[出典] "Glycosylase-based base editors for efficient T-to-G and C-to-G editing in mammalian cells" Ye L, Zhao D, Li J [..] Zhang X, Bi C. Nat Biotechnol 2023-01-02. https://doi.org/10.1038/s41587-023-02050-w [著者所属] 中国科学院天津工业生物技术研究所, 中国科学院大学, 中国科学院天津工业生物技术研究所, 天津师范大学, 天津科技大学
塩基エディターはヒトの遺伝性疾患の治療に有望であるが、現在のエディターの多くはデアミナーゼに依存し、それゆえに、オフターゲット効果や、塩基変換のモードが限られるという課題を伴っている。中国の研究チームは今回、デアミナーゼに依存しない塩基エディターを開発した。すなわち、Cas9ニッカーゼにそれぞれシトシン-DNAまたはチミン-DNAグリコシラーゼ (CDGまたはTDG) のバリアントを融合したシトシンおよびチミンを対象とするデアミナーゼフリーな (DeAminase-Free) 塩基エディター (DAF-BE: DAF-CBEとDAF-TBE)を実現した。
大腸菌を用いた指向性進化による複数回の突然変異誘発により、塩基変換能が増強された2種類のバリアント、CDG-nCas9とTDG-nCas9、を生成した [Fig. 1: Design and evolution of CDG-nCas9/TDG-nCas9 in E. coli 引用右図参照]。その効率はC-to-Aで最大58.7%、T-to-Aで最大54.3%であった。DAF-BEのDNAオフターゲット効果は、Cas9依存性およびCas9非依存性ともに最小限であり、RNAオフターゲット効果も最小限であった。
DAF-BEによって、哺乳類細胞におけるC-to-G/T-to-G編集を達成し、さらに、操作を加えて、DAF-CBE2/DAF-TBE2を得た。これらは、プロトスペーサーの5′末端から中央部にかけての編集ウィンドウを示し、C-to-G/T-to-G編集効率をそれぞれ3.5倍および1.2倍へと向上させた。プライムエディター (PE) やCGBEと比較すると、DAF-BEは同様の効率を、より小さなサイズ、より低いオフターゲット効果で、塩基編集を実現する。
コメント