[出典] "The chicken chorioallantoic membrane model for isolation of CRISPR/cas9-based HSV-1 mutant expressing tumor suppressor p53" Kelishadi M [..] Azadmanesh K. PLoS One 2023-10-20. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0286231 [著者所属] Pasture Institute of Iran, Shahid Beheshti U, Golestan U Medical Sciences.

 腫瘍溶解性ウイルス (Oncolytic Viruses: OVs)は、正常な細胞を温存しながら癌細胞を選択的に標的にして死滅させる新しい癌治療法として登場した。Chicken egg 1その中でも、単純ヘルペスウイルス1型 (HSV-1) をベースにしたOVは、第III相臨床試験にまで進んだ。また、OV療法にp53遺伝子治療を併用することで、OVの抗癌活性が亢進することが示された。イランの研究チームが今回、CRISPR/Cas9を利用して、ICP34.5欠失型HSV-1におけるUL39遺伝子のKO (ノックアウト)とEGFP-p5の3発現カセットのKI (ノックイン)を経て [Fig. 1引用右図参照]、癌細胞への選択性 (oncoselectivity) と毒性 (oncotoxicity) の双方を亢進することに成功した。

 前述のΔUL39/Δγ34.5/HSV1-p53変異体は、遺伝子欠損ウイルスの増殖を支持する補体膜としてChicken egg 2ニワトリ受精卵の漿尿膜 (chorioallantoic membrane: CAM) を用いて単離された [Fig. 2引用右図参照]。試験管内でΔUL39/Δγ34.5/HSV1-p53感染細胞の表現型をΔγ34.5/HSV-1と比較した結果、HSV-1-P53はp53の発現率が異なる癌組織由来の多様な細胞株に対して細胞溶解性を示すことが明らかになった。

 本研究は、CRISPR/Cas9を介したHSV-1-P53変異体のような組換えウイルスの単離にCAMモデルが有用なことも示した