[注] 労作後倦怠感 (post-exertional malaise, PEM)
[出典] "Muscle abnormalities worsen after post-exertional malaise in long COVID" Appelman A, Charlton BT [..] van Vugt M, Wüst RCI. Nat Commun. 2023-01-04. https://doi.org/10.1038/s41467-023-44432-3 [著者所属] Amsterdam UMC location U Amsterdam, Amsterdam Institute for Infection and Immunity, Vrije U Amsterdam, Amsterdam Movement Sciences, Amsterdam UMC location Vrije U Amsterdam, Amsterdam Cardiovascular Sciences, Hospital de Santa Maria, U Lisbon, Flevoziekenhuis - Almere.

 サーズウイルス2に感染した患者のサブグループは、感染後3ヵ月以上経過しても症状が残っている。こうしたロングCOVID患者の症状の特徴として労作後倦怠感 (PEM) が挙げられる。PEMは急性の精神的または身体的運動後の疲労や疼痛関連症状の悪化と関連しているが、その基礎となる病態生理学は不明である。

 アムステルダムを主とする研究チームが今回、縦断的症例対照研究 (NCT05225688) [*] により、長期のCOVID患者における労作後倦怠感の病態生理学に関する新たな知見を得た。
[*] "Skeletal Muscle in PASC and ME/​CFS Patients" (sponsor Academisch Medisch Centrum - Universiteit van Amsterdam (AMC-UvA)) https://clinicaltrials.gov/study/NCT05225688PASC (Post-Acute Sequelae of SARS-CoV-2 Infection); ME/CFS (Myalgic encephalomyelitis/chronic fatigue syndrome)
  • ロングCOVID患者と群と対照群を対象に、最大運動負荷試験の前後に血液と骨格筋の生検を行った。
  • ロングCOVID患者25名からのデータと、対照群 (軽症のサーズウイルス2感染から完全に回復しロングCOVID患者群と年齢と性別を一致させた21人)からのデータを比較解析した。
  • WHOが設定した基準に基づいてロングCOVIDを判定したが、その中で、最も重要な基準は労作後倦怠感の存在であった。
  • 両群とも、PCRで証明された最初にサーズウイルス2に感染する以前は健康で社会的活動を行っていた。また、感染により入院した参加者はいなかった。
  • 疲労アンケートと試験データから、ロングCOVIDが日常生活に与える影響が確認された。
  • 骨格筋の構造が患者の運動能力の低下と関連していること、ロングCOVID患者の骨格筋における局所的および全身的な代謝障害、重度の運動誘発性ミオパシー、アミロイドを含む沈着物の組織浸潤が、労作後倦怠感の誘発後に悪化することを見出した。
 今回、ロングCOVIDにおける労作後倦怠感の症状を諸事象と関連づけて理解できたが、労作後倦怠感に罹患している患者に見られる変化の分子機構の解明は、今後の課題として残った。