[出典] "Engineered virus-like particles for efficient in vivo delivery of therapeutic proteins" Banskota S, Raguram A [..] Liu DR. Cell 2022-01-11. https://doi.org/10.1016/j.cell.2021.12.021 [著者所属] Broad Institute, Harvard U, UC Irvine, Case Western Reserve U, Perelman School of Medicine (Penn), U Minnesota.
遺伝子編集因子をリボ核タンパク質 (RNP)として生体内に送達する方法は、核酸として送達する方法よりも、オフターゲット編集が抑制され、安全性に優れている可能性がある。David R. Liuの研究チームは今回、塩基エディターやCas9のRNPを効率的にパッケージングし送達可能としつつ、DNAを含まないウイルス様粒子 (engineered DNA-free virus-like particles: eVLP) の開発と応用を報告した。
送達するカーゴのパッケージング、放出、局在化のボトルネックを克服するようにVLPを設計することで、いくつかのマウスとヒトの初代細胞において効率的な塩基編集を媒介する第4世代のeVLPを開発した [Figure 2引用右図参照]。eVLPの素材として異なる糖タンパク質を用いることで、その細胞向性を制御可能なことも実証した。
eVLPをマウスに単回注射することで、複数の組織で治療レベルの塩基編集が可能である。肝臓における効率63%の塩基編集を介した血清中Pcsk9の濃度の78%低下、脳室内注入により大脳皮質と中脳における編集 (バルクのそれぞれ6.1%と4.4%)、また、遺伝性失明マウスモデルにおける視機能の部分的回復、を実現した [グラフィカルアブストラクト引用右図参照]。eVLPによるin vitroおよび生体内でのオフターゲット編集は、AAVやプラスミドを介した送達よりも大きく改善され、ほとんど検出されなかった。
これらの結果は、eVLPが、ウイルスと非ウイルスの両方の主要な利点を兼ね備えた、治療用高分子送達の有望なビークルであることを立証するものである。
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