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[出典] "Transcriptional and epigenetic regulators of human CD8+ T cell function identified through orthogonal CRISPR screens" McCutcheon SR [..] Gersbach CA. Nat Genet 2023-11-09. https://doi.org/10.1038/s41588-023-01554-0 [著者所属]  Duke U, Duke U Medical Center, 

 養子T細胞療法 (Adoptive T cell therapy: ACT) に対する臨床反応は、細胞産物の転写およびエピジェネティックな状態と関連している。したがって、T細胞内の一連の遺伝子ネットワーク群を制御する因子と、遺伝子ネットワークに対応する表現型を同定することから、T細胞療法を改善し強化する手がかりが得られる。

 デューク大学の研究チームは今回、ヒトCD8+ T細胞の状態に対する120の転写およびエピジェネティック制御因子の活性化または抑制の影響を見るために、Staphylococcus aureus Cas9 (SaCas9) のCD8+ Fig. 1触媒活性を失活させたdSaCas9をベースとして、初代ヒトT細胞において有効なプール型のCRISPR干渉 (CRISPRi) とCRISPR活性化 (CRISPRa) スクリーニングのアプローチを採用・最適化した [Fig. 1引用右図参照]。
  • スクリーニングの結果、BATF3を過剰発現させると、メモリーT細胞の特定の特徴が促進され、細胞傷害性、制御性T細胞機能、疲弊に関連する遺伝子プログラムが減弱することを同定した。慢性抗原刺激では、BATF3の過剰発現が、T細胞の疲弊の表現型とエピジェネティックなサインを打ち消した。
  • 加えて、BATF3がin vitroとin vivo双方の腫瘍モデルにおいてCAR T細胞の効力を増強し、ACTに対するポジティブな臨床反応と相関する転写プロファイルをプログラムすることを同定した。
  • さらに、CD8+ 6BATF3の補因子と下流の標的を同定するために、BATF3の過剰発現の有無にかかわらず、SpCas9を利用して全てのヒト転写因子遺伝子 (TFome) のプール型CRISPRノックアウト (CRISPR-ko)スクリーニングを行った [Fig. 6引用右図参照]。
 このようにして、互いに直交する一連のCRISPRスクリーンを組み合わせることで、遺伝子ネットワークと複雑なT細胞表現型の制御因子を系統的に発見することが可能になった。

[補足] これまで知られているT細胞の状態や機能を制御する転写因子やエピゲノム修飾因子の例
  • TOXやNFAT11は、慢性的な抗原曝露に伴うCD8+ T細胞の疲弊をプログラムしている。
  • 一方で、T細胞の機能を、特定の転写因子やエピゲノム修飾因子の強制発現や欠失を介した転写ネットワークの再配線によって、亢進することが可能である。c-JUN12、BATF13、RUNX3などの特定の転写因子の異所性過剰発現 (ectopic overexpression)、あるいは、NR4A15、FLI1、BAFクロマチンリモデリング複合体のメンバー、およびDNAメチル化の制御因子の遺伝的欠失によって、多様な機構を介して、T細胞の状態を変化させ、T細胞の機能を改善・強化することができる。
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