[注] RAG2 (Recombination-activating gene 2); SCID (severe combined immunodeficiency / 重症複合免疫不全症)
[出典] "CRISPR-Cas9 engineering of the RAG2 locus via complete coding sequence replacement for therapeutic applications" Allen D, Knop O, Itkowitz B [..] Hendel A. Nat Commun 2023-10-27. https://doi.org/10.1038/s41467-023-42036-5 [著者所属] Bar-Ilan U, Chaim Sheba Medical Center, Tel Aviv U, Sheba Medical Center

 RAG2-SCIDは、リンパ球の成熟と機能に深く関与する遺伝子であるRAG2 の変異によって引き起こされる原発性免疫不全症である。CRISPR-Cas9/rAAV6遺伝子編集を介した患者自身の造血幹細胞・前駆細胞 (HSPCs) を生体外で操作することで、現在の唯一の治療法である同種 (他家) 造血幹細胞移植 (allogeneic hematopoietic stem cell transplantation: HSCT) に代わる治療法を提供できる可能性がある。

 イスラエルの研究チームは先行研究 [*] で、CRISPR-Cas9/rAAV6を利用して、RAG2開始コドンに隣接するCRISPR-Cas9誘導切断部位に修正用遺伝子を挿入することで、RAG2  -SCID患者由来のCD34+ HSPCsから多様なTCRレパートリーを持つT細胞を生成することに成功していた。

 今回は、RAG2 遺伝子座の内因性空間制御要素を維持するために、CD34+ HSPCsのRAG2 CDS全体を正常な遺伝子で置き換えるCRISPR-Cas9/rAAV6を介したゲノム編集アプローチを試み、それぞれが5'内因性プロモーターと制御エレメントを維持する3つのRAG2 CDS置換補正ドナーを構築することにより、CD3+TCRαβ+およびCD3+TCRγδ+T細胞への分化に成功し、in-vitro T細胞分化プラットフォームにおいて、極めて多様なTRBおよびTRGレパートリーの確立が可能なことを実証した。

[*]