[出典] SPECIAL ISSUE REVIEW "The emerging era of cell engineering: Harnessing the modularity of cells to program complex biological function" Lim WA. Science. 2022-11-24. https://doi.org/10.1126/science.add9665 [著者所属] Cell Design Institute and Department of Cellular and Molecular Pharmacology (UCSF)

 細胞工学の新時代が到来しつつある。そこでは生きた細胞が、治療上の課題に対処するためのビルディング・ブロックとして用いられる。これまでの分子工学 (molecular engineering) では焦点が治療薬として個々の遺伝子やタンパク質を最適化することに合わせられていた。新時代の細胞工学は、生体内でより高次の生理学的機能を達成するために、分子要素 (molecular components) を細胞の意思決定とコミュニケーションを再プログラムするためのモジュールとして利用することを目指す。この細胞中心のアプローチは、細胞が体内のどこに行くべきか、どのような他の細胞と相互作用すべきか、互いにどのようなメッセージを送受信すべきか、といった細胞レベルでの機能を操作するツールキットが増えてきたことによって可能になったきた。

 細胞工学の威力は、癌細胞を殺すように設計された免疫細胞が臨床応用されて始めたことで、すでに実証されている。しかし将来に向けて、ゲノム編集技術をはじめとるする細胞操作技術を利用して、自然に進化してきた細胞と同程度の精度と信頼性で、有用な機能を遂行するように細胞をプログラムすることを、私たちはどのように学んでいくのだろうか? 細胞工学が適用できる治療対象を、どのように癌や免疫以外にも広げていくのだろうか? 免疫を逃避する腫瘍を排除する免疫細胞の設計であろうと、新しい臓器へと再生する細胞群の設計であろうと、細胞の機能を設計・操作していくベースとなる一連の普遍的な原理、コンポーネント、アプローチを探っていくことになるだろう。

[構成]
・Programming new biological function: Connecting cellular building blocks
・Toward a universal tool kit for cell engineering: Learning to push a cell’s buttons
・Immune engineering and cancer: Lead applications
・Expanding the therapeutic scope of cell engineering
 Box 1. Examples of potential future challenges in therapeutic cell engineering.
・Advantages of engineered cells over molecular-scale interventions
・Outlook
・Acknowledgments
・References and Notes (32件)