[出典] "Disruption of SUV39H1-mediated H3K9 methylation sustains CAR T cell function" Jain N, Zhao Z, Koche RP [..] Sadelain M. Cancer Discov 2023-11-07. https://doi.org/10.1158/2159-8290.CD-22-1319 [著者所属] Memorial Sloan Kettering Cancer Center, Immunai https://www.immunai.com (US), Newcastle U, Mnemo Therapeutics https://www.mnemo-tx.com.

 養子T細胞療法 (adaptive T cell therapies) の課題の一つが機能の持続が十分継続しないことである。現在CAR T療法を受ける癌患者の多くはその前に化学療法を受けているために、患者自身のT細胞が枯渇・疲弊し、増殖能と抗癌性に限界がある。第2世代キメラ抗原受容体 (CAR) で採用されたCD28細胞内領域はT細胞に強力なエフェクター機能を付与したが、その寿命も限られている。

 著者らは今回、ヒト白血病またはヒト前立腺癌細胞を移植したマウスモデルを対象として、通常のCAR-T細胞は延命効果を示さなかったところ、CRISPR/Cas9を利用してメチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子SUV39H1 をノックアウト (以下、SUV39H1 KO)したCAR-T細胞が、初期増殖、長期持続性、および全体的な抗腫瘍効果のいずれにおいても、増強されることを、報告した。
  • SUV39H1 KO CAR T細胞の長期持続性は、新規癌細胞の複数回の再チャレンジに対する増殖性および腫瘍拒絶反応を改善した。
  • SUV39H1 KO CAR T細胞の転写およびゲノム・アクセシビリティのプロファイルは、SUV39H1 KO CAR T細胞におけるメモリー転写因子の発現およびアクセシビリティの改善を示した。
  • SUV39H1 KO CAR T細胞はまた、抑制性レセプターの発現を減少させ、疲弊を抑制した。
 本研究は、エピジェネティックなプログラミングが、CAR T細胞の機能と持続性のバランスをとることで、養子T細胞療法を増強可能なことを、示唆した