crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[出典] Spotlight "Toward a CRISPR understanding of gene function in human brain development" Li E, Kampmann M. Cell Stem Cell. 2023-12-07. https://doi.org/10.1016/j.stem.2023.11.005 [著者所属] UCSF

 シングルセル空間トランスクリプトーム解析や、全エクソーム解析およびゲノムワイド関連解析 (GWAS) といったツールを利用して、特定の遺伝子変異については神経発達障害 (neurodevelopmental disorders: NDD) のリスクとの関連について理解が進んできたが、一連のNDD関連遺伝子が神経発達に影響を及ぼす分子機構についての体系的な理解は不十分であった。ヒトiPS細胞 (hiPSC) 由来の脳オルガノイドなどのin vitroモデルは、ヒト特有の神経発生を再現しやすい系であり、ゲノム編集と組み合わせることで、脳の発達における個々の遺伝子の役割を明らかにすることが可能にしたが、ゲノムワイドでの遺伝子解析が不可能であったことや、脳オルガノイドの表現型が多様であったことによって、体系的な解析には未だ限界があった。

 2023年9月と10月にNature 誌に掲載された2つの研究 [*1、2] において、自閉症スペクトラム障害 (ASD) やその他の神経難病に関連する遺伝子の機能的意義を明らかにするためのツールボックスが拡張された。著者らはin vitroのhiPSC由来脳オルガノイドおよびアセンブロイドモデルと、プール型CRISPR遺伝子スクリーニングを組み合わせることで、ASDやその他のNDDに関連する遺伝子のノックアウトが神経発達に及ぼす影響を、より網羅的かつハイスループットで、体系的に探ることが可能なことを示した。
[注] Spotlight記事では、これに続いて、2論文の手法と成果がまとめられている。crisp_bioでは、2論文を以下の記事にて紹介した。

[*] crisp_bio紹介記事
2023-09-20 脳オルガノイド・シングルセルCRISPR機能喪失スクリーニングにより自閉症における発達障害を探った;"Single-cell brain organoid screening identifies developmental defects in autism" Li C, Fleck JS [..] Treutlein B, Knoblich JA. Nature 2023-09-13. https://doi.org/10.1038/s41586-023-06473-y 
2023-10-03 脳アセンブロイドにおけるCRISPRスクリーンにより, 介在ニューロンの生成や移動に関与する一連の遺伝子を同定 ;"Assembloid CRISPR screens reveal impact of disease genes in human neurodevelopment" Meng X [..] Pașca SP. Nature 2023-09-27. https://doi.org/10.1038/s41586-023-06564-w

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