[出典] "Split complementation of base editors to minimize off-target edits" Xiong X, Liu K [..] Li JF. Nat Plant. 2023-10-16. https://doi.org/10.1038/s41477-023-01540-8 [著者所属] 中山大学
触媒を不活性化したCasヌクレアーゼをベースとする塩基エディター (BE) によって、作物やヒトのゲノムに、有益な、あるいは、変異を修正する点変異を効率的に導入することが可能になった。BEはCasヌクレアーゼの活性によるDNA二重鎖切断 (DSB) を伴わないが、BEの構成因子であるデアミナーゼの活性により、ガイドRNAに依存しないオフターゲット編集をゲノムやトランスクリプトームに引き起こすリスクを伴っている。このリスクに対する対策のほとんどはこれまで、デアミナーへの変異導入や外因性調節因子の導入に依存していた。
中国の研究チームは今回、シチジンまたはアデノシンのデアミナーゼを含むBEに適用可能で、外部調節因子を必要としない、安全な編集のためのスプリット・デアミナーゼ (split deaminase for safe editing: SAFE) システムを開発した。SAFEでは、Cas9ニッカーゼ内に組み込まれたデアミナーゼ・ドメインにおいてBEを適切に分割し、デアミナーゼとCas9ニッカーゼの両方を同時に断片化・不活性化した [CBE - Fig. 1 参照;ABE - Fig. 5参照]。gRNAを条件としたBEの再集合は、植物、ヒトおよび酵母細胞において強固なオンターゲット編集をもたらすと同時に、gRNA非依存的およびgRNA依存的なオフターゲットDNA/RNA編集のいずれも最小化した。SAFEはまた、インデルを排除することにより、産物の純度を大幅に向上させた。
SAFEは、BEのオフターゲット編集を抑制しオンターゲットの性能を向上させる汎化可能なソリューションを提供する。
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