crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[注] 原発性高シュウ酸尿症1型 (primary hyperoxaluria type 1: PH1)
[出典] "In vivo base editing rescues primary hyperoxaluria type 1 in rats" Chen Z, Zhang D, Zheng R [..] Xu G, Li D, Geng H. Kidney Int. 2023-12-02. https://doi.org/10.1016/j.kint.2023.11.029 [著者所属] 復旦大学附属児科医院, 上海交通大学医学院附属新華醫院, 華東師範大学;グラフィカルアブストラクト 
 
 PH1は、小児期発症の常染色体劣性遺伝性疾患であり、腎石灰沈着症、多発性再発性尿中シュウ酸カルシウム結石、進行性腎障害の高いリスクを特徴とする。PH1は、アラニン・グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ (AGXT ) 遺伝子の先天的な遺伝子異常によって引き起こされる。

 中国の研究チームは、DNA二重鎖切断 (DSB) を経ずに、A:TをG:Cへと正確に変換するアデニン塩基エディター (ABE) による病因変異の修復を試みた。具体的には、スプリット型ABE8eをコードする2種類のアデノ随伴ウイルスを全身投与することで、PH1ラットモデルであるAgxt <Q84X>ラットの病原性アレルの13%が修復され、疾患表現型が緩和されることが、示された。

 ABEによって、AGXT 遺伝子がコードするAGTタンパク質 の発現が部分的に回復し、内因性シュウ酸合成が減少し、シュウ酸カルシウム結晶沈着も減少した。ウェスタンブロットと免疫組織化学の結果、ABE8eの投与により肝細胞におけるAGTタンパク質の発現が回復したことが確認された。さらに、肝臓における正確な編集効率は、治療後6ヶ月間安定したままであった。

 本研究によりPH1に対して、変異Agxt 遺伝子を生体内で直接修正することによる個別化精密医療の可能性が示された。
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット