していくことを期待する。