[注] ホモプラスミー (同質性):細胞内のミトコンドリアには通常1種類のmtDNAしか存在しない
[出典] "Correction of a homoplasmic mitochondrial tRNA mutation in patient-derived iPSCs via a mitochondrial base editor" Chen X, Chen M, Zhu Y, Sun H, Wang Y [..] Xu Z, Zhang J, Yang S, Liang D, Shen B. Commun Biol 2023-11-03. https://doi.org/10.1038/s42003-023-05500-y [著者所属] 南京医科大学

 近年、RNAフリーのDddA由来シトシン塩基編集酵素 (DdCBE) [*1]を用いることで、CRISPRフリーのミトコンドリア塩基編集が可能になると期待されている。本論文の南京医科大学の研究チームやその他の研究チームがこれまでに、ミトコンドリア病のモデリングを目的として、ゼブラフィッシュ、ラット、マウスにDdCBEを応用してmtDNA変異を導入することに成功している。南京医科大学の研究チームはまた、ヒト3PN胚においてDdCBEを評価し、ヒトの初期胚発生におけるmtDNA塩基編集の実現可能性を示していた [*2]

 DdCBEの登場によって、ホモプラスミーとヘテロプラスミーの双方を含む病原性mtDNA変異を修正することが理論的に可能になった。しかし、病原性mtDNA変異、特にホモプラスミー変異の修正におけるDdCBEの有効性は、前臨床試験に先立っての評価がまだなされていない。

 南京医科大学の研究チームは今回、スクリーニングされたDdCBEペアを用いて、肥大型心筋症患者由来のiPS細胞におけるホモプラスミック変異m.A4300Gを補正する概念実証研究を実施し、オフターゲット編集を抑制しつつ効率的なG4300Aの修正を実現し、修正が実現したiPS細胞クローンにおいてミトコンドリアの機能を回復させることに成功した。

 本研究は、DdCBEを用いて、ホモプラスミックな病原性ミトコンドリアDNA変異を修復する治療法の可能性を示した。
 
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