1.[論文]CRISPR/Cas9によるFoxn1ノックアウトによりNOD/SCID/IL2rg/ヌードマウスを作出

  • [出典] “CRISPR/Cas9-Mediated Deletion of Foxn1 in NOD/SCID/IL2rg/ Mice Results in Severe Immunodeficiency.” Wei X, Lai Y, Li B, Qin L, Xu Y, Lin S, Wang S, Wu Q, Liang Q, Huang G, Deng Q, Liu P, Wu D, Lai L, Yao Y, Li P. Sci Rep. 2017 Aug 10;7(1):7720.
  • 免疫不全マウスにヒトの正常細胞あるいは癌細胞の移植する手法が、基礎研究から臨床研究まで広く活用されている。しかし、体毛によって移植組織の観察・可視化が損なわれる問題が残っていた。
  • 今回、CRISPR/Cas9NOD/SCID/IL2rg/(NSI) マウスのFoxn1をノックアウトし、NOD/SCID/IL2rg/ヌードマウス(NSIN)を作出し、in vivo可視化を実現した。
  • NSINは、B/T/NK細胞を欠損し、同種異系骨髄有核細胞移植後のT細胞再構成と胸腺再生が損なわれ、加えて、白血病と固形腫瘍の移植効率がNSI, NOGおよびNGDマウスよりも高い。

2.FokI-dCas9を利用したブタGGTA1遺伝子座への抗CD2モノクローナル抗体遺伝子導入 

  • [出典] “Targeted insertion of an anti-CD2 monoclonal antibody transgene into the GGTA1 locus in pigs using FokI-dCas9.” Nottle MB, Salvaris EJ, Fisicaro N, McIlfatrick S, Vassiliev I, Hawthorne WJ, O'Connell PJ, Brady JL, Lew AM, Cowan PJ. Sci Rep. 2017 Aug 16;7(1):8383.
  • 移植ヒト臓器の需要を満たす方策として、ブタからの異種移植が模索されており、CRISPR/Cas9によって拒絶反応を誘起するブタ遺伝子のサイレンシングも試みられた。今回初めて、Cas9よりもオフターゲット変異生成率が低い第2世代ヌクレアーゼFokI-dCas9によるブタ遺伝子編集を試みた。
  • FokI-dCas9と一対のgRNAsを利用して、ブタの胎児線維芽細胞のGGTA1遺伝子の第9エクソンに7.1k-bpの遺伝子を導入することで、αGal異種抗原の発現を欠損させ、かつ、導入遺伝子にコードしていた抗CD mAbを分泌させた。編集した細胞の体細胞核移植により、αGalを欠損し抗CD2を血清に含む健康なノックイン雄子ブタを作出。

3.[論文] CRISPR Cas9によるASIP遺伝子破壊を介してヒツジの毛色を改変する

  • [出典] “Alteration of sheep coat color pattern by disruption of ASIP gene via CRISPR Cas9.” Zhang  X, Li W, Liu C, Peng X, Lin J, He S, Li X, Han B, Zhang N, Wu Y, Chen L, Wang L, Yila M, Huang J, Liu M. Sci Rep. 2017 Aug 15;7:8149.
  • Cas9-sgRNAの受精卵へマイクロインジェクションにより遺伝子編集。ヒツジの毛色がASIP遺伝子内の標的領域の削除、CRISPR/Cas9編集に伴い標的領域上流に誘導される変異およびASIP遺伝子重複の組合せに依存することを見出した。
    sheep coat color