2024-01-05 22:25 記事タイトルを修正:「他のCRISPR-Dx遺伝子編集ツール」から「他のCRISPR遺伝子編集ツール」へと修正 
[注] epegRNA (engineered pegRNA): オリジナルのpegRNAの3'末端に,RNA分解酵素に分解されないRNAモチーフ組み込むことで安定性を高めたpegRNA [*]
[出典] "Prime editing in mice with an engineered pegRNA" Salem AR, Bryant WB, Doja H et alVascul Pharmacol 2023-12-27. https://doi.org/10.1016/j.vph.2023.107269 [著者所属] Medical College of Georgia at Augusta U.

 タンパク質のミスセンス変異は、タンパク質の機能を阻害する可能性がある。例えば、タンパク質のリン酸化を阻害する変異は、下流のシグナル伝達カスケードの調節不全を引き起こす可能性がある。カルパイン-2 (Calpain-2: CAPN2) はユビキタスに発現するカルシウム依存性システインプロテアーゼであり、脳卒中、てんかん、神経変性疾患、老化など様々な病態で発現が上昇する。

 CAPN2のセリン50でのリン酸化は、肺動脈性肺高血圧症 (PAH) のヒト患者やPAHの動物モデルの血管平滑筋細胞で増加している。さらに、血管平滑筋のCapn2 を欠損させると、PAHの発症と進行が停止する。著者らは、epegRNA-PEを利用することで、マウスにおいてCapn2  のSer50の非同義置換することに成功した。さらに、リポ多糖処理した肺組織のウェスタンブロットと組織学的解析から、それぞれCAPN2のリン酸化が減少し、炎症が顕著に緩和したことも明らかになった。

 これらの結果は、動物モデルにおける生殖細胞系列伝達のためのpegRNAの最初の成功例を示すものであり、従来の3成分CRISPRや従来のpegRNA-PEでは編集が困難と思われる、発生に不可欠な遺伝子を標的とする解決策を提示した。

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