[注] 本記事はCas12/13/14 バイオセンサー(4)の広がりの続きであり, CRISPR-Casバイオセンサーの広がり (6)へと続く; その他のエフェクターをベースとするCRISPRDx記事にはタグ"CRISPRDx"を付している;Cas14aはCas12fとも表記され、Cas12ファミリーに位置付けられている。


2024-03-03 癌診断のための非侵襲的バイオマーカーであるエクソソームmiRNAの高感度検出

[出典] "Exponential Amplification-Induced Activation of CRISPR/Cas9 for Sensitive Detection of Exosomal miRNA" Zhou M [..] Huang L. Anal Chem. 2024-02-29. https://doi.org/10.1021/acs.analchem.4c00313 [所属] Anhui Medical U

 エクソソームmiRNAは癌診断のための非侵襲的バイオマーカーの有力候補であるが、臨床応用には、高感度で簡便なセンサーが必要である。中国の研究チームは今回、CRISPR-Cas9/sgRNA複合体の再活性化を誘導する指数関数的増幅反応 (EXPAR) を設計し、高感度で肉眼でも判定可能なエクソソームmiRNA-21 (miR-21) 蛍光センシングを実現した [グラフィカルアブストラクト参照]

  • CRISPR-Cas9/sgRNAシステムは、sgRNAとブロッカーDNAをハイブリダイズさせることで、不活性化されている。
  • miR-21とハイブリダイズするトリガーDNAを介して、EXPARによって大量の活性化DNAを生成する。
  • これらの活性化DNAが、ブロッカーDNAとハイブリダイズすることで、sgRNAがブロッカーDNAから遊離する。
  • sgRNAがCas9と複合体を形成し、そのヌクレアーゼ活性によって、SYBR Green Iで標識されたレポーターDNAを磁性ナノ粒子 (MNP) の表面から上清に放出させる。

 この手法は、 3×103粒子/mLの濃度のmiRNA-21を高感度に定量する検出限界を実現した。また、蛍光センサーは、蛍光の肉眼観察により健常人とがん患者の識別にも成功しており、正確ながん診断への大きな可能性を示している。


2024-03-01 CRISPR/Cas13aによるシグナル増幅を含む多重増幅をベースとするECLバイオセンシングシステムを開発し、心不全のバイオマーカーBNPの高感度検出を実現

[注] ECL (electrochemiluminescence / 電気化学発光法);BNP (brain natriuretic peptide / 脳性ナトリウム利尿ペプチド)

[出典] "Exploring T7 RNA polymerase-assisted CRISPR/Cas13a amplification for the detection of BNP via electrochemiluminescence sensing platform" Zhang Z, Li J, Chen C et al. Anal Chim Acta 2024-02-26. https://doi.org/10.1016/j.aca.2024.342409 [所属] Guangzhou Eighth People's Hospital Guangzhou Medical U. 


 中国の研究チームは今回、血中での濃度が低く半減期も短いBNPの検出を、標題のようなECLバイオセンシングシステムにより実現した [グラフィカルアブストラクト参照]。

  • BNP存在下で、T7プロモーターを含むブロッカー鎖とBNPアプタマー鎖からなる二本鎖中のBNPアプタマー鎖がBNPと特異的に結合し、一本鎖を放出する。
  • ブロッカー一本鎖はDNAテンプレート鎖に結合しT7 RNAポリメラーゼの存在下で大量のRNA鎖を複製する。
  • 大量のRNA鎖によってCRISPR/Cas13aのトランス切断活性が活性化され、rU-rUを含むトリガー鎖が切断され、その結果、CRISPR/Cas13aの増幅の結果であるDNA1とDNA2の2本の一本鎖が大量に産生される。
  • DNA1鎖が特殊なヘアピンDNAと結合して二本鎖構造を形成し、この二本鎖が、Exo IIIによって、3'末端から分解され、最終的に短いDNA3が一本鎖として残る。
  • 最終的に、そして最も重要なことだが、短いDNA3一本鎖が、ECLセンシング・プラットフォームの表面に固定されていたDNA鎖と結合し、ダンベルDNA1を開口させ、ダンベル型HCRが進行する。
  • ダンベル型HCRの生成物に大量の発光物質Ru (II)が挿入され、ECL検出表面上に強いECLシグナルが発生し、このECLシグナルの強度に基づき、BNPの濃度を定量的に検出する。
 こうした複数の増幅反応を組み合わせたことで、検出限界 3.2 fg/mL を達成した。また、5%のヒト血清サンプルを対象に、98.4%から103%の回収率を示し、心不全の臨床サンプル検査に有望であることを示した。

2024-02-23 

crisp_bio 2024-02-23 非正規型crRNAsを利用すると一連のCas12aオーソログの機能が向上する 

2024-02-22 細胞外小胞の肝細胞マーカを抽出操作をすることなく、免疫-RPA-CRISPR/Cas13aベースのワンポットでの直接検出を実現
[出典] "Extraction-free, immuno-RPA-CRISPR/Cas13a-based one-pot detection of glypican-3 directly from extracellular vesicles" Xiao X [..] Liu T, Zeng T. Anal Chim Acta. 2024-02-17.
https://doi.org/10.1016/j.aca.2024.342385 [所属] Guangdong Medical U, Southern Medical U, Guang Dong Medical U

 中国の研究チームが、健康な成人の肝臓には見られずヒト肝細胞癌 (HCC) に過剰発現している肝細胞がん特異的抗原Glypican-3 (GPC3)の標題検出法を開発した。

2024-02-21 等温増幅とCRISPR応答性自己組織化SNAを組み合わせてノロウイルスの超高感度検出を実現
[注] SNA (Spherical nucleic acids; 球状核酸)
[出典] "Ultrasensitive Detection Strategy of Norovirus Based on a Dual Enhancement Strategy: CRISPR-Responsive Self-Assembled SNA and Isothermal Amplification" Wang W [..] Gao Z, SunX. J Agric Food Chem. 2024-02-14. https://doi.org/10.1021/acs.jafc.4c00557 [所属] Synergetic Innovation Center of Food Safety and Quality Control (Jiangnan U), Tianjin Institute of Environmental and Operational Medicine, School of Instrument Science and Optoelectronics Engineering (Beihang U);[参考図 Synthecis of CRISPR-responsive self-assembly Spherical Nuclei Acids (CRISPR-rsSNA) 

 球状核酸 (SNA) は、金ナノ粒子 (AuNP) を核として様々なナノバイオセンサーに利用されてきた。本研究では、フルオレセイン標識プローブをAuNPs表面に結合させ、CRISPR-Cas12aのトランス切断活性に応答する自己組織化球状核酸 (CRISPR-responsive self-assembled spherical nucleic acid:  CRISPR-rsSNA) プローブを構築することで、センシング性能を向上させた。

 ノロウイルスの検出は次のように進行する:ウイルスの標的RNA配列を形質転換してRT-RPAで増幅し、そこで得られたdsDNAがCRISPR Cas12aのトランス切断活性を活性化し、その結果、CRISPR-rsSNAの外側の核酸構造を崩壊させ、レポーター分子が放出され、ノロウイルスを蛍光検出によって定量される。

 この戦略により、アトモルレベルでのノロウイルスの検出が容易になり、また、CRISPR Cas12aシステムの標的RNAとcrRNAを変えるだけで、様々なウイルスの検出へと容易に展開可能である。


2024-02-20 HPVのマルチプレックス検出とワンポットPOCTの実現

[注] HPV (ヒトパピローマウイルス); POCT (Point of Care Testing)
[出典] "CRISPR-Based Multiplex Detection of Human Papillomaviruses for One-Pot Point-of-Care Diagnostics" Ghouneimy A [..] Mahfouz M. ACS Synth Biol. 2024-02-13. https://doi.org/10.1021/acssynbio.3c00655 [所属] King Abdullah U Science and Technology, Hamad Bin Khalifa U (Qatar)

 ハイリスクのHPV (hrHPV) 感染に関連する癌の撲滅に向けたWHOのグローバル・イニシアチブでは、2100年までにHPVを撲滅するために、一次癌検診のあらゆる場面で、目視検査よりもDNA検査を推奨している。特に、複数のhrHPV型が異なるタイプの癌を引き起こすことから、異なるhrHPV型の迅速な検出を可能とする使いやすいマルチプレックスPOCTの実現が求められる。HPVサウジアラビアとカタールの研究チームは今回、3種類のCasヌクレアーゼのトランス切断活性を介したシグナル増幅を利用することで、これを実現した [グラフィカルアブストラクト引用右図参照]。

 具体的には、子宮頸がんを引き起こすhrHPVを1回のワンポット反応で検出するCRISPR-Cas多重診断アッセイCRISPRD ( CRISPR-Cas multiplexed Diagnostic) を確立した。組み合わせたCasヌクレアーゼは、耐熱性AapCas12b、TccCas13a、およびHheCas13aヌクレアーゼであり、前増幅としてLAMP法を利用し、検出限界10コピー、特異度100%で、HPV16とHPV18、および内部コントロールをシングルポットアッセイで検出することに成功した。

 このプラットフォームは、hrHPVの多重検出のための迅速かつ実用的なソリューションを提供し、大規模なhrHPVのPOCスクリーニングを促進する可能性がある。さらに、CRISPRDプラットフォームのプログラマビリティは、内部コントロールと同様に、任意の2つの核酸バイオマーカーの多重検出に展開可能である。

2024-02-19  [展望] 表面増強ラマン散乱と分子診断学の融合技術の方向性

[注] 表面増強ラマン散乱 (Surface-Enhanced Raman Scattering: SERS), 分子診断学 (Molecular Diagnostics: MD)
[出典] PERSPECTIVE "Convergence of Surface-Enhanced Raman Scattering with Molecular Diagnostics: A Perspective on Future Directions" Choi N, Schlücker S. ACS Nano. 2024-02-12 
https://doi.org/10.1021/acsnano.3c11370. [所属] Department of Chemistry, and Center of Nanointegration Duisburg-Essen (CENIDE) & Center of Medical Biotechnology (ZMB) (U. Duisburg-Essen)

 本展望は、MD、SERS-PCR、そしてSHERLOCKやDETECTRのようなMDの次世代アプローチの開発におけるマイルストーンについて簡単にまとめ、SERSとMDの将来的な融合の観点から、SERSベースのCRISPR/Cas (SERS-CRISPR) システムに焦点を当てる。その上で、将来、等温反応で進行する増幅のない条件下での迅速なアッセイのための自動化ワークフローにおいて、SERSナノタグの優れた輝度、光安定性、スペクトル多重化の可能性とリアルタイムモニタリングの利点を利用することになると予測する。

2024-02-18 三重増幅を実現する高分岐ローリングサークル増幅と二重CRISPR/Cas12aを組み合わせて, 低バックグラウンドでのmrRNA検出を実現

[出典] "Double CRISPR/Cas12a-drived hyperbranched rolling circle amplification with triple signal amplification enables low background miRNA detection" Zhou S, Liu M, Deng L [..] Yang M, Huo D, Hou C. Sens Actuators B Chem. 2024-02-13. https://doi.org/10.1016/j.snb.2024.135490 [所属] Chongqing U, Shanghai Jiao Tong U

 偽陽性と高いバックグラウンドは、核酸増幅に基づく方法における重要な問題である。ここでは、二重CRISPR/Cas12aを導入した高分岐ローリングサークル増幅法 (D-Cas12a/HRCA) と呼ばれる、三重増幅と低バックグラウンドの検出プラットフォームを開発した。

 標的miRNAは、まずパドロックプローブによって認識され、RCAが誘導され、大量のssDNAを生成する (1次増幅)。このssDNAがCRISPR/Cas12a (Cas12a/crRNA-1) のシスおよびトランス切断活性を活性化し、シス切断されたssDNAとトランス切断されたプライマー2 (C3阻害剤修飾に隣接) が、それぞれ次のハイパーブランチ・ローリングサークル増幅(HRCA、二次増幅) のテンプレートとプライマーとして使用される。上記の増幅産物 (dsDNA、ssDNA)は、CRISPR/Cas12aによって再度認識され(三次増幅)、蛍光または可視化シグナルを出力する。

 従来のRCA/Cas12aやHRCA/Cas12aと比較して、D-Cas12a/HRCAは低バックグラウンドで高い感度 (10.02 fMまでのmiRNA-21)を示す。また、ラテラルフロー検出ストリップは、miRNA-21の検出原価100 fMを達成し、さらに、RT-qPCRによる判定と一致する結果を示した。D-Cas12a/HRCAはPOCT検出に展開可能である。


2024-02-17 CRISPR/Cas12aによるヒト血液中の循環腫瘍細胞 (CTC) の直接測定

[出典] "CRISPR/Cas12a for Direct Measurement of Circulating Tumor Cells in Human Blood" Zhang Q [..] Zhang CY. Nano Lett. 2024-02-12. https://doi.org/10.1021/acs.nanolett.3c04828 [所属] Shandong Normal U, Chinese U Hong Kong, Southeast U (南京);グラフィカルアブストラクト

 ヒト血液中CTCの正確かつ高感度な分析によって、非侵襲的な癌の転移の評価や早期癌の診断が実現される。中国の研究チームは、CRISPR/Cas12aによって誘導される量子ドット (QD) ベースのアプタ・センサーの制御可能なアセンブリーを開発し、ヒト血液中のCTCを直接測定を実現した。

 磁気ビーズ@アクチベーター/レコグナイザーの二重コアシェル構造を導入し、CTCの放出や再同定ステップを追加することなく、ヒト血液中のCTCを捕捉して直接検出するための多機能プラットフォームを構築した。磁気分離を導入することで、標的から誘導された遊離活性化因子のみが下流の触媒反応を開始し、crRNAによる活性化因子/認識因子の二重鎖構造の不適切な認識によって引き起こされる望ましくない触媒反応を効率的に回避された。

 このアプタセンサーは、高いCTC捕捉効率 (82.72%) を達成し、ヒト血液中のCTCの検出限界は2細胞/mLと高感度を実現した。

2024-02-16 急性心筋梗塞のバイオマーカーmiRNA-499の効率的定量を, MoS2ナノシートをベースとするCRISPR/Cas12aバイオセンサーにより実現
[出典] "A MoS2 nanosheet-based CRISPR/Cas12a biosensor for efficient miRNA quantification for acute myocardial infarction" Li P, Ye Y, Li Y, Xie Z, Ye L, Huang J. Biosens Bioelectron. 2024-02-12.
https://doi.org/10.1016/j.bios.2024.116129 [所属] Affiliated Hospital of Guangdong Medical U, Southern Medical U, Huangshi Central Hospital, Affiliated Hospital of Hubei Polytechnic U, Hubei Yangtze Memory Laboratories, Huazhong U Science and Technology.

 中国の研究チームが今回開発した検出法は、鎖置換増幅 (SDA) に続くCRISPR-Cas12aトランス切断活性よりシグナルを増強するCas12aバイオセンサーにMoS2ナノシートをベースとする読み出しを組み合わせている。

 miR-499が存在すると、第一段階のSDA反応が開始され、PAM配列を含むdsDNA産物が大量に得られる。このdsDNA産物が、CRISPR-Cas12aがssDNAレポーターを無差別にトランス切断する引き金となり、第二段階のシグナル増幅が実現する。続いて、MoS2ナノシートが、DNA集積器と蛍光モジュレーターの二役を担い、miRNAレベルに関連するシグナルをレポートする [参考図]。

 このアッセイ法は、第一に、等温反応のためRNA分析のためのRT-PCRで一般的に使用される熱サイクリング手順を避けることができ、比較的簡便で安価である。第二に、検出プロセス全体が均一な溶液中で行われるため、第三に多くのイムノアッセイプラットフォームで不可欠な手間のかかる洗浄や分離を必要とせず、簡単な混合と測定のステップだけで構成されることから、使い易く、検出プロセス全体は30分以内に完了する。

 MoS2ナノシートの特性は、原子間力顕微鏡(AFM)と透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて評価した。検出性能としては、SDS-PAGEの分析と蛍光測定により、0.1 ⅹ 10<-9> から13.33 ⅹ 10<-9> Mの線形範囲で検出限界は381.78 pMが達成され、1塩基変異したmiRNAアナログの判別も可能であって。さらに、実際のヒト血清中のmiRNA検出も良好な回収率 (89.5 %-97.6 %) を達成し、臨床診断への応用が期待される。


2024-02-15
crisp_bio [レビュー] CRISPR Dx技術の課題と展望


2024-02-14
crisp_bio 標的核酸の増幅への干渉を最小限にすることで, これまでになく高速かつ高感度なCRISPR検査を実現.


2024-02-12 超特異的ワンポットCas12bベースの多重検出戦略とポータブルカートリッジを統合したPOCT

[注] POCT (Poinf-ot-care testing)

[出典] "Ultraspecific One-Pot CRISPR-Based 'Green-Yellow-Red' Multiplex Detection Strategy Integrated with Portable Cartridge for Point-of-Care Diagnosis" Chen S [..] Qian Z, Wang Y, Wang R. Anal Chem 2024-02-07. https://doi.org/10.1021/acs.analchem.3c05493 [所属]  Fudan U,  Zhejiang U, The First Affiliated Hospital of Zhengzhou U, The Second Affiliated Hospital of Zhejiang U, Second Military Medical U, Peking University Shenzhen Hospital, Ningbo U, International Human Phenome Institutes (上海);グラフィカルアブストラクト

 中国の研究チームが、RT-LAMP増幅とCas12b反応を一つのチューブに統合し、全ての検出工程を1時間以内に完了し、高い特異性を示し、一塩基変異を一分子レベルに近い検出感度で識別可能なアッセイ系を開発した。このアッセイ系はまた、蛍光シグナルを肉眼で直接観察することもできるし、研究チームが新たに設計したソフトウェアResult Analyzerを用いて自動的に解析することもできる。POCTに向けては、加熱と蛍光励起の双方が可能なポータブルカートリッジを開発した。

 本アッセイ法は、SARS-CoV-2に感染している可能性のある20検体を対象とした臨床評価において、標準的なRT-PCRの結果に対して100%の陽性検出率を達成した。また、本法によるSARS-CoV-2変異体の同定では、シークエンシングの結果と一致する結果が得られた。さらに、本アッセイ法は汎用性を備えており、様々な病原体の同時検出を可能にし、高いバックグラウンド干渉の中で0.5%という頻度の低い変異の同定を可能にした。


2024-02-11

crisp_bio [20240211更新]  光活性化CRISPR-Cas12aとRPAによるSARS-CoV-2オミクロン変異株の迅速なワンポット検査


2024-02-08
crisp_bio
crRNA最適化を介して, CRISPR-Cas12aによる特異的マイクロRNA検出を促進

2024-02-05 センシング応用に向けたCRISPR-Cas12aの入力応答性アクチベーターとしてのPAM改変Toehold スイッチ
[出典] "PAM-Engineered Toehold Switches as Input-Responsive Activators of CRISPR-Cas12a for Sensing Applications" Bagheri N, Chamorro A, Idili A, Porchetta A. Angew Chem Int Ed Engl. 2024-01-29.
https://doi.org/10.1002/anie.202319677 [所属] U Rome Tor Vergata.

 Cas12aの活性の新たな制御戦略をイタリアの研究チームが報告した。ロックされたPAMをループ内に持つトーホールドスイッチDNAヘアピンを利用することで、分子入力に応答してCas12aを制御するアプローチである。

 本アプローチでは、鎖置換反応によってトーホールドスイッチDNAをヘアピンから二重構造に再構成することで、PAMのアクセシビリティを効果的に調節し、それによってCas12aの結合活性と切断活性を制御する。標的結合に応答する近接ベースの鎖置換反応を利用することで、下流のCas12a活性が活性化され、センサーを形成することになる。

 このセンサーは、複雑なマトリックス内であっても、高い感度と特異性で、IgG抗体と低分子の迅速なワンポット検出を可能にする。また、トーホールドスイッチは、分子入力に応答してCas12aベースのターゲティングとDNAプロセッシングを制御できるプログラム可能なツールとして機能し、センサー以外にも、幅広いバイオテクノロジーへの応用が期待される。

2024-02-04 [レビュー] 食品認証のための検出と絶対定量化バイオセンシングツール: CRISPR/CasとデジタルCRISPRの先へ
[出典] REVIEW "Detection and absolute quantification biosensing tools for food authentication: CRISPR/Cas, digital CRISPR and beyond" Wu X [..] Springs SL, Yu H. Trends Food Sci Technol. 2024-01-29. https://doi.org/10.1016/j.tifs.2024.104349 [所属] Singapore-MIT Alliance for Research and Technology, Yong Loo Lin School of Medicine, National U Singapore, Institute of Bioengineering & Bioimaging, MIT;グラフィカルアブストラクト参照

 食品認証における食品の安全性と品質の保証には、絶対定量が重要な役割を果たす。本総説は、食品認証のためのCRISPR/Casシステムと、サンプル分割に基づくデジタルCRISPR (digital CRISPR / dCRISPR) のような絶対定量技術に焦点を当てている。検出のための様々なCasタンパク質 (Cas9、Cas12a、Cas12b、Cas13a、Cas14a)、シグナルを増強するための多様な増幅法 (PCR、RPA、LAMP、SDA、RCA、EXPAR)、絶対定量を容易にする様々なデジタル・サンプル・パーティショニング技術を紹介する。特に、食品認証アプリケーションのためのCRISPR/Casおよびデジタルアッセイの最新の進歩を紹介する。さらに、CRISPR/CasとdCRISPRが食品認証にもたらす潜在的な機会と課題について論じる。

2024-02-03 [レビュー] 食品認証に向けたCRISPRベースの核酸アッセイ法
[出典] REVIEW "CRISPR-based nucleic acid assays for food authentication" Deng R [..] Xia X, Chen J. Trends Food Sci Technol. 2024-01-28
. https://doi.org/10.1016/j.tifs.2024.104351 [所属] 四川大学, Virginia Tech, UC Riverside.

 食の安全を守る仕組みが食品産業にとっても消費者にとっても必須であり、そのため、迅速で高精度な核酸アッセイ法の研究開発が進められている。この総説はまず、CRISPR-Casシステムの分類と作動原理について概説する。次に、CRISPRベースの技術を用いた前増幅および前増幅なしの核酸アッセイの特徴をまとめる。Casエフェクターによって可能になったオンサイトでの食品認証のための核酸検査法をハイライトする。特に、牛乳、ハラル食品、水産加工品、植物成分、遺伝子組換え生物 (GMO) を含む食品の認証分析にCRISPRベースのツールを用いるアプローチを例示する。最後に、CRISPRベースのツールを食品認証に実用化するための課題について述べる。

2024-02-02

crisp_bio 2024-02-02 癌のマーカになる低発現miRNAの高感度検出をDSN*とCas12aの組み合わせで実現 [*] DSN (duplex-specific nuclease: 二重鎖特異的ヌクレアーゼ)

2024-02-01 GMOトウモロコシの検出を可能にするCRISPR/Cas12aを介したエントロピー駆動型電気化学バイオセンサー Mon810
[出典] "CRISPR/Cas12a-mediated entropy-driven electrochemical biosensor for detection of genetically modified maize Mon810" Zhu X [..] Zhang K, Da H. Anal Chim Acta. 2024-01-27.
https://doi.org/10.1016/j.aca.2024.342290 [所属] 浙江大学, Beijing Life Science Academy, 南京信息工程大学

 GMO (遺伝子組み換え作物) は農業に大きな進歩をもたらしたが、各国で規制がかかっており、その検出のために、高感度で特異的なバイオセンサーが必要とされている。中国の研究チームが今回、世界で最も広く使用されているトランスジェニック耐虫性トウモロコシMON810を高感度かつ特異的に検出するために、CRISPR/Cas12aを介したエントロピー駆動型電気化学発光(ECL)バイオセンサーを開発した。

 CRISPR/Cas12aのトランス切断活性を活性化するアクチベーターとして、2種類のcrRNAを設計し、金電極表面のDNA四面体 (DNA TetrahedronDT) を改良して、非特異的吸着を減少させた。増幅は、標的DNAとのエントロピー駆動連鎖置換型反応に依存する。

 最適化の結果、バイオセンサーは十分な精度と選択性を有し、ECLの直線範囲は1-106fM、検出限界は3.3fMであった。このバイオセンサーは、PCRによる増幅や複雑なサンプル処理を必要としないため、遺伝子組換え作物の検出効率が飛躍的に向上する。


2024-01-31 内因性修復グリコシラーゼの高感度検出のための転写駆動型CRISPR RNA自動生成-CRISPR-Cas12aシステムの構築
[出典] "Construction of a transcription-driven CRISPR RNA auto-generation-mediated CRISPR-Cas12a system for sensitive detection of endogenous repair glycosylase" Liu M, Han ZW, Jiang S [..] Hu J, Xu Q, Zhang C. Sens Actuators B Chem. 2024-01-29.
https://doi.org/10.1016/j.snb.2024.135401 [所属] 山東師範大学, 東南大学, 狭西科技大学

 塩基除去修復 (BER) は、DNA損傷の修復とゲノムの完全性の維持に不可欠な役割を果たしている。BERの主要な酵素であるヒトのアルキルアデニンDNAグリコシラーゼ(hAAG)は、様々なアルキル化塩基に作用し、その異常な活性は様々な癌のリスク上昇につながる可能性がある。

 著者らは、hAAGを高感度かつ簡便に検出するために、転写駆動型crRNAの自動生成を介したCRISPR-Cas12aシステムを開発した。この戦略では、デオキシ・イノシン塩基/T (I/T) 対と破壊されたT7プロモーター配列を含むヘアピンプローブが、hAAG認識のためのプローブとしてだけでなく、非特異的な転写は効率的に回避する転写の鋳型としても機能する。

 標的hAAGは、ヘアピンプローブの切断とそれに続くアンフォールディングを誘導する。展開されたヘアピンプローブは、KFポリメラーゼを介した重合反応と、それに続くT7ポリメラーゼを介した転写反応を開始し、実質的なcrRNAを産生する。得られたcrRNAは、CRISPR-Cas12aのトランス切断活性を活性化してシグナル・プローブを切断し、増強された蛍光シグナルを生成する。

 この戦略によって、9.25×10<-11> U/μLの検出限界と1×10<-10> ~ 1x10<-2> U/μLの広い直線範囲でhAAGを測定することができ、単一細胞レベルで内因性hAAGを正確に測定することができる。さらに、このアッセイは阻害剤スクリーニング、動態解析、腫瘍細胞と健常細胞の鑑別に応用でき、疾患診断に大きな可能性を持つ。

2024-01-30 Cas-mCfLAMP: 標識したLAMPとCRISPR/Cas12aに基づくサトウキビ病原菌のマルチプレックス迅速可視化アッセイ

[出典] "Cas-mCfLAMP: A multiplex rapid visualization assay for sugarcane pathogens based on labeled LAMP and CRISPR/Cas12a" Zhu L [..] Zhang J, Zhang M, Yao W. Microchem J. 2024-01-26. https://doi.org/10.1016/j.microc.2024.109993 [著者所属] 广西大学, U Florida;グラフィカルアブストラクト

 サトウキビ病害のこれまでのアッセイ法は、低スループット、高コスト、低感度であった。著者らは今回、LAMP増幅の際に産物を多重標識することで、CRISPR/Cas12aの特異的crRNAへの高い依存性を緩和し、1回の反応で複数の標的遺伝子の検出を可能にしたCas-mCfLAMPを開発した。この手法は、専門技術者や高価な装置を必要とせず、サトウキビの病害を圃場で視覚的に検出可能である。

 この方法は、サトウキビの病害検出において、簡便、効率的、特異的、かつ費用対効果に優れており、他の植物病害の圃場検出用に改良できる可能性を持っている。

2024-01-29 CRISPR/Cas12a・磁気ナノ材料・表面増強共鳴ラマン分光法の融合によるトランスジェニック作物の同定
[注] 表面増強ラマン散乱 (Surface-enhanced resonance Raman scattering: SERRS)
[出典] "Identification of transgenic crops by CRISPR/Cas12a-assisted magnetic surface-enhanced resonance Raman spectroscopy" Su A [..] Liu X, Xu S. Sens Actuators B Chem. 2024-01-18. https://doi.org/10.1016/j.snb.2024.135345 [著者所属]  Jilin U, nstitute of Agricultural Biotechnology (Jilin Academy of Agricultural Sciences), Changchun U Science and Technology

 遺伝子組換え (GM) 作物と非GM作物の迅速かつ信頼性の高い識別は、緊急の課題であり、食品安全における重要な課題である。中国の研究チームは今回、GMの特定の遺伝子配列(CaMV 35 SプロモーターとNosターミネーター)を同定するアッセイ法を開発した。

 このアッセイ法は、CRISPRの遺伝子を特異的に認識する能力、SERRSがもたらす超高感度、および磁性ナノ材料のシンプルな分離特性を組み合わせたものである。
多機能SERRS活性ナノプローブは、G-トリプレットDNAに挿入されたラマンリポーター(メチレンブルー)の高負荷を可能にするG-トリプレットDNA配列で金被覆磁性ビーズが修飾されている。
標的DNAを認識したCRISPR/Cas12a-crRNAが、そのG-トリプレットDNAに対する無制限のトランス切断活性を活性化し、ナノプローブ上部におけるメチレンブルーの放出、そして、SERRSシグナルの減少、のプロセスを辿る。

 このアッセイは、
4.15×10-12 Mから4.15×10-9 Mの線形応答範囲とpMレベルの検出感度を示し、実際の作物サンプルの遺伝子組み換え作物と非組み換え作物の試験にも成功した。

2024-01-28 遠心分離統合精製-CRISPRアレイに基づく粗悪食品中の食肉成分のハイスループット同定
[出典] "High-throughput identification of meat ingredients in adulterated foods based on centrifugal integrated purification-CRISPR array" Xiang X [..] Ding Y, Shang Y. Food Chem. 2024-01-20. https://doi.org/10.1016/j.foodchem.2024.138507 [著者所属] Fujian Medical U, Huaiyin Normal U, Jinan U, Institute of Microbiology (Guangdong Academy of Sciences)

 食品不正を検出するための迅速、正確、かつ高感度な分析法は、食品の品質を確保するために、今や世界の食品産業において急務となっている。中国の研究チームは今回、食肉不純物を迅速かつ高感度で検出可能とするCIPAM (centrifugal integrated purification-CRISPR array for meat adulteration) を確立した。

 CIPAMは、DNA抽出用のマイクロニードルとRAA-CRISPR/Cas12aを遠心式マイクロ流体チップに組み込んだシステムであり、自動多重検出を可能にする。RAA-CRISPR/Cas12a反応試薬は、マイクロ流体チップ上の異なる反応チャンバーにあらかじめ埋め込まれており、操作の合理化を実現し、検出プロセスを著しく簡素化した。全反応は30分以内に終了し、検出限界はブタ、ニワトリ、アヒル、ラムの製品で0.1% (w/w) であった。標準法の判定結果に対して、CIPAMシステムは100%の精度を達成した。


2024-01-27
crisp_bio 2024-01-27 
meHOLMES: CRISPR-Cas12aをベースに配列に依存することなくDNAメチル化を迅速検出 https://crisp-bio.blog.jp/archives/34899511.html

2024-01-26 CRISPR/Cas12ベースDNAセンサーアレイを非接触印刷により小型化

[出典] "Miniaturization of CRISPR/Cas12-Based DNA Sensor Array by Non-Contact Printing" Shimemori H, Fujita S, Tamiya E, Nagai H. Micromachines. 2024-01-17. https://doi.org/10.3390/mi15010144 [著者所属] AIST/大阪大学フォトニクスセンター, 神戸大, 阪大産業科学研究所

 DNAマイクロアレイは網羅的な遺伝子型解析に活用されているが、操作が煩雑である。その解決策として、著者らは先行研究 [*]で、CRISPR/Cas12aに基づく固相コラテラル切断 (Solid-Phase Collateral Cleavage: SPCC) システムを報告した。表面に固定したcrRNAが、標的の二本鎖DNA (dsDNA) に直接ハイブリダイズし、その後、同じスポットに固定化された一本鎖DNA (ssDNA)レポーターの切断を介してシグナルを生成することで、ワンポット多重dsDNA検出を実現した。

 本研究では、非接触プリンターでパターン化したSPCCベースのスポットの小型化と、大量に集積されたアレイ上での網羅的ジェノタイピングの性能を発表した:

  • まず、Cas12a-crRNAの印刷、固定化、洗浄工程を確立し、非接触型SPCCベースのセンサーアレイを作製した。
  • センサーアレイにより、スポット径0.64±0.05mmでも目標とするdsDNA濃度応答が得られた。
  • 検出限界は、Cas12a-crRNAを40nL、20nL、10nL印刷した場合、それぞれ572pM、531pM、3.04nMであった。
  • さらに、このセンサーアレイにより3種類のdsDNA配列を特異的に検出可能であり、包括的ジェノタイピングの実現可能性が確認された。
 将来、この非接触パターンを用いたSPCCベースのセンサーアレイは、DNAマイクロアレイの代替ツールとして応用可能である。

[*] crisp_bio Cas12/13/14 バイオセンサーの広がり (4) :2023-10-10 CRISPR/Cas12aに基づく固相コラテラル切断システムとその簡便なワンポット多重二本鎖DNA検出への応用;"Solid-Phase Collateral Cleavage System Based on CRISPR/Cas12 and Its Application toward Facile One-Pot Multiplex Double-Stranded DNA Detection" Shigemori H, Fujita S, Tamiya E, Wakida S, Nagai H. Bioconjugate Chem 2023-10-02.

2024-01-25 MnO2ナノシートにより強化したCRISPR/Cas12aトランス切断に基づくグルタチオンの電気化学的検出
[出典] "Electrochemical detection of glutathione based on accelerated CRISPR/Cas12a trans-cleavage with MnO2 nanosheets" Xia R, Ouyang N, Wang T, Zhuang Y, Miao P. Chem Commun. 2024-01-17. https://doi.org/10.1039/D3CC06186H

 本手法では、グルタチオンを介したMnO2ナノシートの還元によってCRISPR/Cas12aシステムが加速され、DNAプローブのトランス切断現象をモニターすることにより、検出限界3.5 pMを達成した。このグルタチオンアッセイ法は、血漿中のグルタチオン濃度を測定するための有望な方法である。

2024-01-24  CRISPRベースの極めてシンプルなワンポット分子診断を, RPAとCas12aの反応を物理的および時間的に分離・融合することで実現
[出典] "Spatiotemporal dual-dimensional separation enables ultra-simple one-pot CRISPR-based molecular diagnostics" Li H, Xiu L, Guo X, Hu Q, Yin K. Chem Eng J. 2024-01-17. https://doi.org/10.1016/j.cej.2024.148872 [著者所属] 上海交通大学医学院

 近年、CRISPR/Casベースの技術が、核酸ベースの分子診断法において、エアロゾル汚染のリスクを避けるために、ワンポット反応の手法が種々開発されてきた。中国の研究チームは今回、3Dプリンターで作製したインナーチューブの毛細管力を利用し、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅 (RPA: インナーチューブ)とCRISPR/Cas12aセンサー (アウターチューブ) を動的に接続することで、簡便かつ高感度なワンポット核酸検出を可能にするSTAR (SpatioTemporal dual-dimensional sepAration-based CRISPR/Cas detection)システムを開発した。STARシステムでは、このインナーチューブとアウターチューブからなるチューブ・イン・チューブ・アセンブリのキャピラリーチャンネルを含む物理的な半障壁 (semi-barrier) を設けることで、RPAとCRISPR/Cas12aの2反応の空間的分離と、増幅反応が進むにつれて自然に接続されるという時間的分離とを組み合わせて、2種類の反応の非互換性を解決した。また、STARシステムは、従来のワンポットRPA-CRISPR検出システムのような追加の操作や添加物を必要とせずに反応が進行する。

 STARシステムにより、ブロスとスパイクされたミルクサンプルの双方において、100 CFU/mLの検出限界を達成し、サルモネラ・チフスムリウムの検出において高い特異性と感度を示した。この優れた性能により、開発されたSTARシステムは次世代POC分子診断法の開発に大きな可能性を示した。

2024-01-23 [レビュー] 非正規型CRISPR-Cas12aによる核酸検出におけるバイオセンシングの新たな展開

[出典] REVIEW "Non-canonical CRISPR/Cas12a-based technology: A novel horizon for biosensing in nucleic acid detection" Lei X, Cao S, Liu T, Wu Y, Yu S. Talanta 2024-01-16. https://doi.org/10.1016/j.talanta.2024.125663 [著者所属] 鄭州大学

 核酸の高感度・高精度な検出が可能なことを示したDETECTR以来、Cas12のトランス切断活性をベースとするバイオセンサーに対して、より高い感度、より高い特異性、より高い効率、より広い標的範囲、より容易な操作、多重化、低コスト、多様なシグナルの読み取りといった要求を満たすべく、当初の正規型CRISPR/Cas12aシステムの主要な要素を改変した [グラフィカルアブストラクト参照] 非正規型CRISPR/Cas12aをベースとするバイオセンサーが登場した。

 本総説は、非正規CRISPR/Cas12aベースのバイオセンサーの応用についてまとめる。また、これらの非正規CRISPR/Cas12aベースのバイオセンサーの原理、特異性、性能、展望についても議論する。


2024-01-22 Cas12aに多重なcrRNAsを組み合わせることで, MpoxウイルスDNAの増幅不要な検査法を確立

[出典] "Amplification-free detection of Mpox virus DNA using Cas12a and multiple crRNAs" Yang Y [..] He Z. Mikrochim Acta. 2024-01-17. https://doi.org/10.1007/s00604-024-06184-9 [著者所属] 武漢大学, 広西大学, 武漢大学中南医院, Wuhan Research Center for Infectious Diseases and Cancer;グラフィカルアブストラクト

 増幅を必要とせずに、Cas12aトランス切断活性をベースにMPXV DNAを直接検出する検査法を中国の研究チームが報告した。MPXVのエンベロープタンパク質遺伝子 (B6R) の異なるサイトを標的とする4種類のcrRNAsを設計した。複数のcrRNAsを採用することで、トランス切断活性を発揮しているCas12aの量が増加し、より多くのDNAレポーター・プローブが切断され、ひいては、検出シグナルが蓄積され、検出限界と検出速度が向上する。検出限界は0.16 pMに達し、これは、B6R上の1箇所を標的とした場合の~27倍の感度に相当する。

2024-01-21 刺激応答性DNAマシンとCas12aトランス切断活性の融合による食道癌関連バイオマーカーmiRNA-21の超高感度診断
[注] Stimuli-Responsive Incremental DNA  (SRI-DNA)

[出典] "Stimuli-responsive incremental DNA machine auto-catalyzed CRISPR-Cas12a feedback amplification permits ultrasensitive molecular diagnosis of esophageal cancer-related microRNA" Li H, Wang Y [..] Xu J, Wang Q, Wu D. Talanta 2024-01-24. https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0039914024000547グラフィカルアブストラクト 

 著者らは、ステム伸長型機能性ヘアピンプローブ (stem-elongated functional hairpin probe: SEF-HP) を設計することで、SRI-DNAマシンとCRISPR-Cas12aトランス切断活性の融合を実現した。

 標的miRNA-21がSRI-DNAマシンを始動させる外部トリガー (刺激) として機能する。SRI-DNAマシンは、単一のステム伸長機能性ヘアピンプローブ (SEF-HP) で構成され、複数の部位におけるDNA鎖の複製、切断、多段階での置換を含む一連の自律的プロセスを経て、多数のDNAアクチベータを賛成し、CRISPR-Cas12aのコラテラル切断活性を活性化する。この活性化されたシステムが、蛍光共鳴エネルギー移動 (FRET) 標識された一本鎖レポータープローブを切断し、蛍光シグナルを発する。この亜プローチにより、広い直線範囲と優れた特異性でのmrRNA-21検出が実現された。


2024-01-20 食品サンプル中の黄色ブドウ球菌の迅速・超高感度検出を実現する効率的な磁気濃縮カスケード・シングルステップRPA-CRISPR/Cas12aアッセイ法
[出典] "Efficient magnetic enrichment cascade single-step RPA-CRISPR/Cas12a assay for rapid and ultrasensitive detection of Staphylococcus aureus in food samples" Ma Y, Wei H, Wang Y [..] Zhang H, Song Z, Wang S. J Hazard Mater 2024-01-11.
 https://doi.org/10.1016/j.jhazmat.2024.133494 [著者所属] 北京工業大学, Bioinformatics Center of AMMS (Beijing) ;グラフィカルアブストラクト

 黄色ブドウ球菌特異的抗体で機能化した磁気ビーズ (MB) を用いて、複合マトリックスから黄色ブドウ球菌を濃縮することで、5分間で98%の捕捉効率を実現し、濃縮しない場合に対して、100倍の感度向上を達成した。次に、RPA-CRISPR/Cas12aを用いたシングルステップ診断システムを構築した。このアッセイにより、40分以内に1コピー/μL (5コピー/反応) の抽出DNAテンプレートと10 CFU/mLの黄色ブドウ球菌を検出することに成功した。

 さらに、湖水、オレンジジュース、豚肉、レタスなどの実際の食品サンプルからの黄色ブドウ球菌検出にも成功し、その結果は、qPCRアッセイの結果と一致した。 本アッセイは、長時間の細菌培養や複雑なサンプル調製工程を必要としないことから、実際の食品サンプル中の病原体の迅速、効率的、超高感度検出法として有望である。

2024-01-19 Cas12aバイオセンサーに自己プライミング・サイクリック増幅法を融合することで、バックグラウンドのない高感度かつ特異的なマイクロRNAセンサーを実現

[出典] "Self-Priming Cyclic Amplification Accelerating CRISPR Sensor for Sensitive and Specific MicroRNA Analysis with No Background" Li D [..] Wang Z, Xiang Y. Anal Chem 2023-01-13. https://doi.org/10.1021/acs.analchem.3c04866 [著者所属] 南京大学, 南京医科大学第一附属医院, 北京大学;グラフィカルアブストラクト

 中国の研究チームが、ホスホロチオエート末端ヘアピン形成および自己プライミング伸長 (Phosphorothioated-Terminal Hairpin formation and Self-Priming extension: PS-THSP)反応をmiRNAアッセイに応用することを初めて実証した。

 PS-THSP反応とCRISPR/Cas12aバイオセンサーに統合した高感度で特異的なmiRNAセンサーセンサーは3つのステップで構成されている:

  • 標的miRNAとリガーゼの存在下での完全なPS-THSPテンプレートの形成
  • DNAポリメラーゼの作用下でのPS-THSP反応の指数関数的等温増幅
  • シグナルを発生するためのCRISPR/Cas12a蛍光バイオセンサーの活性化
 癌抑制遺伝子を標的とするmiR-21をモデルとして、このセンサーがプライマーを介することなくマイクロRNAの高感度な検出と、PAM配列を介してバックグラウンドシグナルの干渉を効果的に回避することが可能なことを、実証した。さらに、このセンサーは一塩基変異の相同配列を同定できるだけでなく、様々な細胞株や実際の臨床サンプル中においても安定した性能を示すことを確認した。


2024-01-18 CRISPR/Cas12aのトランス切断活性の管理と汎用バイオセンシング・プラットフォームを実現するDNAロボット
[出典] "DNA Robots for CRISPR/Cas12a Activity Management and Universal Platforms for Biosensing" Xia X [..] Hu Q, Zhao Z, Tang BZ, Cen Y. Anal Chem 2024-01/13.
https://doi.org/10.1021/acs.analchem.3c05210 [著者所属] 南京医科大学, 香港中文大学, 青島科技大学;グラフィカルアブストラクト

 Cas12aのトランス切断活性 (コラテラル活性) をベースとする高性能なバイオセンシングや分子診断法が数多く開発されてきたが、その活性をシンプルな修飾で正確に制御した報告はほとんど無く、Cas12aを構成する要素を厳密に操作するという難しい手法による制御に限られていた。

 中国の研究チームが今回、crRNAが認識するDNA鎖 (いわゆるアクチベーター) を介したCas12aのトランス切断活性の活性化経路に対して、2種類のシンプルなDNAロボット (アプリン/アピリミジン部位 (APサイト) を認識するアクチベーター、または、ターゲット上のニックを認識するアクチベーター (nick on target activator))を導入することで、Cas12aのトランス切断活性を管理可能とするDNAロボット (DNA Robots for Enzyme Activity Management: DREAM) と名付けた新しいCRISPR/Cas12a制御機構を開発した。

  • DREAM戦略が異なる結合親和性を介してCas12aを正確に制御する機構を明らかにした。
  • DREAM戦略は、Cas12aの塩基ミスマッチ選択性を向上させることを明らかにした。
  • DNAロボットの多様な生成法を利用することで、DREAM戦略をベースに塩基除去修復酵素のモジュール型バイオセンサーを開発し、蛍光、比色、ラテラルフロー・ストリップ (可視化) などのマルチシグナル出力プラットフォームを構築した。
  • Cas12aは単一チューブ内で同時に検出できないという課題を、論理検出回路を拡張することで解決した。
 全体として、DREAM戦略は、プログラム可能なCas12aバイオセンシング・システムに新たな展望を提供するだけでなく、分子診断に大きな可能性を持つ可搬性、特異的、目視による検出を可能にした。

2024-01-17 トリコモナス膣炎の反復DNA配列を標的としたMIRA-CRISPR/Cas13a-LFDに基づく新規検出法

[注] MIRA (multi-enzyme isothermal rapid amplification)

[出典] MIRA-CRISPR:Cas13a-LF"A novel detection method based on MIRA-CRISPR/Cas13a-LFD targeting the repeated DNA sequence of Trichomonas vaginalis " Yang Z [..] Zhang Z, Wang S. Parasit Vectors. 2024-01ー08. https://doi.org/10.1186/s13071-023-06106-3 [著者所属] 新郷医学院;グラフィカルアブストラクト引用右図参照
 本プロトコールによるゲノムDNAの検出限界は1×10<-4> ng/μlに達した。Staphylococcus aureus , Lactobacillus taiwanensis Escherichia coli Monilia albicans Giardia lamblia Toxoplasma gondii など他の微生物由来のgDNAとの交差反応を示さず、特異性も確保された.
 また、30検体で検証したところ、T. vaginalis の陽性率は、ウェットマウント顕微鏡法で33.33% (10/30)、ネステッドポリメラーゼ連鎖反応 (PCR) で40% (12/30)、MIRA-CRISPR/Cas13a-LFD法で40% (12/30)、培養法で40% (12/30) であった。トリコモナス症の診断のゴールドスタンダードである培養法と比較して、ウェットマウント顕微鏡法は83.3%の感度を示し、診断の一致度は中程度 (κ値=0.87)であったが、ネステッドPCR法およびMIRA-CRISPR/Cas13a-LFD法は、いずれも感度100%、高い一致度(κ値=1)を示した。

 

2024-01-15 RAA-CRISPR/Cas12bワンポット検出アッセイ (Rcod) による核酸の迅速・高感度検出
[出典] "Rapid and sensitive detection of nucleic acids using an RAA-CRISPR/Cas12b one-pot detection assay (Rcod)" Lin K, Kaihu Y, Li X, Li Q [..] Yang X, Li Z, Li B. Talanta 2024-01-10.
https://doi.org/10.1016/j.talanta.2023.125616 [著者所属] 厦門大学, 首都医科大学 (北京)

  CRISPR/Cas12をベースにする核酸の迅速・高感度・高特異度な検出法が多々報告されている。その中で、CRISPR/Cas12bは、その好熱性により、組換え酵素等温増幅 (recombinaseaidedamplification: RAA) と組み合わせる場合は、2つの別々の反応を必要とし、また、エアロゾル汚染のリスクも高くなる。中国の研究チームは今回、Alicyclobacillus acidoterrestris 由来のCas12b (AacCas12b) が37℃の一定温度で強く特異的なトランス開裂活性を示し、シス開裂活性は弱いことを見出し・利用することで、ワンポットのRAA-CRISPR/Cas12bアッセイ法 (RAA-CRISPR/Cas12b one-pot detection assay: Rcod) を開発し、百日咳菌検出に応用した。


 核酸抽出を必要としないワークフローで、サンプル処理から応答までの時間 30分未満、感度 0.2コピー/μLを達成した。221検体の百日咳菌を対象とするリアルタイムPCR法との対照実験では感度97.96%、特異度99.19%を達成し、Rcodが百日咳菌の迅速・簡便な臨床診断に有用であることが示された。


2024-01-14 CRISPR/Cas12aデュアルチャンバー "ワンポット"テスト (DROPT) システムによる迅速かつ正確なHPV検出法
[出典] "A dual-chamber “one-pot” CRISPR/Cas12a-based portable and self-testing system for rapid HPV diagnostics" Cai Y [..] Li X, Zhou H, Huang X. Sens Actuators B Chem. 2024-01-10.
 https://doi.org/10.1016/j.snb.2024.135295

  DROPTシステムによって、臨床検体を対象として、1回押すだけの簡単な操作で定量的な蛍光読み出しを得ることができる。RPAとCRISPRアッセイを含む全反応プロセスは、等温加熱チャンバー、レーザーダイオード光源、シリコンフォトダイオードで構成されるポータブル装置において30分以内に完了する。

 60検体の子宮頸部ぬぐい液からHPV16/18を検出したところ、感度は100%、特異度は95.8%であった。DROPTシステムは使いやすく、大がかりな装置や検査要員を必要とせず、エアロゾル汚染を効果的に回避できるため、HPV自己検査やオンサイト核酸検査のギャップを埋める可能性がある。


2024-01-12 乳癌診断を強化する超高感度細胞外小胞 (EVs) 検出を実現するDNAゲートに基づくCRISPR-Cas指数関数的増幅システム
[出典] "DNA Gate-Based CRISPR-Cas Exponential Amplification System for Ultrasensitive Small Extracellular Vesicle Detection to Enhance Breast Cancer Diagnosis" Tan W, Zhang C [..] Xian Y. Anal Chem 2024-01-08. https://doi.org/10.1021/acs.analchem.3c04873グラフィカルアブストラクト [著者所属] 華東師範大学 (上海)

 潜在的なバイオマーカーとしての腫瘍由来EV (tumor-derived EV : tEV)は、親細胞と密接に関連する豊富な表面タンパク質を有しており、非侵襲的な癌診断に極めて重要である。しかし、tEVは表現型が不均一であり、存在量も少ないため、高感度かつ多重な検出は簡単ではない。中国の研究チームは、tEVの正確で超高感度な検出のために開発した標題のDNA Gate-based Exponential Amplification CRISPR-Cas (DGEAC) システムが、乳癌診断の精度を大幅に向上させることを報告した。

 乳癌由来のtEVにおけるCD63と血管内皮増殖因子 (VEGF) の共発現に基づき、近接ハイブリダイゼーションによるデュアル・アプタマーをベースとするANDゲート蛍光プローブを開発した。これにCas12aの標的認識活性とトランス切断活性を統合することにより、tEV上のCD63とVEGFタンパク質を超高感度に検出する自己触媒駆動型の指数関数的増幅回路を実現し、単一タンパク質や他のタンパク質による偽陰性シグナルを回避することに成功した。また、検出限界 1.02×103粒子/mLと、1.75×10<3>~3.5×10<8> 粒子/mLの線形応答範囲でtEVの高感度検出を達成した。

 さらに、DGEACによって、MDA-MB-231、MCF-7、SKBR3、MCF-10Aなど、異なる乳癌細胞株由来のtEVを判別可能であり、また、異なるステージの乳癌の効果的判別も可能である。


2024-01-11 [レビュー] 磁気粒子 (MP)を組み込んだCRISPR/Casバイオセンサー
[出典] REVIEW "Magnetic particles-integrated CRISPR/Cas systems for biosensing" Wang Z, Wei L, Chen Y. Trends Analyt Chem 2024-04-006.
https://doi.org/10.1016/j.trac.2024.117525 [著者所属] 大連工業大学, 華中農業大学, 上海栄養健康研究所

 この総説は、標題バイオセンサーの検出原理と性能に重点を置き、CRISPR Dx分野で一般的に使用されているCRISPR/Cas9、CRISPR/Cas12a、およびCRISPR/Cas13aシステムについて議論し、バイオセンシング戦略の展望と課題について述べる [グラフィカルアブストラクト参照]。

2024-01-10 CRISPR/Cas12aの動態解明と食中毒菌を標的とする蛍光センシング戦略
[出典] "Investigating enzyme kinetics and fluorescence sensing strategy of CRISPR/Cas12a for foodborne pathogenic bacteria" Fu XR,  Sun JD [..] Sun X. Anal Chim Acta 2024-01-06.
https://doi.org/10.1016/j.aca.2024.342203 [著者所属] 江南大学, Yixing Institute of Food and Biotechnology Co Ltd, Product Quality Comprehensive Inspection and Testing Center (江蘇省), Comprehensive Technology Center of Zhangjiagang Customs

 核酸に始まる多様な分子を高感度で検出する多様なセンサーが、CRISPR/Cas12aのトランス切断活性 (コラテラル活性)をベースとして開発されてきたが、中国の研究チームは、LbCas12aおよびAsCas12aを対象に、基質濃度を変えて切断速度や基質の特性を解析した上で、食中毒病原細菌に対する高感度蛍光センシングの戦略を構築した。

  • 食中毒病原体標的配列の存在下でCas12aのトランス切断活性が活性化され、フルオレセイン・クエンチャーとフルオレセインで共標識された一本鎖レポーターssDNAが切断される。
  • サルモネラ菌と黄色ブドウ球菌を例に、Cas12a蛍光センシングの感度と特異性を分析したところ、AsCas12aはLbCas12aよりもトランス開裂能力がわずかに高いことが示された。
  • サルモネラ菌および黄色ブドウ球菌に対するAsCas12aの検出限界は、それぞれ24.9 CFU/mLおよび1.50 CFU/mLであった。
  • AsCas12a蛍光センシングにより、黄色ブドウ球菌とサルモネラの識別は、7菌種すべてについて、正確に行われた。
 本研究によって、CRISPR/Cas12a蛍光センサーの構築・改良の基盤となる情報が得られ、AsCas12aバイオセンサーが野外での検出法として有望であることが示された。


2024-01-09_2
crisp_bio 2024-01-09 CRISPR-Cas12aにスプリット型crRNAを組み合わせることで, RNAとDNAの高感度・選択的・多重検出を実現


2024-01-09_1 RAA-Cas13a-LFD (目視検出) による鳥インフルエンザウイルス (AIV) の迅速・特異的・高感度検出
[注] RAA (recombinase-aided amplification); LFD (recombinase-aided amplification)
[出典] "
Based on CRISPR-Cas13a system, to establish a rapid visual detection method for avian influenza viruses" Zhang Z, Wang C [..] Zhang T. Front Vet Sci. 2024-01-08. https://doi.org/10.3389/fvets.2023.1272612

 AIVのNucleprotein (NP)遺伝子の保存配列に従って、特異的プライマーとCRISPR RNA(crRNA)を設計し、感度100 copies/μLを達成し、これは、PCR-アガロース電気泳動法の1,000倍に相当した。また、鶏伝染性気管支炎ウイルス (IBV)、鶏伝染性喉頭気管炎 (ILTV)、ニューカッスル病ウイルス (NDV) との交差反応は見られなかった。

2024-01-07 アプタマーCRISPR/Cas12a制御液晶センサー (ALICS) を用いたタンパク質マーカーの超高感度ポイントオブケア試験 (Point-of-Care Testing: POCT)

[出典] "Ultrasensitive Point-of-Care Detection of Protein Markers Using an Aptamer-CRISPR/Cas12a-Regulated Liquid Crystal Sensor (ALICS)" Qi L [..] Jiang Y, Fang X. Anal Chem 2024-01-02. https://doi.org/10.1021/acs.analchem.3c04492 [著者所属] Hangzhou Institute of Medicine, Second Affiliated Hospital of Shandong First Medical U, Hangzhou Institute for Advanced Study, Beijing National Research Center for Molecular Sciences

 CRISPR/Cas12aにアプタマーを組み合わせることで、Cas12aバイオセンサーによる核酸以外の分子検出が可能になる。中国の研究チームが今回報告するセンサーは、標的タンパク質のアプタマー配列とCas12a-crRNA複合体のアクチベーター配列を含むDNAプローブを基板上に固定し、標的タンパク質の存在下でDNAプローブが放出され、DNAプローブのアクチベーター配列がCas12a-crRNA複合体に結合することで、Cas12αのコラテラル切断反応が活性化され、DNA機能化液晶界面に明暗の光学変化を生じさせる。この光学画像をスマートフォンで撮影し、標的濃度を定量化した。

 SARS-CoV-2ヌクレオカプシドタンパク質 (Nタンパク質)と癌胎児性抗原 (CEA) をモデルタンパク質として、ALICSはそれぞれ0.4pg/mLと20pg/mLの検出限界を達成した。臨床サンプル検査においても、ALICSは市販のELISAやラテラルフロー検査キットと比較して優れた性能を示した。全体として、ALICSは超高感度で費用対効果の高いPOCTプラットフォームであり、資源が限られた条件下での病原体検出と疾患モニタリングに大きな可能性を示した。

2024-01-05 CRISPR-Cas13aシステムをベースとするE型肝炎ウイルス診断薬の開発と評価

[出典] "Development and evaluation of a CRISPR-Cas13a system-based diagnostic for hepatitis E virus" Li M, He Q, Li T, Wan W, Zhou H. Clin Chem Lab Med. 2023-12-29. https://doi.org/10.1515/cclm-2023-1007 [著者所属] 北京大学医学部, 鄭州大学第五附属医院, 中国薬品生物製品検定所.

 Cas13a-crRNAベースの蛍光アッセイおよびストリップ・アッセイにて95%検出限界、それぞれ、12.5および200 IU/mLを達成した。A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、コクサッキーウイルスA16、ロタウイルス、エンテロウイルス71、ノロウイルス、腸管出血性大腸菌陽性検体との交差反応性は認められなかった。異なるHEV遺伝子型 (HEV1~4) の検出も可能であった。RT-qPCRと比較して、Cas13a-crRNAベースの蛍光アッセイとストリップアッセイの陽性的中率はそれぞれ98.9 % (95 % CI:93.9-99.8%)と91.0 % (95 % CI:83.3-95.4%) であり、陰性的中率はいずれも100 % (95 % CI: 97.8-100 %)であった。
[注] 陽性89検体、陰性176検体を含む、様々な種類と出所の265検体でテスト


2024-01-04
プログラム可能なCRISPR/Cas12aシステムを用いたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA)の比色・蛍光二重識別法
[出典] "Colorimetric and fluorescent dual-identification of Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus (MRSA) using programmable CRISPR/Cas12a system" Wang X, Chu C [..] Huo D, Hou C. Microchem. J. 2023-12-31.
https://doi.org/10.1016/j.microc.2023.109873 [著者所属] 重慶大学生物工程学院, 四川轻化工大学, 甲南大学無錫医学院, 上海医薬臨床研究中心, 重慶大学;グラフィカルアブストラクト

 中国の研究チームが、黄色ブドウ球菌 (Staphylococcus)属に特異的な遺伝子 (以下、spec遺伝子) とメチシリン耐性遺伝子 (mecA遺伝子) をPCRによる増幅と、spec遺伝子とmecA遺伝子の塩基配列を認識するように設計したcrRNAとCRISPR/Cas12aのコラテラル活性を介した蛍光センサーによるS. AureusとMRSAの同定を実現した。さらに、黄色ブドウ球菌を比色認識するためのAuNPs-DNAプローブのペアを開発し、プローブのリンカーが標的配列がトリガーとなるCas12aトランス切断活性で切断され、AuNPs-DNAプローブ・ペアの凝集が妨げられ、赤色が顕著に現れ、肉眼での検出が可能となり、臨床検体中のMRSAの同定にも成功した。


2024-01-03
crisp_bio 2023-01-03 CRISPRアプタセンサーによるアルツハイマー病 (AD) 診断

2023-12-31 ImmunoMag-CRISPRラテラルフローアッセイ (LFA) による尿中バイオマーカーの超高感度ポイントオブケア検査
[出典] "Ultrasensitive ImmunoMag-CRISPR Lateral Flow Assay for Point-of-Care Testing of Urinary Biomarkers" Lee I, Kwon S-J, Heeger P, Dordick J. ACS Sens 2023-12-23.
https://doi.org/10.1021/acssensors.3c01694 [著者所属] Rensselaer Polytechnic Institute, Cedars-Sinai Medical Center;グラフィカルアブストラクト

 唾液、尿、鼻汁中のバイオマーカーを迅速、正確、かつ非侵襲的に検出することは、癌、臓器不全、移植拒絶反応、血管疾患、自己免疫疾患、感染症などの同定、早期診断、モニタリングに不可欠である。米国の研究チームが、標的とする尿中バイオマーカーCXCL9とCXCL10を肉眼で検出するために、抗体-DNAバーコード複合体と磁気ビーズによる濃縮を介して、CXCL9の検出限界 0.6 pg/mL を達成した。この値は、以前に報告されたアッセイで達成された検出限界を上回る。

 この高感度検出法は、CXCL9のLODが18 pg/mLのLFAフォーマットに再設計され、急性腎移植拒絶反応の非侵襲的早期検出を可能にした。このImmunoMag-CRISPR LFAを、腎移植レシピエントから採取した42検体の臨床尿でテストしたところ、LFAストリップのテストラインとコントロールラインを目視で比較するだけで、11検体の陽性尿と31検体の陰性尿の判定が可能であった。さらに、LFAシステムはその後、画像から臨床尿検体中のCXCL9およびCXCL10レベルを定量するために拡張された。


2023-12-30 CRISPR/Casをナノポアに閉じ込めることで, 超高感度・高効率なマイクロμRNAナノセンサーを実現
[出典] "An Ultrasensitive and Efficient microRNA Nanosensor Empowered by the CRISPR/Cas Confined in a Nanopore" Wang B, Xu Y-T, Zhang T-Y et al. Nano Lett. 2023-12-21.
https://doi.org/10.1021/acs.nanolett.3c03723 [著者所属] 南京大学, 南通大学;グラフィカルアブストラクト

 中国の研究チームが、CRISPR/Cas13aをナノピペット (nanopipette) 内に封じ込めることで、バルク電解質中よりも約169倍高い触媒効果を得て、電気化学反応を増幅するアプローチを報告した。代表的なマイクロRNA-25の検出の例では、検出限界 10 aMを達成した。さらに、単一細胞および実際のヒト血清検出で、その性能が実証された。その一般的な適用性も、マイクロRNA-141とSARS-CoV-2 RNA遺伝子断片を扱うことで実証された。

2023-12-29 薬剤耐性菌検出のための比色・光熱・蛍光トリプルモードCRISPR/casバイオセンサー
[出典] "A colorimetric, photothermal, and fluorescent triple-mode CRISPR/cas biosensor for drug-resistance bacteria detection" Zheng L [..] Lou Y. J Nanobiotechnol. 2023-12-20.
https://doi.org/10.1186/s12951-023-02262-x [著者所属] 温州医科大学, 徳陽市人民医院

 異なるモダリティを相互検証するために利用するマルチモーダル分析戦略は、偽陽性または偽陰性を効果的に最小化し、検出結果の精度を確保可能にする。中国の研究チームは今回、比色 (Colorimetric)光熱 (Photothermal)蛍光 (Fluorescent)の3つのシグナル出力をトリガーする基質として機能するようにCPFMNPs (magnetic nanoparticles) - ssDNA - HRP (horseradish peroxidase)シグナルプローブを設計することで、トリプルモードCRISPR/Cas12a検出プラットフォーム (CPF-CRISPR) を確立した [Fig.1 引用右図参照]。

 標的DNAの存在下で、MNPs-ssDNA-HRPは活性化されたCRISPR/Cas12aによって切断され、その結果HRPが放出され、磁気ビーズ上に3末端水酸基を持つ短いDNA鎖が生成される。放出されたHRPはその後、TMB-H
2O2反応を触媒し、酸化TMBは比色および光熱シグナル検出に使用される。末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)の触媒作用により、残った短いDNA鎖はプライマーとしてポリTを形成し、蛍光シグナルを出力するための銅ナノクラスターを形成する足場として機能する。

 CPF-CRISPRの実用性を検証するため、MRSAをモデルとして用いた。その結果、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅と組み合わせた場合の検出限界は10 CFU/mLであり、このプラットフォームの高い精度と感度が実証された。


2023-12-28 CRISPR/Cas12aのトランス切断活性をアクチベーターをヘアピンで伸長することで向上させ、転写因子の検出に応用
[出典] "Enhancement and inactivation effect of CRISPR/Cas12a via extending hairpin activators for detection of transcription factors" Jiang Y [..] Deng K, Li C. Microchim Acta 2023-12-19.
https://doi.org/10.1007/s00604-023-06123-0 [著者所属] 湖南科技大学.

 CRISPR/Cas12aのトランス切断活性は、crRNAと相補的な連続20塩基の配列 (以下, A20) を持つssDNAアクチベーターによって活性化され、レポーターを切断して蛍光シグナルを発する。中国の研究チームは今回、A20に5’末端が宙ぶらりんになった形のヘアピン (H) を付加するやり方によって、トランス切断活性の活性化の向上と抑制を制御可能なことを発見し、その知見を転写因子検出へと応用した。

 A20の5’末端にヘアピンを結合することで、アクチベーターの活性化能が向上し、さらに、crRNAと相補的で無いランダムな配列 (以下、sm)をA20の上流およびA20とHの間に付加・挿入することで (sm-A20-sm-H) 、一層向上することを発見した [Fig. 1参照]。

 転写因子の検出にあたっては、レポーターとして一本鎖DNA (ssDNA) を、蛍光バックグラウンドを除去するスカベンジャーとして新たに合成した2枚のN-C (窒素ドープカーボン) ナノシートを利用することで、NF-ĸB p50の検出を、0.8~2000.0 pMの線形応答範囲、0.5 pMの検出限界で実現した。

 研究チームはまた、完全な形のヘアピンをA20に付加すると [Fig. S3参照 (Supplementary file)]、活性化能が消失することも発見した。

 本研究におけるアクチベーターの活性化増強効果と不活性化効果の発見は、CRISPR/Cas12aに関する知見を深めただけでなく、CRISPR/Casシステムの分子検出や疾病診断への実用的な応用を広げた。

 

2023-12-27 遺伝子点突然変異情報の翻訳と検出: CRISPR/Cas12aのアクチベーターの一塩基延長によるCRISPR/Cas12aのトランス切断活性の制御を介して
[出典] "Gene point mutation information translation and detection: Leveraging single base extension and CRISPR/Cas12a" Liu Z [..] Wu T. Biosens Bioelectron. 2023-12-20
. https://doi.org/10.1016/j.bios.2023.115936 [著者所属] 華中科技大学同済医学院, 武漢軽工大学;グラフィカルアブストラクト

 遺伝子点突然変異は癌の発生に重要な役割を果たしている。従って、遺伝子点突然変異を検出するための高感度、特異的、かつ普遍的に適用可能な方法を開発することは、臨床診断、予後、およびがん治療にとって極めて重要である。

 近年、CRISPR/Cas12aを用いた遺伝子点突然変異検出法が登場してきたが、いずれも、普遍性と特異性に欠ける。中国の研究チームは今回、CRISPR/Cas12aシステムにおけるPAM配列からの制約を回避する手法を開発した。

 Cas12αバイオセンサーは、ssDNAアクチベーターで駆動されるCas12aのトランス切断活性をベースにしているが、その活性化はssDNAアクチベーターの長さに依存し、15-ヌクレオチド (15-nt)と14-ntによって効率が著しくことなる。そこで、一塩基伸長法 (Single Base Extension: SBE) を利用して、変異部位に特異的な1塩基延長を有するプライマー (15-nt) と、1塩基延長を有さないプライマー (14-nt) とを介して、PAM-less CRISPR/Cas12aシステムを用いた遺伝子点変異の普遍的な検出を実現した。

 SBEを組み込んだ検出システムの感度と特異性をさらに高めるため、SBE前の変異型DNAを選択的に濃縮する改良型アレル特異的ポリメラーゼ連鎖反応(iARMS-PCR) を導入した。

 概念実証として、iARMS-PCR/SBE翻訳とCas12a読み取りシステムを用いて、臨床的に一般的な上皮成長因子受容体(EGFR)のT790M変異を0.002%という低い変異体存在量で検出することに成功した。


2023-12-26 CRISPR-Cas12aを介した色相認識ラテラルフローアッセイ (LFA) によるサルモネラ・ティフィムリウムの検査法
[出典] "CRISPR–Cas12a-Mediated Hue-Recognition Lateral Flow Assay for Point-of-Need Detection of Salmonella " Yuan J [..] Xu X, Su B, Wang J. Anal Chem. 2023-12-18. https://doi.org/10.1021/acs.analchem.3c03753 [著者所属] 浙江工業大学, 浙江省农业科学院农产品质量安全与营养研究所;グラフィカルアブストラクト参照

 本アッセイ法では、Cas12aバイオセンサーの結果を、LFAのテストラインの蛍光色の変化を利用して判定する色相認識メカニズムに基づいて陽性サンプルと陰性サンプルの識別する。1時間以内に標的ゲノムDNAの視覚的検出限界1コピー/μLを達成し、また、新鮮な鶏肉サンプル中の標的に対して高い特異性を示し、市販のテストストリップよりも10倍優れた感度を示した。さらに、肉眼で0~4×1000 CFU/mLの標的を半定量的に検出することが可能であった。このアプローチは、サルモネラやその他の病原体のPON (point-of-need) 検出において、簡便、迅速、正確でユーザーフレンドリーなソリューションを提供する。

2023-12-25 核酸および非核酸ターゲットのオンサイト超高感度視覚的検出を実現する、スマートフォン支援ラベルフリーG-四重鎖DNA酵素ベースの化学発光CRISPR/Cas12aバイオセンシングプラットフォーム(G4CLCas)
[出典] "Universal smartphone-assisted label-free CRISPR/Cas12a-DNAzyme chemiluminescence biosensing platform for on-site detection of nucleic acid and non-nucleic acid targets" Chen H [..] Jiang Y, Tan Y. Biosens Bioelectron 2023-12-15. https://doi.org/10.1016/j.bios.2023.115929 [著者所属] 清華大学, 深圳职业技术大学

 G4CLCasは、G4 DNA酵素の切断を誘発するCas12aのトランス切断活性化に依存し、化学発光シグナルのオフ/オンをコントロールのそれと比較するプラットフォームである。また、化学発光シグナルは画像として取り込まれ、スマートフォン用イメージングカートリッジを用いて定量的に分析・可視化される。

 G4CLCasは、最適条件下で、エムポックス (サル痘) ウイルス (MPXV) DNAに対して、10~300aMの線形応答濃度範囲内で検出限界 8.6aM (約5.2コピー/μL) を達成し、スパイクされたサンプル中のウイルスDNAを正確に定量した。また、ATPを、
2–2000 μMの線形応答範囲、検出限界 84.3 nMにて検出した。


2023-12-24 細菌の定量を可能にするCas12aバイオセンサー・プラットフォーム - 磁性共有結合有機フレームワークとハイブリダイゼーション連鎖反応 (HCR) との融合
[出典] "A CRISPR/Cas12a-assisted bacteria quantification platform combined with magnetic covalent organic frameworks and hybridization chain reaction" Shi X [..] Wang J. Food Chem. 2023-12-15. https://doi.org/10.1016/j.foodchem.2023.138196 [著者所属] 吉林大学

 食品安全監督管理において総細菌数が食品汚染の重要な指標である。近年、核酸増幅と組み合わされたCRISPR/Cas12aバイオセンサーが、微生物検出においてますます大きな可能性を示しているが、総細菌数の一般的な定量化戦略はまだ開発されていない。

 中国の研究チームは今回、CRISPR/Cas12aシステムと共有結合性有機磁性フレームワーク (magnetic covalent organic frameworks: MCOFs) およびハイブリダイゼーション連鎖反応 (HCR) を組み合わせた高感度細菌定量法を確立した。

 本システムにおいて、MCOFは担体として働き、π-πスタッキングによってHCRトリガー配列であるssDNAを吸着する。次に、HCR回路が、さらなるシグナル増幅のためにCas12aのトランス切断活性を活性化するPAM配列を含むDNA二重鎖を生成する。

 最適な条件下で、提案された方法は、50分で、最小検出濃度10 CFU/mLにて、全細菌の定量を可能にし、食品サンプルへの応用にも成功した。


2023-12-23 DNA酵素Supernovaを利用して核酸と非核酸を検出可能にするラベルフリー化学発光CRISOR/Cas12aバイオセンサー
[出典] "Label-Free Chemiluminescent CRISPR/Cas12a Biosensing Strategy for the Detection of Nucleic Acids and Non-Nucleic Acids Utilizing DNAzyme Supernova" Qin C, Bian X, Lv W, Li B. Sens Actuators B Chem. 2023-12-13. https://doi.org/10.1016/j.snb.2023.135143 [著者所属] 江蘇第二師範学院, 徐州医科大学, Nanjing Lishui District Hospital of Traditional Chinese Medicine, 南京師範大学

 CRISRP/Cas12aバイオセンサーのレポータは通常、蛍光、比色、電気化学シグナルを出力し、しばしば低感度、高コスト、低安定性、限定された特異性に、課題を抱えている。この課題解決を目指して中国の研究チームは、"Supernova "として知られるDNA酵素に基づく、ラベルフリーの化学発光 (Chemiluminescent: CL) レポーターシステムを開発した。

 Supernovaは、1,2-ジオキセタン基質 (具体的にはCDP-Star) からその5'-OH末端へのリン酸の転移を触媒し、それによって光を発するCL反応を引き起こす。一方で、Cas12aは、標的によって活性化されると、Supernovaを切断し、CDP-Starとの反応を不活性化する。前増幅なしでも、このバイオセンサーは、サーズウイルス2のN遺伝子とサル痘ウイルス (MPXV) のF3L遺伝子に対応する合成DNAを、それぞれ1.5pMと2.4pMの検出限界(LOD)で検出可能である。これに、前増幅を組み合わせることで、実サンプルにおいて1コピー/μLまでのN遺伝子およびMPXV遺伝子の検出が可能となった。

 さらに、ATPアプタマーを組み込むことで非核酸の検出に展開可能であり、ATPの場合は、検出感度が蛍光アッセイから向上した。


2023-12-22 CRISPR/Cas12aの活性を,プログラム可能なアプタセンサーにより制御する

[出典] "Programmable Aptasensor for Regulating CRISPR/Cas12a Activity" Yu Y, Li Q, Shi W, Yang Y, He H, Dai J, Mao G, Ma Y. ACS Sens 2023-12-12. https://doi.org/10.1021/acssensors.3c01881 [著者所属] 西北農林科技大学, 中国科学院深圳先进技术研究院, 天津科学技術大学, 中国农业科学院农业基因组研究所

 CRISPRを介したアプタセンサーは、核酸以外の標的を検出するために普及してきた中で、S/N比の向上、汎用性の向上、検出範囲の拡大など、容易にカスタマイズ可能な設計の開発が急務となっている。中国の研究チームが今回、CRISPRを介したプログラム可能なアプタセンサー (CRISPR-mediated programmable aptasensor: CPAS) プラットフォームを発表した。

 このプラットフォームは、アプタマー配列、ロッカーDNA、crRNA認識領域からなる一本鎖DNAを含み、相補的ハイブリダイゼーションによってヘアピン構造を形成する。T4 DNAポリメラーゼを用いると、crRNA認識領域はステムループ伸長によって完全な二本鎖DNAに変換され、それによってCas 12aのトランス切断活性が活性化され、蛍光シグナル発生に至る [グラフィカアブストラクト参照]。

 標的分子がアプタマーに特異的に結合することで、ヘアピン構造の形成が阻害され、蛍光シグナルが変化する。注目すべきは、CPASプラットフォームは、crRNAの設計・調整を必要とせず、アプタマー配列とロッカーDNAを変更するだけで、簡単にカスタマイズできることである。ロッカーDNAの最適な塩基数は、サーズウイルス2のスパイク・タンパク質では7ヌクレオチド、ATPの場合は4ヌクレオチドとなった。

 CPASプラットフォームは、サーズウイルス2のスパイクタンパク質とATPの検出において高い感度を示し、ラテラルフローアッセイにつなぐことで、1時間以内の高感度検出が可能となり、ポータブル分析への優れた可能性が明らかになった。

2023-12-21 10:50AM 訂正:出典論文タイトルを取り違えていたため、以下のように差し替えました。また、記事のタイトルの誤字も訂正し、テキストを一部補いました。

2023-12-21 肺炎レンサ球菌と黄色ブドウ球菌の新規で高感度かつハイスループットなアプローチ
[出典] "CRISPR-Cas12a powered hybrid nanoparticle for extracellular vesicle aggregation and in-situ microRNA detection""Multi-aptamer–mediated hairpin allosteric and aptamer-assisted CRISPR system for detection of S. pneumoniae and S. aureus" Zhang L [..] Li B, Liu J. Mikrochim Acta. 2023-12-14. https://doi.org/10.1007/s00604-023-06094-2

[著者所属] 西南医科大学, Sichuan Province Engineering Technology Research Center of Molecular Diagnosis of Clinical Diseases, Molecular Diagnosis of Clinical Diseases Key Laboratory of Luzhou


 中国の研究チームが今回報告する蛍光アッセイシステムでは、標的細菌へのアプタマーの結合によるヘアピン・アロステリック効果を利用して、まずFRETによる蛍光の変化によって肺炎球菌の検出を行う。その後、Cas12aのコラテラル活性を利用したシグナル増幅を介して黄色ブドウ球菌を検出する。 


 最適化された条件下で、黄色ブドウ球菌の検出において102~107コロニー形成単位(cfu)/mLの直線範囲を実現し、また、脳脊髄液および牛乳中のスパイク回収率は92.0~110%に達した。この方法は、簡単な前処理、高い検出感度、費用対効果、現場での検出への適応性など、さまざまな利点を備えており、他の食品由来病原体検出の参考となる。

2023-12-20
RNase H駆動crRNAスイッチ回路を開発し、多様な分析ターゲットの迅速かつ高感度な検出へと応用
[出典] "RNase H-Driven crRNA Switch Circuits for Rapid and Sensitive Detection of Various Analytical Targets" Li H-D [..] Yin B-C. Anal Chem 2023-12-10. https://doi.org/10.1021/acs.analchem.3c04267 [著者所属] 華東理工大学, 石河子大学, 浙江工業大学

 CRISPR/Cas12aバイオセンサーを核酸以外の分子検出に展開する試みが多々なされているが、中国の研究チームが今回、crRNAを切り替える新たなアプローチを報告した。

 研究チームが開発したcrRNAスイッチは、初期状態はブロックされた状態をととっている。シグナル・レポーターとして機能する標的分子に誘導されるDNAトリガーの存在下で、crRNAスイッチが活性化し、ひいては、Cas12aのトランス切断活性が活性化される。続いて、RNase HがDNAとRNAのヘテロ二重鎖を加水分解し、DNAトリガーが再生され、より多くのcrRNAスイッチを活性化するに至る [グラフィカルアブストラクト参照]。

 このRNase H駆動crRNAスイッチ回路の導入によって、p53配列、トロンビン、アデノシン三リン酸を効果的に感知する汎用的で高感度なシステムが実現した。

2023-12-19 カンキツトリステザウイルスのナノポアシーケンシングによる同定とCas12aバイオアッセイ砲による迅速検出
[注] カンキツトリステザウイルス (Citrus Tristeza Virus: CTV)
[出典] "Idenntification of an Isolate of Citrus Tristeza Virus by Nanopore Sequencing in Korea and Development of a CRISPR/Cas12a-based Assay for Rapid Visual Detection of the Virus" Kim H-J, Cho IS, Choi S-R, Jeong R-D. Phytopathology 2023-12-11. https://doi.org/10.1094/PHYTO-10-23-0354-R [著者所属] 全南大学校, National institute of horticultural and herbal science (韓国)

 韓国の研究チームは今回、オックスフォード・ナノポア・シーケンシングを利用して、ウンシュウミカンから柑橘類に重大な脅威を与えるCTVを検出し、続いて、RPA法による増幅とCRISPR-Cas12aの組み合わせで、CTVの特異的かつ高感度な検出アッセイを実現した。

 本アッセイ法は、CTVに対して優れた特異性を示し、感度は従来のRT-PCRの少なくとも10倍を上回った。また、偽陰性がゼロであり、野外サンプルからのCTV検出も実証された。


2023-12-18 多相水系を用いたRPAとCRISPR/Cas12aによるエムポックス (サル痘) ウイルスの超高感度ワンポット検出

[出典] "Ultrasensitive one-pot detection of monkeypox virus with RPA 
and CRISPR in a sucrose-aided multiphase aqueous system" Wang Y, Tang Y [..] Wang P, Gao S. Microbiol Spectr 2023-12-11. https://doi.org/10.1128/spectrum.02267-23 [著者所属] 江蘇海洋大学, 南京師範大学

 エムポックスウイルスは、WHOにより「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態 (Public Health Emergency of International Concern: PHEIC)」として宣言され、現在も世界中で感染者が発生している [*]

 ウイルスの進化リスクを考えると、サル痘ウイルス感染をタイムリーに同定し、アウトブレイクを防ぐことが不可欠である。RPA-CRISPR中国の研究チームは今回、スクロース補助多相水系をベースとするエムポックスウイルスの新規なワンポットRPAーCRISPR/Cas12aアッセイ系を開発し、従来のワンポット法より10倍高い1コピーの超高感度を達成し [FIG. 1引用右図参照]。
エムポックスと他のオルソポックスウイルス属ウイルスを効果的に識別可能である。この検出法は37℃で60分以内に完了し、検出結果は、紫外線または青色光下で肉眼で観察することができ、家庭や限られた医療環境に適している。

 本研究は、Cas12aトランス切断反応とRPA反応との間の適合性を改善することで、良好な特異性、正確性、ポイント・オブ・ケア検査に重要な迅速性と利便性を実現し、また、多相水系を用いてワンポットRPA-CRISPR検出法を確立した例となった。


[*] 日本では、2023年11月にエムポックス感染による死亡例が発生した [NHK NEWS WEB 2023-12-13 20:39] 。埼玉県の30代の男性で、HIV感染による免疫不全であったところ、9月にエムポックス感染が確認されたとのことである。また、国内での感染は2022年7月に初めて確認され、12月3日までに227人の感染が確認されているとのことである。

2023-12-17Cas12aによるPRV感染ブタとPRVワクチン接種ブタの迅速かつ高感度な鑑別[注] PRV (Pseudorabies virus / 仮性狂犬病ウイルス
[出典] "Fast and sensitive differential diagnosis of pseudorabies virus-infected versus pseudorabies virus-vaccinated swine using CRISPR-Cas12a" Wang H, Li H [..] 
Yue M, Li Y. Microbiol Spectr. 2023-12-11. https://doi.org/10.1128/spectrum.02617-23 [著者所属] 浙江大学动物科学学院, 浙江大学海南研究院, Institute of veterinary immunology and engineering (南京), 浙江大学医学院, Zhejiang Provincial Key Laboratory of Preventive Veterinary Medicine.


 PRVの感染はブタの高い死亡率・流産率を引き起こすことから、世界的にPRVに対する大規模な弱毒生ワクチンの接種と撲滅政策が採用されており、その運用上、感染ブタとワクチン接種ブタの迅速・高感度な鑑別診断法が求められている。

 中国の研究チームは今回、Cas12aバイオセンサーに多酵素等温迅速増幅法 (multienzyme

isothermal rapid amplification: MIRA) を融合することで、高速 (qPCRの半分の時間) でqPCR)に匹敵する優れた感度でPRVを鑑別可能なことを示した。また、MIRA-Cas12a法は持ち運びが可能であり、手順も簡便であるため、資源に乏しい環境においても臨床診断への導入が容易である。


2023-12-16
Cas13aに光刺激シグナル増強戦略を導入することで、miRNAの超高感度かつ特異的な検出を実現

[出典] "Light-Triggered Signal Enhancement Strategy Integrated with a CRISPR/Cas13a-Based Assay for Ultrasensitive and Specific miRNA Detection" Hu T [..] Chen C. Anal Chem. 2023-12-11. https://doi.org/10.1021/acs.analchem.3c04487 [著者所属] 浙江大学医学院, 杭州医学院, 上海交通大学, 済南大学

 中国の研究チームが今回開発したLEXPA-CRISPR (a light-triggered exponential amplification strategy coupled with a CRISPR/Cas13a-based diagnostic system)は、標的のmiRNAによって活性化されるCRISPR/Cas13aのトランス切断を利用して、磁気ビーズMB@PC-NACアセンブリー内の特定のRNA断片を切断し、光切断性 (photocleavable)リンカー (PCリンカー)によって修飾していた一本鎖DNA (PC-ssDNA) がアセンブリーから遊離し、そこに紫外線を照射することで、新しい5′リン酸基を持つオリゴ (Pho-ssDNA) が瞬時に生成され、このPho-ssDNAがローリングサークル増幅 (RCA) 反応のトリガーとして機能し、強い蛍光シグナルを持つ様々な長さの長いssDNAリピートが数千個生成されるという、一連の反応をベースにしている [グラフィカルアブストラクト 参照]。

 LEXPA-CRISPRの最適化を経て、miR21を標的として、前増幅なしで、検出限界1fMを達成した。さらに、miRNAを認識するガイドRNA (crRNA) 配列を変更するだけで、miR17の検出も実現し、miR21とmiR17の双方について、標準的なqRT-PCR法と整合する結果を得た。


2023-12-15
プライマー交換反応(PER) カスケードとCas14a (Cas12f) コラテラル活性にAu電極上のssDNA-磁気ビーズを組み合わせた電気化学的バイオセンサーによるctDNAからのEGFR L858Rバリアントの定量的検出
[出典] "PER-CRISPR/Cas14a system-based electrochemical biosensor for the detection of ctDNA EGFR L858R" Qi J, Qi Q [..] Chen L, Wang F. Analytical Methods 2023-12-07. https://doi.org/10.1039/D3AY01615Cグラフィカルアブストラクト 
 ctDNA (血中循環腫瘍DNA )からNSCLCのバイオマーカであるEGRFバリアントの検出限界 0.34 fMと検出範囲 1 fM ~ 1 μM を達成

2023-12-12
G-四重鎖を利用してCRISPR/Cas12aバイオセンサーを強化し, APLに見られるPML/RAPA融合遺伝子の超高感度検出を実現
[注] APL (acute promyelocytic leukemia / 急性前骨髄球性白血病)
[出典] "Harnessing intermolecular G-quadruplex-based spatial confinement effect for accelerated activation of CRISPR/Cas12a empowers ultra-sensitive detection of PML/RARA fusion genes" Wang X, Zheng D [..] Xia J. Anal Chim Acta 2023-12-06. https://doi.org/10.1016/j.aca.2023.342108 [著者所属] 福建医科大学, 福建省婦幼保健院, 福建児童病院, Fujian Children's Hospital, 阜陽師範大学;グラフィカルアブストラクト

 APLにおいては、PML/RARAの3つのアイソフォームを正確に検出し分類することが、疾患の進行を予測し、リスクを層別化し、的確な薬物療法を行うために極めて重要である。中国の研究チームは今回、3つの主要なPML-RARAアイソフォームのロングアイソフォームを一定温度で定量できる特異性の高い核酸検出プラットフォームを開発した。

 このプラットフォームは、CRISPR/Cas12aコラテラル活性を利用したシグナル増幅法とローリングサークル増幅法 (RCA) の長所を統合したものであるが、特筆すべきは、CRISPR/Cas12aコラテラル活性に、分子間G-四重鎖構造を利用した空間的閉じ込め効果が組み込んだことである。

 この設計により、CRISPR/Cas12aの局所濃度が効果的に高められ、レポーター核酸に対する切断効率が向上し、分光法によるPML/RA融合遺伝子の発現検出を可能にした。ヒト血清サンプルからPML/RA融合遺伝子を確実に検出した。

2023-12-11
急性心筋梗塞のPOC診断を、CRISPR/Cas12aをベースとするプラグアンドプレイ・スマート・トランジスター・バイオ・チップで実現
[注] 急性心筋梗塞 (acute myocardial infarction: AMI);POC (point of care)
[出典] "Plug-and-play smart transistor bio-chips implementing point-of-care diagnosis of AMI with modified CRISPR/Cas12a system" Hu X, Li J [..] Zhang Z-Y, Zhang G-J. Biosens Bioelectron. 2023-12-05. https://doi.org/10.1016/j.bios.2023.115909 [著者所属] 湖北中医薬大学, 湖北医薬学院, 北京大学, 武漢亜心総医院, 湘潭大学

 AMIは極めて致死的な疾患であり、救命時間が数時間しかないため、ポイント・オブ・ケアでの診断が重要かつ緊急に求められている。中国の研究チームが今回、AMIの最も特異的で貴重なバイオマーカーの1つである心筋トロポニンI (cTnI)を超高感度でオンサイト検査可能とするバイオチップを開発した。

 具体的には、DNA三重鎖 (G3)レポーターを特徴とする改良型のCRISPR/Cas12aバイオセンサーにスマートフォンでの読み出し装置を備えたプラグアンドプレイのカーボンナノチューブ電界効果トランジスタ (carbon nanotube field effect transistor: CNT-FET) を組み合わせて、非核酸分子であるAMIの高感度検出 (検出限界 0.33fg/mL)を実現した。また、Y2O3/HfO2からなる二層ゲート絶縁膜をパッシベーション [半導体用語集] 処理に採用することで、CNT-FETの高い環境安定性と再現性を実現した。


2023-12-10
オウム病クラミジアの検出を可能にするLAMP/Cas12bプラットフォーム (二段階版とワンチューブ版) を開発
[
出典] "Engineering of the LAMP-CRISPR/Cas12b platform for Chlamydia psittaci detection" Wang R [..] Wang F. J Med Microbiol. 2023-12-06. https://doi.org/10.1099/jmm.0.001781 [著者所属] 南京医科大学, 常州市疾病預防控制中心
 C. psittaci のCPSIT_0429遺伝子を標的とする特異的なLAMP増幅プライマーとsgRNAを利用することで、C. psittaci 以外のテンプレートからの交差反応性は観察されなかった。2段階および1チューブのLAMP-CRISPR/Cas12b反応の検出限界は、それぞれ102 aMおよび103 aMに達した。研究室に保管されていたC. psittaci が疑われる80検体を含む160検体の臨床サンプルを対象とする判定結果は、qPCRによる結果と一致した。本研究で開発されたLAMP-CRISPR/Cas12bアッセイは、C. psittaci の迅速診断に有用である。

2023-12-08
CRISPR/Cas12aコラテラル活性を介したナノ粒子電荷密度制御に基づくヒトパピローマウイルスDNAの電気化学発光バイオセンサー

[出典] "Electrochemiluminescence Biosensor for Human Papillomavirus DNA Based on Nanoparticle Charge Density Regulation through a Target Activated CRISPR/Cas12a System" Chen M [..] Lin Z. ACS Appl Nano Mater. 2023-12-01. https://doi.org/10.1021/acsanm.3c04854 [著者所属] 福州大学, 杭州師範大学;グラフィカルアブストラクト

 中国の研究チームが、ナノ粒子の負電荷がナノ粒子の「負電荷を帯びた酸化インジウムスズ (indium tin oxide: ITO) 電極」への拡散に影響する現象と、CRISPR/Cas12aのコラテラル活性を介したシグナル増幅とを組み合わせて、モデル標的としてのヒトパピローマウイルス16 (HPV16) DNA検出用の電気化学発光(ECL)バイオセンサーを開発した。ECLプローブとして、 トリス(2,2′-ビピリジル)ジクロロルテニウム(II) 六水和物をドープしたSiO2ナノ粒子(Ru@SiO2 NPs)の表面を、注意深く設計したヘアピンプローブ (HP) で修飾する設計を選択した。

 標的が存在すると、Cas12aのコラテラル活性が活性化され、HPの一本鎖領域が切断され、Ru@SiO2表面から分離され、その結果、粒子の負電荷が減少し、システムのECLシグナルが増強される。

 ECLシグナルは、最適条件下で3.4fM(S/N = 3)を限界として、10fM-10nMの範囲でHPV 16 DNA濃度の対数と直線的に相関し、このバイオセンサーは、実サンプル中のHPV16 DNAの検出においても卓越した性能を示した。

2023-12-07
CRISPR/Cas12aで化学発光共鳴エネルギー移動 (CRET) センサーによる 癌胎児性抗原
[出典] "CRISPR/Cas12a controlled chemiluminescence resonance energy transfer sensor for detection of carcinoembryonic antigen (CEA)" Zhou Y [..] Zhang X, Liu Y. Sens Actuators B Chem. 2023-12-02. https://doi.org/10.1016/j.snb.2023.135094 [著者所属] 青島科学技術大学, 中国科学院海洋学研究所, 中国科学院海洋大科学研究中心, 青島大学附属医院;グラフィカルアブストラクト

 中国の研究チームが報告するCRETプローブは、一端にヘミン/グアニン四重鎖 (G4)、他端にCdSe/ZnS量子ドット(QDs)ナノスフィアを有する一本鎖DNA(ssDNA)であり、CRISPR/Cas12aシステムのトランス切断の基質として使用される。CRETプローブの一端のヘミン/G4は、過酸化水素存在下でルミノールの酸化 (ルミノール発光) を触媒する。

 ルミノール発光 (化学発光) は、ナノスフェアに内包されたCdSe/ZnS QDを励起し、CRETを生成するに至る。標的CEAが磁気ビーズ (MB) 表面の二重アプタマーを特異的に同定すると、アプタマーの一つの末端配列がハイブリダイゼーション連鎖反応 (HCR) を引き起こし、その産物がCRISPR/Cas12aのトランス切断活性を起動し、ssDNAが切断されCRETが壊れ、ひいては、QDsナノスフェアの発光が低下する。 

 CRETセンサーの検出限界は5.6 pg/mLに達し、また、操作が簡単で外部光源を必要としないことから、様々なターゲットのPOCT (Point-of-Care Testing) に適している。

2023-12-06_3 
[crisp_bio記事]
CRISPR-Cas13aを用いた一塩基ミスマッチ感度の高い超特異的RNA検出のための新しい設計戦略
https://crisp-bio.blog.jp/archives/34118126.html

2023-12-06_2 [crisp_bio記事]
RNAを介したアロステリック活性化の解明から, CRISPR-Cas13aの機能的ホットスポットが明らかに 
https://crisp-bio.blog.jp/archives/34118191.html


2023-12-06_1
家蚕微粒子病々原体Nosema bombycis  の検出: マルチプレックスcrRNAを組み合わせることで増幅フリーなCRISPR/Cas12aバイオセンサーを実現
[出典] "Harnessing multiplex crRNA enables an amplification-free/CRISPR-Cas12a-based diagnostic methodology for Nosema bombycis" Zhang H [..] Zhou Z. Microbiol Spectr 2023-11-28. https://doi.org/10.1128/spectrum.03014-23 [著者所属] 西南大学, 重慶師範大学
 Cas12aに、N. bombycis のリボソームDNAを標的とする多重なcrRNAを組み合わせることで、前増幅無しで、検出限界 2 pgを達成した。