[注] ネイティブな過剰発現/native overexoressin (OX):外来遺伝子フリーな過剰発現
[出典] "Multiplexed CRISPR/Cas9 mutagenesis of rice PSBS1 non-coding sequences for transgene-free overexpression" Patel-Tupper D [..] Niyogi KK. bioRxiv. 2023-10-21 [プレプリント]. https://doi.org/10.1101/2023.10.20.563333 [著者所属] UC Berkeley, Lawrence Berkeley National Laboratory.

 米国バークレイの研究チームが標題のアプローチにより、RNAとタンパク質量の双方を増加させるOX対立遺伝子を作出した。
  • ハイスループットなフェノタイピングと導入遺伝子スクリーニングのパイプラインを用いて、完全なノックアウトから過剰発現まで、in vivoでの非光化学的消光 (Non-Photochemical Quenching: NPQ) [*]能力が異なる導入遺伝子を含まない遺伝子編集対立遺伝子120種類を単離した。
  • OsPSBS1の過剰発現はタンパク質量を2-3倍に増加させ、遺伝子導入 (トランスジェネシス)で得られる効果に匹敵した。
  • PsbSタンパク質量の増加は、NPQ能を増強し、水利用効率を改善した。
  • ゲノム解析の結果、5'UTRのインデルと逆位が、それぞれノックアウト/ノックダウンと過剰発現の表現型に関与していることが明らかになった。
 本研究で作出したMultiplexed CRISPR:Cas9 mutagenesis of rice252kb重複/逆位のような複雑な構造変異は、CRISPR/Cas9が標的外のトランスクリプトームに対する摂動は無視できる程度に抑えながら、重要なゲノム変化を促進する可能性を示唆している [Figure 5引用右図参照]。
 
 今回の結果は、将来の遺伝子多型対立遺伝子の遺伝子編集戦略に役立つ可能性があり、光防御の緩和を促進する非遺伝子組換えイネ系統樹立への道を開いた。

[*] 光合成における光防御反応」得津 隆太郎. 植物科学最前線 12:13 (2021).