[出典]
  • 論文 "Rapid human genomic DNA cloning into mouse artificial chromosome via direct chromosome transfer from human iPSC and CRISPR/Cas9-mediated translocation" Miyamoto H [..] Kazuki Y. Nucleic Acids Res 2024-01-05https://doi.org/10.1093/nar/gkad1218 [著者所属] 鳥取大, 生命創成探究センター (自然科学研究機構), 東京薬科大学
  • 先行研究プレスリリースと論文「染色体導入効率を飛躍的に改善する技術を開発 ~ヒト/マウス人工染色体を用いたゲノム合成研究・再生医療研究を加速~」 2023年7月18日. 鳥取大学, 東京薬科大学, JST. https://www.jst.go.jp/pr/announce/20230718-4/index.html;“Treatment of CHO cells with Taxol and reversine improves micronucleation and microcell-mediated chromosome transfer efficiencyMol Ther Nucleic Acids. 2023-07-15/09-12. https://doi.org/10.1016/j.omtn.2023.07.002
 ゲノムをヒト化した動物 (a ‘genomically’ humanized animal)として、ヒト染色体の断片 (human chromosome fragment (hCF); <24Mb)を保持させた人工染色体を帯び、そのhCF上の遺伝子を機能的に発現可能にしたマウスを作出することが可能になっている。しかし、hCFのマウス人工染色体 (mouse artificail chromosome: MAC) 上へのクローニング (hCF-MAC) には、染色体移植やCre-loxP染色体転座を介した様々な細胞を介した染色体工学の複数のステップを含む複雑なプロセスが必要であった。鳥取大学の香月康宏教授が率いる研究チームは今回、3種類の代替技術を用いることで、hCF-MACを迅速に構築するアプローチを実現した:
  1. ヒトiPS細胞 (hiPSC) を微小細胞仲介染色体移植 (microcell-mediated chromosome transfer: MMCT)の染色体ドナーとして利用する。
  2. 微小核形成 ( micronucleation ) 誘導剤としてパクリタキセル (PTX) とリバーシン (Rev) を併用する。
  3. CRISPR/Cas9ゲノム編集を利用して部位特異的転座を誘導する。
[以下の左右の挿入図は、従来法と本研究のアプローチを比較した出典のFigure 1と、グラフィカルアブストラクトからの引用]
MAC GA  MACFIGURE 1
 研究チームはこうして、ヒト染色体ドナーとしてのhiPSCからMACを含むCHO細胞へのモデルとしてのヒト6番または21番染色体の直接移植を達成した。さらに、CRISPR/Cas9を用いてヒト染色体とMACを同時に切断することで染色体転座を誘導し、Cre-loxP組換えや薬剤選択を行うことなくhCF-MACを含むCHOクローンを作製した [挿入図右上参照]。この戦略は、迅速な染色体クローニングを可能にし、ヒト染色体の機能ゲノム解析にも貢献する。