[出典] Review "Nanoparticle-Mediated Delivery of Non-viral Gene Editing Technology to the Brain" Williams L, Larsen J. Prog Neurobiology. 2023-11-30. https://doi.org/10.1016/j.pneurobio.2023.102547 [著者所属] Clemson U

　神経疾患は個人と社会に大きな負担をもたらし、世界中で数百万人に広がっている。アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病などを含む多様な神経疾患は、治療の選択肢が限られていることが多く、進行性の変性や障害を引き起こすリスクを伴っている。

　遺伝子編集技術は、神経疾患の原因となる遺伝子変異を修正するという根本的な治療の可能性を、秘めている。しかし，遺伝子編集技術を神経疾患に適用するためには，そのツールを標的領域へと効率的に送達する方法が不可欠である。

　中枢神経系には血液脳関門があり、大きな分子の侵入が制限されるため、治療法の開発には独特の課題がある。遺伝子導入には従来ウイルスベクターが用いられてきたが，ナノ粒子を介した導入などの非ウイルス導入法は，遺伝子編集成分を効率的に輸送できる，より安全な代替手段を提供する。

　本レビューは、神経疾患に対する非ウイルス性治療法として、3種類の主要な遺伝子編集ヌクレアーゼ (ZFN, TALEN, CRISPR/Cas9)、脳を標的とする送達に対する障壁、および脳特異的送達に用いられる現在の非ウイルス性技術を紹介することを目的とする。