[出典] "Distinguishing features of Long COVID identified through immune profiling" Klein J [..] Iwasaki A. Nature 2023-09-25. https://doi.org/10.1038/s41586-023-06651-y
[著者所属] Yale School of Medicine, Icahn School of Medicine at Mount Sinai, USC Keck School of Medicine, SerImmune Inc, Stanford U, Yale New Haven Hospital, Yale School of Public Health, HHMI.
バクテリアやウイルス感染による急性疾患の後に急性感染後症候群(Post-acute infection syndrome: PAIS)が発症することがあるが、その発症機構はまだ明らかにされていない。サーズウイルス2感染の場合もLong COVID (LC)と呼ばれるPAISを発症することがあるが、その発症機構もまた不明である。
LCを発症した患者は、しばしば、絶え間ない疲労、労作後倦怠感 (post-exertional malaise: PEM)、さまざまな認知・自律神経機能障害を訴えるが、これらの症状の発症と持続に関連する生物学的過程は不明である。
イェール大学医学部免疫生物学部門の岩崎明子教授の研究チームは、LCに関連する生物学的特徴を同定するために、273人のコホート [*] を対象とする多次元免疫フェノタイピングと偏りの無い機械学習の手法を含む横断的研究 (cross-sectional study) を行った。
- 対照群に対してLCでは、SARS-CoV-2に対する液性免疫応答の亢進を示唆するエビデンスが見られ、また、血中を循環する骨髄系細胞とリンパ球に顕著な違いがみられた。LCでは、単球、ダブルネガティブB細胞、インターロイキン(IL)-4/6を分泌するCD4 T細胞の数が増加した一方で、抗原提示や細胞傷害性T細胞のプライミングを担う樹状細胞 (DC) 1やセントラルメモリーCD4 T細胞の数は減少していた。さらに、LC由来の脳脊髄液において、T細胞免疫グロブリンおよびITIMドメイン (TIGIT)+CD8+T細胞が増加しており、免疫疲弊の可能性が示唆された。
- LC患者ではさらに、SARS-CoV-2以外のウイルス病原体、特にEpstein-Barrウイルスに対する高い抗体応答が観察された。
- 可溶性免疫メディエーターとホルモンのレベルもグループによって異なり、LC患者では代表的なストレスホルモンであるコルチゾールのレベルが低かった。
- 免疫フェノタイプのデータをベースとする機械学習モデルから、LCの状態と最も強く関連する主要な特徴が同定された。
本研究の成果は、LCの病理生物学に関する今後の研究の指針を与え、関連するバイオマーカーの開発に役立つ可能性がある。
[*] 273人のコホート
- ワクチン接種前にサーズウイルス2に感染した医療従事者の集団 (HCW)
- 健康かつ非感染でワクチンを接種した集団 (HC)
- 以前にサーズウイルス2に感染し、ワクチンを接種し、LCの症状が無い集団 (回復コントロール/convalescent controls: CCs)
- LC患者の集団 (Mount Sinai-Yale LC: MY-LC)
- LC患者の集団 (MY-LCとは異なるLC集団: Ext. LC)
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